百貨店プロセールス資格制度(2級)の第3回資格認定審査が、1月27日(福岡会場)にスタートし、2月10日(東京・大阪同時開催)までの期間実施されている。
今期は、レディスとメンズを合わせて450名が2級にチャレンジしている(うちレディスは286名…昨年12月の申し込み〆切時点)。
今回は、1回目、2回目と比べて、審査内容や状況に変化や温度差があるのだろうか?…「接客」「フィッティング技術」「筆記試験」というキー項目で、「何が重視されるのか? それとも比重は同じなのか?」という問いには、審査の関係者以外は知る術がない。
また、「筆記テスト」の中身は、「アイテム知識」と「サイズ調整力」の占める割合や、本来の「フィッティング技術」との構成比が知りたいところだ。
それらが、「接遇(接客)スキル」に沿った内容なのか、販売力の向上に即効性がある「知識&技術」判定なのか?…と、熱い関心を抱きながら、様々に憶測をさせていただいている。
◇ フォロースタッフのすすめ
不運にも認定資格に不合格となった場合でも、2級講座で体験した座学と実習は、「意識や咀嚼(そしゃく)力」の差異を差し引いても、応用次第で売場で何倍にも生かせる。
ところで2級講座を受講後、認定審査に臨むにあたり、トレーナー(社内・外を問わず)から、繰り返しコーチングを受けられる百貨店は少ない。
以前、7年間にわたり、某百貨店の社内認定制度に関与させていただいた。…審査官を務めるにあたり、「筆記テストの作成(接客応対力判定シート含)から、技術判定、コメント、テストの添削」までを担当した。その度に痛感したことは、トレーナー自身の実力が、受験者の成績に色濃く反映されていたことである。
腕の良いトレーナーは、持ち前のカンの良さの他に、比較的販売歴が長く、お客さまとの接遇回数も豊かな面々が多かった。
様々な課題にぶつかりながらも、たくましく乗り越えてきた「彼女・彼ら」は、お客さまとFA(販売スタッフ)、そして、「修理・加工・アトリエ」とのコミュニケーション能力にも長けていて、社内認定の資格審査も、優秀な成績でクリアーした第一期生が多数を占め、後輩の育成も上手であった。
◇ 自信を保ち続けるには?
既製服は「お直し」なしが前提であるとはいっても、すべてのサイズや「体形・体型・体格」をカバーできるMD構築は困難を極める。
当たり前のことだが、「サイズ調整」を承った場合、「修理・加工・アトリエ」のスタッフは、お客さまと現場スタッフとの「やりとり」を目前で見ることができない。
したがって、「フィッティングアドバイザー」を筆頭に、プロのFA・スタイリストには、「調整・補正」能力の他に、研ぎ澄まされた「バランス感覚と伝達力」も問われることになろう。
つまり、承ったことを、いかに正確かつストレートに「修理・加工・アトリエ」に伝えられるかも、再お直しやクレームを未然に防ぐための重点課題の一つである。
バッヂを胸につけて以来、かえって悩みやプレッシャーが増長したとしたら、それは、「プロの階段を登っている証」とも見てとれる。
どの分野でもカベにぶつかり、悩みを抱えている人ほど、実は本物の「プロ」というケースが多いいから。
したがって、資格取得後も、たくさんのお客さまにふれ、百人百様のスタイリングを理解し、「実践・検証・改善」という「道のり」は、プロほど延々と続くことになろう。
◇ 高い信頼度を得られる百貨店のミッション
昨今の市場はシビアだ!
百貨店によって認知度が高まったといっても過言ではない商品やメーカーが、他業態にも入っている。 かたや、「文化」や「遊び」「祭事」といった、百貨店が得意としていた空間プロデュース関連は、「若者の心」を捉えている点で、SC関連が勢いづいている。
そこであらためて、百貨店の強みを反芻(はんすう)してみた。「強み」その一は、トラブルやクレームが発生した場合に、他業態よりも、フォローとケアが充分にできる流通経路と体制が整っていることだ。しかも、商品から接客、情報関連他といった「ソフト」から「ハード」までのすべてをカバーできる底力が備わっている。
「百貨店で買えば、安心…」という信頼度の高さは、以下のような些細なことにも気を配ることで、さらにプラス方向へなびくであろう。
屮侫ッティング技術」…「理解度や不適切な対応」が、服に関するトラブルやクレーム発生の原因になって
いることを、いかにクリアーしていくか?
◆崗ι蔽亮韻筌好織ぅ螢鵐亜廖張魯ぅ札鵐垢覆客さまが増えてきた ことにより、苦情というより、「頼りなさ」
への「不平・不満」がくすぶり続けて、リピート客になるべきはずのものが、場外に流出していまいか?
「没個性の話題性に乏しい応対」…平均点以上の接客力と、豊富な商品知識はあるが、お客さまを興ざめ
させていることはないか? など他。
小売業を営む限りどんなに努めても、クレームやコンプレイン(不平・不満)を皆無にすることは不可能に近い。
しかし、クレームやコンプレインの中には、「サービスや品揃え」、「店舗空間」、「情報システム」その他に関する、改善策のヒントが潜んでいる。
「期待はずれ」もしくは「苦痛や精神的なダメージ」を抱かせてしまった場合でも、的を射た誠意ある対応によって、「わだかまり」はいっきに解け、リピーターになっていただいた実例に事欠かない。
昨今の傾向として、クレームが持ち込まれると、担当者から即座にクレーム対応の専任者にバトンタッチをする店舗や売場が増えている。…そのような「新対応」が、かえって心証を逆なでしてしまったという、ダブルパンチのようなクレームも見逃せない。
お客さまの多くは、理由はどうであれ、まず、購入時の担当者や百貨店の責任者に「話」を聞いて欲しい方が大半であろう。
かつては、商品そのもののクレームや、「サイズ調整後」のトラブルなどに関しては、「担当者・扱い者」が、自己の責任下できちんと対応できる器を持っていた。
当時のような「たくましさ」と「パワー」が存続する限り、百貨店の「伝統」「のれん」「誇り」は揺らぐことなく、永遠に「信頼の証」として羽ばたこう。
◇ 服のクレーム・トラブル例
フィッティング関連での、トラブルやクレームは、20年前と比較しても、さほどの変化は見られない。
ただし、「インポート物」や、デザイナーの個性が際立ちすぎた「デザイン服」の登場に由来するトラブルに関しては、「売り場」と「技術者」サイドの双方が戸惑いを隠せないでいる。が、元々、欧米人と日本人のプロポーションは異なり、前者の身体の断面は「かまぼこ型」、後者は「イカの輪切り型」という傾向が強いため、服のパターンに違いがあるのは当たり前のことである。
以下は、いつの世もある、トラブル例のほんの一握りである。
《FA側》
崚蘇爾慮躓入や値の読み違い」…例・1.5造15袖佑瓩肇ン違い。金具の端が、0舵充┐任呂覆ぅ瓮献磧
の使用による誤読(伝票に、上がり寸法を表記する欄があると防止可能)など。
◆峺”覆療按貮埖に起因するトラブル」と「納期設定の見直し」…(修理・加工・アトリエでの検品は実施済…
納期と渡し日に余裕をもたす)
難題事例は、自らが検品をすることで、トラブルを未然に防止できる確率が高まる(お直し品の上がり日から、
お客さまの手元に渡るまでの期間は、百貨店によって1日~3日間と差異がある)。
「脇詰めなどのピン打ち時に、バランスの良いフォルムを描けない」…例えば、同じ9号の人でも、乳下がり
(バストポイント)は、欧米人で22汰宛紂日本人で平均24汰宛紂⊇惑になると、もっと値が大きくなると
いうふうに、博識になると解決できるようになる。
《技術者側》
ぁ屮僉璽弔瓦函蔑磧β妓?股下その他)のお直しは得意でも、全体をトータルに見定められる人が少ない」…
時間や工賃などのからみで、効率を優先した工程を選択しているケース有…。
ァ峙蚕冦呂量簑蝓廖栂磧η?蠢悩爐筌丱ぅ筌甲呂猟召靴蓮難易度が高い。ジッパーやコンシールファスナー
(かみ合わせ部分の金属が、縫い目にかくれて見えないジッパー類)の付け方が下手で、その部分がデコ
ボコと浮き上がるトラブルが多発。
それら以外にも、クリーニング後のトラブルまで含めると、書き尽くせないほどの「やっかい例」は、今も延々と続いている。
「フィッティング」一つ取り上げても、アフターフォローとケアのさらなる充実は、ファンづくりに欠かせない必須エレメントなのである。
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今期は、レディスとメンズを合わせて450名が2級にチャレンジしている(うちレディスは286名…昨年12月の申し込み〆切時点)。
今回は、1回目、2回目と比べて、審査内容や状況に変化や温度差があるのだろうか?…「接客」「フィッティング技術」「筆記試験」というキー項目で、「何が重視されるのか? それとも比重は同じなのか?」という問いには、審査の関係者以外は知る術がない。
また、「筆記テスト」の中身は、「アイテム知識」と「サイズ調整力」の占める割合や、本来の「フィッティング技術」との構成比が知りたいところだ。
それらが、「接遇(接客)スキル」に沿った内容なのか、販売力の向上に即効性がある「知識&技術」判定なのか?…と、熱い関心を抱きながら、様々に憶測をさせていただいている。
◇ フォロースタッフのすすめ
不運にも認定資格に不合格となった場合でも、2級講座で体験した座学と実習は、「意識や咀嚼(そしゃく)力」の差異を差し引いても、応用次第で売場で何倍にも生かせる。
ところで2級講座を受講後、認定審査に臨むにあたり、トレーナー(社内・外を問わず)から、繰り返しコーチングを受けられる百貨店は少ない。
以前、7年間にわたり、某百貨店の社内認定制度に関与させていただいた。…審査官を務めるにあたり、「筆記テストの作成(接客応対力判定シート含)から、技術判定、コメント、テストの添削」までを担当した。その度に痛感したことは、トレーナー自身の実力が、受験者の成績に色濃く反映されていたことである。
腕の良いトレーナーは、持ち前のカンの良さの他に、比較的販売歴が長く、お客さまとの接遇回数も豊かな面々が多かった。
様々な課題にぶつかりながらも、たくましく乗り越えてきた「彼女・彼ら」は、お客さまとFA(販売スタッフ)、そして、「修理・加工・アトリエ」とのコミュニケーション能力にも長けていて、社内認定の資格審査も、優秀な成績でクリアーした第一期生が多数を占め、後輩の育成も上手であった。
◇ 自信を保ち続けるには?
既製服は「お直し」なしが前提であるとはいっても、すべてのサイズや「体形・体型・体格」をカバーできるMD構築は困難を極める。
当たり前のことだが、「サイズ調整」を承った場合、「修理・加工・アトリエ」のスタッフは、お客さまと現場スタッフとの「やりとり」を目前で見ることができない。
したがって、「フィッティングアドバイザー」を筆頭に、プロのFA・スタイリストには、「調整・補正」能力の他に、研ぎ澄まされた「バランス感覚と伝達力」も問われることになろう。
つまり、承ったことを、いかに正確かつストレートに「修理・加工・アトリエ」に伝えられるかも、再お直しやクレームを未然に防ぐための重点課題の一つである。
バッヂを胸につけて以来、かえって悩みやプレッシャーが増長したとしたら、それは、「プロの階段を登っている証」とも見てとれる。
どの分野でもカベにぶつかり、悩みを抱えている人ほど、実は本物の「プロ」というケースが多いいから。
したがって、資格取得後も、たくさんのお客さまにふれ、百人百様のスタイリングを理解し、「実践・検証・改善」という「道のり」は、プロほど延々と続くことになろう。
◇ 高い信頼度を得られる百貨店のミッション
昨今の市場はシビアだ!
百貨店によって認知度が高まったといっても過言ではない商品やメーカーが、他業態にも入っている。 かたや、「文化」や「遊び」「祭事」といった、百貨店が得意としていた空間プロデュース関連は、「若者の心」を捉えている点で、SC関連が勢いづいている。
そこであらためて、百貨店の強みを反芻(はんすう)してみた。「強み」その一は、トラブルやクレームが発生した場合に、他業態よりも、フォローとケアが充分にできる流通経路と体制が整っていることだ。しかも、商品から接客、情報関連他といった「ソフト」から「ハード」までのすべてをカバーできる底力が備わっている。
「百貨店で買えば、安心…」という信頼度の高さは、以下のような些細なことにも気を配ることで、さらにプラス方向へなびくであろう。
屮侫ッティング技術」…「理解度や不適切な対応」が、服に関するトラブルやクレーム発生の原因になって
いることを、いかにクリアーしていくか?
◆崗ι蔽亮韻筌好織ぅ螢鵐亜廖張魯ぅ札鵐垢覆客さまが増えてきた ことにより、苦情というより、「頼りなさ」
への「不平・不満」がくすぶり続けて、リピート客になるべきはずのものが、場外に流出していまいか?
「没個性の話題性に乏しい応対」…平均点以上の接客力と、豊富な商品知識はあるが、お客さまを興ざめ
させていることはないか? など他。
小売業を営む限りどんなに努めても、クレームやコンプレイン(不平・不満)を皆無にすることは不可能に近い。
しかし、クレームやコンプレインの中には、「サービスや品揃え」、「店舗空間」、「情報システム」その他に関する、改善策のヒントが潜んでいる。
「期待はずれ」もしくは「苦痛や精神的なダメージ」を抱かせてしまった場合でも、的を射た誠意ある対応によって、「わだかまり」はいっきに解け、リピーターになっていただいた実例に事欠かない。
昨今の傾向として、クレームが持ち込まれると、担当者から即座にクレーム対応の専任者にバトンタッチをする店舗や売場が増えている。…そのような「新対応」が、かえって心証を逆なでしてしまったという、ダブルパンチのようなクレームも見逃せない。
お客さまの多くは、理由はどうであれ、まず、購入時の担当者や百貨店の責任者に「話」を聞いて欲しい方が大半であろう。
かつては、商品そのもののクレームや、「サイズ調整後」のトラブルなどに関しては、「担当者・扱い者」が、自己の責任下できちんと対応できる器を持っていた。
当時のような「たくましさ」と「パワー」が存続する限り、百貨店の「伝統」「のれん」「誇り」は揺らぐことなく、永遠に「信頼の証」として羽ばたこう。
◇ 服のクレーム・トラブル例
フィッティング関連での、トラブルやクレームは、20年前と比較しても、さほどの変化は見られない。
ただし、「インポート物」や、デザイナーの個性が際立ちすぎた「デザイン服」の登場に由来するトラブルに関しては、「売り場」と「技術者」サイドの双方が戸惑いを隠せないでいる。が、元々、欧米人と日本人のプロポーションは異なり、前者の身体の断面は「かまぼこ型」、後者は「イカの輪切り型」という傾向が強いため、服のパターンに違いがあるのは当たり前のことである。
以下は、いつの世もある、トラブル例のほんの一握りである。
《FA側》
崚蘇爾慮躓入や値の読み違い」…例・1.5造15袖佑瓩肇ン違い。金具の端が、0舵充┐任呂覆ぅ瓮献磧
の使用による誤読(伝票に、上がり寸法を表記する欄があると防止可能)など。
◆峺”覆療按貮埖に起因するトラブル」と「納期設定の見直し」…(修理・加工・アトリエでの検品は実施済…
納期と渡し日に余裕をもたす)
難題事例は、自らが検品をすることで、トラブルを未然に防止できる確率が高まる(お直し品の上がり日から、
お客さまの手元に渡るまでの期間は、百貨店によって1日~3日間と差異がある)。
「脇詰めなどのピン打ち時に、バランスの良いフォルムを描けない」…例えば、同じ9号の人でも、乳下がり
(バストポイント)は、欧米人で22汰宛紂日本人で平均24汰宛紂⊇惑になると、もっと値が大きくなると
いうふうに、博識になると解決できるようになる。
《技術者側》
ぁ屮僉璽弔瓦函蔑磧β妓?股下その他)のお直しは得意でも、全体をトータルに見定められる人が少ない」…
時間や工賃などのからみで、効率を優先した工程を選択しているケース有…。
ァ峙蚕冦呂量簑蝓廖栂磧η?蠢悩爐筌丱ぅ筌甲呂猟召靴蓮難易度が高い。ジッパーやコンシールファスナー
(かみ合わせ部分の金属が、縫い目にかくれて見えないジッパー類)の付け方が下手で、その部分がデコ
ボコと浮き上がるトラブルが多発。
それら以外にも、クリーニング後のトラブルまで含めると、書き尽くせないほどの「やっかい例」は、今も延々と続いている。
「フィッティング」一つ取り上げても、アフターフォローとケアのさらなる充実は、ファンづくりに欠かせない必須エレメントなのである。
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