監督: ダニー・ストロング
脚本: ダニー・ストロング
主演: ニコラス・ホルト、ケヴィン・スペイシー、サラ・ポールソン、ゾーイ・ドゥイッチ
公開: 2019年
原作は、ケネス・スラウェンスキーさんの評伝「サリンジャー 生涯91年の真実」。
これは、先週感想をブログした「人間失格 太宰治と3人の女たち」と似ているところがあって、
世界的ベストセラーの「ライ麦畑でつかまえて」の著者J.D.サリンジャーの、
その本を書いた経緯や、出版された後の彼の人生について描写している。
ですから、「ライ麦畑でつかまえて」を読んでいなくても楽しめます。
大戦時、徴兵されてノルマンディーに従軍したことの影響が、とても大きいと捉えている。
恩師、ウィット・バーネットさんとの不仲も、ジェリーの体験(からの言葉の定義)から来ている。
「太宰治と3人の女たち」を見た後だと、とても現実的で、ジェリーの葛藤を眼からも読み取れる。
太宰治さんの「斜陽」のように盗作することなどなく、
自分自身の声を文字として紙に乗せることが、彼の唯一の自己確認であったのだろう。
「ライ麦畑でつかまえて」を読んだ後でこの映画を観る方には、
その行間がより深く刺さるかもしれない。
"I thought what I'd do was, I'd pretend I was one of those deaf-mutes."
"You know what I'd like to be? I mean if I had my goddam choice,
I'd just be the catcher in the rye and all."
彼自身がホールデンであり、嘘が相容れないものなら、
です。
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