上期は、7社が担当している「フィッティングアドバイザー レディス2級」講座が、合計で19講座(他に修得度確認会を1回含)ある。
 開催数の内訳は、螢札鵐船絅蝓璽▲鵐疋ンパニーが7回、螢ャリアデザインが1回、螢妊ンプルが5回、学校法人松徳学園・東京ファッション専門学校が1回、蟶綉泪ャリアQスクールが1回、螢┘好Εルが3回、螢廛蹈優奪箸1回(ファッションフィッター講座…筆者担当)といった状況となっている。
 こちらの原稿を執筆中の時点(5月下旬)では、まだ数回の講座が残されているが、上期の全講座修了を待って、第2期プロセールス資格認定審査が実施される(7月~8月にかけて)予定だ。

◇ 上期講座のカリキュラム概要

 この制度は、まだスタートしたばかりだ。したがって、講座内容や資格取得の審査基準、内容などに関して、「実践・検証・修正」というステップの繰り返しが、他のケースと同様に展開されていくことになろう。
 そこで、7社のカリキュラムやプログラムの内容について、このような分野の研修や育成活動を、15年前から実践してきた立場から、率直な感想を述べさせていただこうと思う。
 まず、2級講座の授業内容だが、今現在のところ、各講座間の風通しは、万全というわけでもない。
 各々が、規定の設定レベルをふまえつつ、「羅針盤」がないままの状態で船出をしているのが実情、と言ったところのようだ。
 しかし、フィッティングアドバイザーには、
  峇鏡とスタイリング」、
 ◆屮侫ッティングの技能力」、
 「コンサルティングセールス」その他といった、幅広い技能力への期待が課せられているため、それぞれの
   配分や、中身の充実度を、慎重に詰めていく必要があろう。
 つまり、授業内容の入念な見直しと、課目のスクラップ&ビルドも早急課題の一つのようだ。
 2級講座は、「ファッションビジネス」の活性化・向上が一番の目標であるが、それらが「洋裁学校」よりになってしまったり、資格取得のための「予備校」化に陥らないよう、いつも新鮮な実学を盛り込むよう務めなければならない。
 高い受講料を払い、貴重な時間をさいて参加するからには、20時間の中で、「優先順位となるものは何か?どれが、現場にとって、CSと即戦力となるか?」をせんじつめることも大切だ。
 7講座の内容は、ともにそれぞれ興味深い。が、中には、貴重な時間内に、課外でも「自己学習や、自らが実験できること」も混在している。
 それらのムダを省いた時間を、「商人(あきんど)」としての引き出しを増やすことに回すなら、時間はいくらあっても足りない!
 いずれにしても、FB検定や販売士との大きな違いの一つは、「計数管理とマネジメント」が含まれていないことである。

◇ 第1期審査結果への感想

 今春(1月、2月)に実施された、プロセールス資格制度の結果(1級、2級)が、3月に発表された。
 初年度は、3社の講座内容や受講時間他が、まちまち(例えば講師の人数…実績・得意分野など)であった状況下で、唯一の「共通のものさし」といえば、厳正なる審査にゆだねられた。
 他の講師で、同じような思いを抱かれた方もいたが、一講師として率直な思いをぶつけさせていただくと、前期は「試験内容」も、「審査官の顔ぶれ」も、そこに至るまでのプロセスもまったく未公開という状況下でのスタートだった。
 各社からお預かりした大切なスタッフを、できるだけ合格できるようにと、まさに手探りの状態で、直感に頼りながらの、研修とスキルアップのコーチングは、エネルギーのいることであった。
 1回目の審査前後に、ゆかりのある窓口のいくつかにたずねても、審査の情景や商品サンプル、FA役・お客さま役についてなど、断片的な情報しか得られなかった。
 この制度が広く認知されるために、実施済みのテストを、講師陣や関係者に公開して欲しいと願っている人は多いのではないか?
 そこで、第2回目を迎える審査のさらなる精度向上を期待して、報告書に記載されている範疇(はんちゅう)の内容から推測しての、感想や助言を、誌上で述べさせていただくことにする。

 〈課題〉その1

 (1)審査中に受験者が、「補正知識&技術部分は、どの位重視されるのか?」や、「接客ロールプレイング」
    との兼ね合いなどに戸惑いを感じたようだ。
 (2) 商品サンプルの仕上がり寸法と、お客さま役のボディサイズとの兼ね合いは、グッドであったか?
 (3) 専門用語のバラつきが整理され、ある程度の統一が図られていたか?
   〔例〕●実寸=ヌードサイズ=ボディサイズ 
      ●体形別補正or体型別補正 
      ●二の腕=上腕 など
 (4) 緊張を強いられる審査状況の中で、「接客ロールプレイングと技術審査」との同時進行は難易度が高そう
   だ。…その他
 技能力判定をスムーズに行うには、受験者・審査官の双方ともに高い水準の技能力が期待されよう。
 いずれにせよ、「知識と技術」に自信がつけば、「しぐさやセールストーク」は、良い方向に改善されることは確かである。
 また、審査時のチェック項目は、バッティング箇所がないようにするため、検討会を重ねる必要もあろう。

 〈課題〉その2

 (1)実寸の計測箇所が、極端に少なく、エキスパートとしての判定が困難。技能力判定を見極められる
   「首まわり」「裄丈」「肩幅」が欠落している。
 (2)袖丈の上がり寸法を、袖下で計測している。この手法は、「修理加工室」の安心基準であって、売る側
    の能力判定には事足りない。デザインによって袖山の高さが違うため、技能力を判定するには、袖丈の
    上がり寸法を加味する。
 (3)例えば上衣のサイズジャッジ能力判定。バストの実寸が80臓複複稗咾任錬傾罅砲両豺腓任△辰討癲
    商品の仕上がり寸法は、メーカーや、ストレッチ素材での縫製仕様、トレンドなど他の諸条件によって
    異なるため、実寸に対して、「何造里罎箸蠅あるかを見定めて、服を選んだか?」での判定が好まし
    い。また、身長、手脚の長さ、顔や頭の大きさ、肩幅もサイズジャッジをする時の重要なエレメントとなる。
 などと、この分野は引き出しが広いため、関係者やベテランの専門家による監修・検討会の提案。

◇ バッジ取得後のドキュメント

 1級、2級に合格した代表者が、業界紙や経済紙に掲載されたことによって、注目度はさらに高まっていよう。
 ところが、事情を知らない業界内の一部から、「今までの社内認定資格者と、どう違うのか?」といった声も予想外に聞かれる。
 バッジを胸につけたら、お客さまとの出会い(接客)を、今まで以上に増やすことをしなければ、名器も錆びついてしまう。
 2級に合格したM子さんは、「3日間の講座で学んだことが、日々非常に役に立っている」と語る。また、1級合格者のR子さんは、メディアに掲載されたことで、それらの購読者から多数の問い合わせがあったという。しかし、日が浅いため、売り上げへの貢献度(5月現在)はこれからで、「毎日がさらに学ぶことばかりだ」と痛感しているそうだ。
 一方、今まで研修と育成のお手伝いをした社内認定者や、公開セミナー「服のボディフィッター実践講座」…日本繊維新聞社主催(筆者担当)に、21名のメンバーが参加された著名な婦人服専門店からは、「お客さまから良い反応を頂戴し、売り上げへの手応えも出てきた」という、うれしいお便りが届いた。
 また某百貨店の販促スタッフは、現在、フィッティングアドバイザー制度を、最大限に活かせるようなアイデアを考え、ユニークな実践策を検討中である。
 このように、共通の認識下で船出をした制度は、個々の店舗のエッセンスをからめることで、何倍にも開花できよう。
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