去る4月に開講した、第4期「フィッティングアドバイザー」の2級講座は、6月末をもってレディス・メンズのすべてが終了する。
本誌の原稿を書かせていただいている頃は、10日後に私の担当講座が控えている。今回も、開講(2003年秋にスタート)以来の基本スタンスを保ちつつ、市場の動きをにらんだ要素をからめ、ティーチとコーチで進行させていただこうと考えている。
第4回目の資格認定審査は、来たる8月初旬から実施予定。
◇ 予期せぬケース
プロセールス資格制度が定着するにつれて、新たな課題も見えてきた。
指定講座(2級)を受講後、審査に臨んで合格、もしくは選にもれたスタッフのいずれの場合でも、学んだことを、実務に何倍にも活かせるタイプと、受講したものの応用力が乏しいタイプとの差が予想外にある。
前者の多くは、接客の現場に反映させて、確かな手応えと実績を作っている。
その一方で、貴重な時間と安くはない授業料を払ったものの、自らの売り場や扱い商品には「あまり関係なかった」と、狭い尺度で受講内容を捉えてしまい、せっかくのチャンスをモノにできないケースもあるなど、プロFAとしての姿勢と資質は、年代や企業間でのバラツキが著しい。
次なる課題は、「2級講座」の技術水準では対応しきれない、難易度の高いケースや想定外の場面が、売り場で多々発生していることだ。
春先にもこんなことがあった。
私あてに「Eメール」が届き、そこには「フィッティング」に関する悩みがつづられていた。発信者は、地方百貨店に勤める、紳士服担当の女子社員のようであった。
メールに託された概要は、フィッティングアドバイザー制度の3級(通信講座)を受講後、その百貨店の系列である、洋裁学校の先生からフィッティングを学んだとのこと。
ところが、売り場ではもっとやっかいな事例にぶつかることが多く、しばしば対応に悩んだために、今度は、お直しの専門学校に通う」とのことだった。
これほど思い詰めている社員はそう多くはないが、彼女にとっての解決策が見つからない限り、接客中に、心からの笑顔は生まれないであろうと察しがつき、メールでの励ましを試みてみた。
その時点では、本人の所在と肉声が届かないため、はがゆい思いをしていたが、ある日、再び彼女からのメッセージが電話であった。…よくよく聞けば、関西方面にある百貨店(たまたま、そこの労組本部から、かつて、販促関連の講演依頼を頂戴した)の社員であるK子さんと判明。
そこで私は、「貴女は、おもてなしの館である百貨店のスタッフでしょッ。入社10年目なら、自らをプラス方向へと、イメージトレーニングするといいわ! お直しの専門学校へ行く必要はないわッ。答え(最終ジャッジ)は、自らが見つけて判断するものだから…。 現場の問題は、お客様との出会いを通して、現場で解決するのが一番の策よ!」と、面識のない、受話器の向こうの彼女へ、コーチングをするはめになった。
その百貨店には「修理・加工室」の他、服をリメークしてくれる著名な「リフォームショップ」も、テナントとして入っている。
またその百貨店は、著名な洋裁学校とのパイプも太いから、彼女は、何人もの船頭に振り回されて、納得のいく技を見つけられないまま、自らの決断力も失いかけていた。
◇ エキスパートとしての技術水準
店頭演出の分野で、「VMDとVP」「ディスプレイとショーイング」という用語が混在しているように、「フィッティング技術」もしかりだ。
例えば、「サイズ調整と修理」「体形別補正とリフォーム」の線引きがあいまいな上に、お客様とFAを混乱させてしまうような類の「○△□フィッター」が、衣料市場に広がりつつある。
例えば、服のパターンや工程、ゆとり(ゆるみ)を、的確な数値できちんと語れない指導や、「リメーク」色の濃い技術伝達なども、販売職を対象に実施されるなど、すべてが一緒くたになっている。そういったあやふやな解釈に、アパレルばかりではなく、百貨店業界もむしばまれはじめている。
そのような傾向は、市場に出回っているマニュアル本や、月刊誌にも登場しはじめており、「既製服では、タブーとされている、不適切なフィッティング術」や、試着時に、こんなにもピンを打たれたら、「多大な不安感を抱かせてしまいかねない」きわどい絵(写真)や、解説も氾濫している。
したがって、「どれを信じて良いのか」と、思い悩んでいるFAは少なくない。「修理費がかさみ」「再お直し」や「キャンセル」の発生率が高くなるおそれを招く出版物を見極める眼力も必要だ!
ところで、「フィッティングアドバイザー」制度では、共通の「ものさし」があるようでいて、審査以外の、講座のカリキュラムは各指定校にまかされている。現時点では、各校の風通しが良いというわけではないため、資格取得審査の中味は、限りなく無難な方向へと着地しているのではないだろうか?
また、指定校によっては、「ここまで、やらなければいけないのか?」と、目を疑ってしまうような項目もある。
例えば、昨今の売り場スタッフは、ボタン付けもできない人がいるせいか、ボタン付けの実習など他。
技術水準をさらに高めるには、お直しを極力しないで済むような「手法とアイデア」や、「スタイリング力のバリエーション」を教えることが優先順位であろう。
そうすることが、「買う側」と「売る側」との双方に、メリットをもたらすことになる。
服のエキスパートは、「余っている箇所」や、「ダブついている箇所」を、むやみやたらにつまんだりしない。その原因を突き止め最小限の「直し」に努める。
◇ 本物のフィッターを目指す
他業態との差別化を担いながら、スタートした「フィッティングアドバイザー」制度だが、巷(ちまた)にこうも様々な「フィッター」が誕生するようでは、技能力にさらなる磨きをかけ、プラスアルファの付加価値をつけなければならない。
ハイレベルなお客様は、「フィッティングのアドバイス」だけでは、既に物足りなさを感じているであろう。「服のことなら、すべておまかせ」と、胸を張って言える自信のあるスタッフを、もっと育成していくことが早急課題である。
いずれにしても、次なる課題の一押しは、フィッティングアドバイザーのワンランク上を目指した、指名が殺到するほどの「既製服のフィッター」育成の推進だ。
優秀なフィッターは、色やコーディネイト力のセンスは前提として、
〆寮の技術は、ピカ一
▲汽ぅ債汗飴?法美しいフォルムが描ける
身体の特徴を、瞬時にリテラシー(読み書き)できる能力
こ謄僉璽弔瓦箸防要なゆとり(ゆるみ)を、数値で明確に答えられる
ゥ廛薀紅想のスタイリングができる。…などにも長けている。
また、 銑イ離侫ッティング技術の原理原則は、「既製品」であろうが「オーダー」であろうが、変わることなく永遠に共通なのである。
ただ一つの違いといえば、後者は、「仮縫い」という工程があるため、「オンリーワンのマイ服」に仕上がるという満足感が得られることだ。
◇ スタイリングの基本ルール
どんな「ご容貌、体形・体型・体格」のお客様がいらしても、プロの「フィッター」なら、美女・美男にしてさし上げる「技」を持ち合わせていてほしいものだ。
つまり、○Aプロポーションが美しく際立つ、服選びができること。○B着心地の良い美しいシルエットの値を描きながら、補正(ピン打ち)ができること。…といった○Aと○Bの技能力条件をクリアできる、人材の育成が次なるステップだ。
以下は、実務に役立つスタイリングの基本ルール。
例えば、前記したイ痢屮廛薀紅想のスタイリング」についてだが、女優やモデルはさておき、大半のお客様は、ご自分のプロポーションに、絶対的な自信があるわけではない。ウィークポイントをカバーしてくれる服のお見立ては、
 ̄す
△呂困
錯覚を活用する
ち歓函幣絏次砲離丱薀鵐垢鬚箸
サい砲覆詆分より、もっと太いところを作る…が、おしゃれの鉄則!
,離院璽后超擦箙?きゃしゃで貧弱なら、ソフトタイプのニットや大判ストールで隠す。
△離院璽后庁狼咾筺下半身がたくましい場合、胸元や肩まわりに、アクセントとなる配色をあしらい、アクセサリーで引きつけ、苦手な部分から他へと、見る側の視線をはずす。
のケース…同じストライプでも線と線との間隔が狭いものと、広いタイプとがある。見る側の視線が線を追っていく場合はスリムに見え、間隔の方に視線が行くと、実際より太って見えることの活用。
い離院璽后直緘梢箸きゃしゃな場合など、トップスにボレロを装い、全身を8の字ラインにすると、上下のバランスがとれる。
イ離院璽后墜鵑力咫幣縅咫砲太い人の場合、袖口が広めで、フレアータイプの半袖にすると、上腕が細く見える。…などなど、お客様に喜んでいただける秘技の世界は、エンドレス…!
まずは、自らが試し、検証して自信を深めることが先決。
そのような、ホスピタリティの高いおもてなしは、きっとお客様のハートまでも、優しく包みこめるはず…!
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本誌の原稿を書かせていただいている頃は、10日後に私の担当講座が控えている。今回も、開講(2003年秋にスタート)以来の基本スタンスを保ちつつ、市場の動きをにらんだ要素をからめ、ティーチとコーチで進行させていただこうと考えている。
第4回目の資格認定審査は、来たる8月初旬から実施予定。
◇ 予期せぬケース
プロセールス資格制度が定着するにつれて、新たな課題も見えてきた。
指定講座(2級)を受講後、審査に臨んで合格、もしくは選にもれたスタッフのいずれの場合でも、学んだことを、実務に何倍にも活かせるタイプと、受講したものの応用力が乏しいタイプとの差が予想外にある。
前者の多くは、接客の現場に反映させて、確かな手応えと実績を作っている。
その一方で、貴重な時間と安くはない授業料を払ったものの、自らの売り場や扱い商品には「あまり関係なかった」と、狭い尺度で受講内容を捉えてしまい、せっかくのチャンスをモノにできないケースもあるなど、プロFAとしての姿勢と資質は、年代や企業間でのバラツキが著しい。
次なる課題は、「2級講座」の技術水準では対応しきれない、難易度の高いケースや想定外の場面が、売り場で多々発生していることだ。
春先にもこんなことがあった。
私あてに「Eメール」が届き、そこには「フィッティング」に関する悩みがつづられていた。発信者は、地方百貨店に勤める、紳士服担当の女子社員のようであった。
メールに託された概要は、フィッティングアドバイザー制度の3級(通信講座)を受講後、その百貨店の系列である、洋裁学校の先生からフィッティングを学んだとのこと。
ところが、売り場ではもっとやっかいな事例にぶつかることが多く、しばしば対応に悩んだために、今度は、お直しの専門学校に通う」とのことだった。
これほど思い詰めている社員はそう多くはないが、彼女にとっての解決策が見つからない限り、接客中に、心からの笑顔は生まれないであろうと察しがつき、メールでの励ましを試みてみた。
その時点では、本人の所在と肉声が届かないため、はがゆい思いをしていたが、ある日、再び彼女からのメッセージが電話であった。…よくよく聞けば、関西方面にある百貨店(たまたま、そこの労組本部から、かつて、販促関連の講演依頼を頂戴した)の社員であるK子さんと判明。
そこで私は、「貴女は、おもてなしの館である百貨店のスタッフでしょッ。入社10年目なら、自らをプラス方向へと、イメージトレーニングするといいわ! お直しの専門学校へ行く必要はないわッ。答え(最終ジャッジ)は、自らが見つけて判断するものだから…。 現場の問題は、お客様との出会いを通して、現場で解決するのが一番の策よ!」と、面識のない、受話器の向こうの彼女へ、コーチングをするはめになった。
その百貨店には「修理・加工室」の他、服をリメークしてくれる著名な「リフォームショップ」も、テナントとして入っている。
またその百貨店は、著名な洋裁学校とのパイプも太いから、彼女は、何人もの船頭に振り回されて、納得のいく技を見つけられないまま、自らの決断力も失いかけていた。
◇ エキスパートとしての技術水準
店頭演出の分野で、「VMDとVP」「ディスプレイとショーイング」という用語が混在しているように、「フィッティング技術」もしかりだ。
例えば、「サイズ調整と修理」「体形別補正とリフォーム」の線引きがあいまいな上に、お客様とFAを混乱させてしまうような類の「○△□フィッター」が、衣料市場に広がりつつある。
例えば、服のパターンや工程、ゆとり(ゆるみ)を、的確な数値できちんと語れない指導や、「リメーク」色の濃い技術伝達なども、販売職を対象に実施されるなど、すべてが一緒くたになっている。そういったあやふやな解釈に、アパレルばかりではなく、百貨店業界もむしばまれはじめている。
そのような傾向は、市場に出回っているマニュアル本や、月刊誌にも登場しはじめており、「既製服では、タブーとされている、不適切なフィッティング術」や、試着時に、こんなにもピンを打たれたら、「多大な不安感を抱かせてしまいかねない」きわどい絵(写真)や、解説も氾濫している。
したがって、「どれを信じて良いのか」と、思い悩んでいるFAは少なくない。「修理費がかさみ」「再お直し」や「キャンセル」の発生率が高くなるおそれを招く出版物を見極める眼力も必要だ!
ところで、「フィッティングアドバイザー」制度では、共通の「ものさし」があるようでいて、審査以外の、講座のカリキュラムは各指定校にまかされている。現時点では、各校の風通しが良いというわけではないため、資格取得審査の中味は、限りなく無難な方向へと着地しているのではないだろうか?
また、指定校によっては、「ここまで、やらなければいけないのか?」と、目を疑ってしまうような項目もある。
例えば、昨今の売り場スタッフは、ボタン付けもできない人がいるせいか、ボタン付けの実習など他。
技術水準をさらに高めるには、お直しを極力しないで済むような「手法とアイデア」や、「スタイリング力のバリエーション」を教えることが優先順位であろう。
そうすることが、「買う側」と「売る側」との双方に、メリットをもたらすことになる。
服のエキスパートは、「余っている箇所」や、「ダブついている箇所」を、むやみやたらにつまんだりしない。その原因を突き止め最小限の「直し」に努める。
◇ 本物のフィッターを目指す
他業態との差別化を担いながら、スタートした「フィッティングアドバイザー」制度だが、巷(ちまた)にこうも様々な「フィッター」が誕生するようでは、技能力にさらなる磨きをかけ、プラスアルファの付加価値をつけなければならない。
ハイレベルなお客様は、「フィッティングのアドバイス」だけでは、既に物足りなさを感じているであろう。「服のことなら、すべておまかせ」と、胸を張って言える自信のあるスタッフを、もっと育成していくことが早急課題である。
いずれにしても、次なる課題の一押しは、フィッティングアドバイザーのワンランク上を目指した、指名が殺到するほどの「既製服のフィッター」育成の推進だ。
優秀なフィッターは、色やコーディネイト力のセンスは前提として、
〆寮の技術は、ピカ一
▲汽ぅ債汗飴?法美しいフォルムが描ける
身体の特徴を、瞬時にリテラシー(読み書き)できる能力
こ謄僉璽弔瓦箸防要なゆとり(ゆるみ)を、数値で明確に答えられる
ゥ廛薀紅想のスタイリングができる。…などにも長けている。
また、 銑イ離侫ッティング技術の原理原則は、「既製品」であろうが「オーダー」であろうが、変わることなく永遠に共通なのである。
ただ一つの違いといえば、後者は、「仮縫い」という工程があるため、「オンリーワンのマイ服」に仕上がるという満足感が得られることだ。
◇ スタイリングの基本ルール
どんな「ご容貌、体形・体型・体格」のお客様がいらしても、プロの「フィッター」なら、美女・美男にしてさし上げる「技」を持ち合わせていてほしいものだ。
つまり、○Aプロポーションが美しく際立つ、服選びができること。○B着心地の良い美しいシルエットの値を描きながら、補正(ピン打ち)ができること。…といった○Aと○Bの技能力条件をクリアできる、人材の育成が次なるステップだ。
以下は、実務に役立つスタイリングの基本ルール。
例えば、前記したイ痢屮廛薀紅想のスタイリング」についてだが、女優やモデルはさておき、大半のお客様は、ご自分のプロポーションに、絶対的な自信があるわけではない。ウィークポイントをカバーしてくれる服のお見立ては、
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△呂困
錯覚を活用する
ち歓函幣絏次砲離丱薀鵐垢鬚箸
サい砲覆詆分より、もっと太いところを作る…が、おしゃれの鉄則!
,離院璽后超擦箙?きゃしゃで貧弱なら、ソフトタイプのニットや大判ストールで隠す。
△離院璽后庁狼咾筺下半身がたくましい場合、胸元や肩まわりに、アクセントとなる配色をあしらい、アクセサリーで引きつけ、苦手な部分から他へと、見る側の視線をはずす。
のケース…同じストライプでも線と線との間隔が狭いものと、広いタイプとがある。見る側の視線が線を追っていく場合はスリムに見え、間隔の方に視線が行くと、実際より太って見えることの活用。
い離院璽后直緘梢箸きゃしゃな場合など、トップスにボレロを装い、全身を8の字ラインにすると、上下のバランスがとれる。
イ離院璽后墜鵑力咫幣縅咫砲太い人の場合、袖口が広めで、フレアータイプの半袖にすると、上腕が細く見える。…などなど、お客様に喜んでいただける秘技の世界は、エンドレス…!
まずは、自らが試し、検証して自信を深めることが先決。
そのような、ホスピタリティの高いおもてなしは、きっとお客様のハートまでも、優しく包みこめるはず…!
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