HOFNER BASS ジョイント修理 | style-s-works

style-s-works

ギター工房 "style-s-guitar" が発信している近況情報です。

先日、X JAPANが再始動するのでは?との噂が流れました。ヨシキさんのポストと、先日番組において長らく「龍玄とし」と改名していた楽屋の張り紙が「TOSHI」に変わっていたことが理由だとか。年齢が近いこともあって余計に思うのですが、残された時間はそう長くないので無駄に時間だけが過ぎてしまわないことを願います。このことってホント、自分自身において年々思いが強くなってます。余計なことに時間を費やしている場合じゃないなと。言い方を変えると「やりたいことだけやらしてもらう」みたいな心境です..なんて

はたして再始動はするのでしょうか..

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、今回はちょっと記録を残す意味合いの強い投稿です。

楽器に限らずあまりメジャーではないもののデータは少ないもので、修理する上で構造がわからず苦慮することが多々あります。今回のヘフナーベースもその一つと言えるもので、ネット上に情報を残す意味でもここで触れておきたいと思います。

ヘフナーと言えば、バイオリンベースが有名ですがバイオリンベースですら年代によりジョイント仕様が異なっています。そのバイオリンとも異なるこの画像のベースは更に全く知らない方法でジョイントされていました。

そもそもですが、アコースティックベースは弦のテンションがかなり強いためにネック起き、ジョイントズレや変形を起こしている個体が多い。ヘフナーの場合、根本的にジョイントが極端に浅くタイトな作りではないためにこう言ったトラブルが多い種と言えます。

ネック起きを起こした弦楽器はブリッジを一番下げても弦高が高く、下げられない、今回の場合はリアのPUに弦が当たってしまう状態でした。そのためリセットして角度を適正値に戻すと言うのが今回のご依頼。ただ、今回はヘフナーで見られるジョイントのグラつきは全くなく極めてガッチリジョイントされていたので..いったい何が原因して極端にネック起きしているのか謎でした。

 

通常のアコースティックギターのようなアリ溝ジョイントではなく極めて単純な凹凸のジョイントなので、とりあえずジョイント接触している面に極薄のパレットナイフを少しづつ少しづつ差し込んで行きネックとボディーを分離させて行きます。通常、ネック起きしている場合、ジョイントエンドは隙間が空いているはずなので左右の面と底面が分離できれば理論上ネックは外せるはずです。

が、しかし、分離が進んでグラつき出しても一向に何かがひっかかってネックが外れません。そうこうしているうちに一部の木部が割れてネックがボディートップ面正面方向に抜けました。そこでお目見えしたのがジョイント中子の下に打たれた巨大なビス(画像)でした。

これを見てようやく構造が理解出来ました。このモデルはジョイント前にボディー中子側にあらかじめこのビスを打ち、そのビスと同形状の溝をヒール裏面に掘ったネックをボディー正面から差し込む形でジョイントする構造だったわけです。このボルトはまさしくネック起きを防ぐために打たれたビスであり、そこにヒールが引っかかることで起きに耐えていたわけです。がしかし、そのヒールの木材が柔らかかったことでそのビス形状の溝は広がり徐々にネック起きが進んだ感じでした。この。徐々に徐々にめりこみスライドしていったために接着剤もずれながら固着し続けていたような感じでグラつきがなかったようです。

と言うわけで、既にボルト穴もジョイント(ボディー側のブロック材)に貫通していたのでこの際ジョイント内部からボルトでヒールを吊る形でビス補強を行う方式に変更すること前提でジョイン部を精巧に構築しなおすことにしました。前も何度か行った方法ですが、当然ながらボディーエンド外からこの中子まで届くドライバーは車用でも存在していなかったのでエンド穴から6角シャフトの棒を入れてボディー内部でドライバーユニットを接続させてボルトを回す方法をとることに。

 

まずはネックを外す際に及んだ剥がれ等、怪しいところも一旦分離させて強固に修正。そしてネック角、センターを何度も何度も確認しながらジョイント部を成形、ヒール側の元の溝は一旦綺麗に埋木して吊ビス用の穴を加工、入念に段取りをシミレーションしたのちジョイント接着。

 

周辺のタッチアップも行い、弦張り/調整して完了。ベタベタに下げられたブリッジ、サムスタッドも仕込みを上げて通常の弦高に回復させることが出来ました。

 

7月中盤からお問い合わせがかなり増えております。個別に納期はご相談させていただきながらなるべくご希望に添えますよう対応しております。内容によってはそれなりにお時間いただくこととなりますが、よろしくお願いします!