(インコを逃がしてしまった方の参考や勇気付けになるかもしれないので、うちの奇跡の出来事を書いておきます。今後の自分への警告の意味も兼ねて。。。ダラダラと非常に長く書きなぐりましたが、ご了承いただけますように)

 

 

 

 

 

学校が始まったのが8月24日。

 

忘れもしない始業式の翌日、8月25日、早朝、

詩音は脳みそが破裂する勢いで泣き続け、大好きな学校を休んだ。

 

 

やっと1歳になったばかりのやんちゃ姫、コザクラインコのぐりがベランダから大空へ羽ばたいて行ったから。

 

 

正確に言うと、私のせいで、コザクラのグリが飛び立たざる得ない状況に置かれたから。生まれ持つその強い好奇心ゆえに、、、、

 

もちろん、ポーンと両手でぐりを大空に放鳥したわけなどなく、、、逃がすつもりなんて毛頭なく、、、

 

 

いつもいつもべったりと私の肩の上か、服の中に入って顔をぴょこんと出してる子だから、

その日はぐりが肩に乗っていることをすっかり忘れ、

ぐりを肩に乗せたままベランダで洗濯物を干していた(らしい)。

 

 

ベランダから部屋に入り、追加のハンガーを取っていると、

詩音が叫んだ。

 

 

まだ寝ぼけ眼でリビングのソファーにだらんと寝そべり、アニメだかニュースだかを見ていた詩音。

毎朝興奮するぐりのうるさい声が変なところから聞こえる、と何気にベランダを見ると、ベランダの手すりにぐりが乗っていたらしい。

 

 

「ママああああああ!!!ぐりがベランダにいる!!!!」

 

 

 

 

はあ?

 

 

 

なんで?

 

 

 

 

「ママぁあ!!!!!!!」

 

 

 詩音の緊迫した声と表情で我に返った私は、心臓が飛び出しそうな思いでベランダに出る。

 

 

 

ぐりは、ギー!ギー!、ギュルッ、ギュルッ、といつもの雄たけびをあげながら、ベランダの手すりに乗り、好奇心いっぱいの声で鳴いている。

 

 

 

 

落ち着いて。

落ち着いて。

落ち着いて。私。

 

 

 

すぐに部屋に入り、詩音に言う。

 

「詩音、ロイと風太とちいちゃんを小屋に入れて!!!」 (セキセイの2羽とジャンボの1羽)

 

 

頭はパニックだったけれど、冷静に、冷静に、と自分に言い聞かせながら、ぐりの好物のオーツ麦と止まり木とクリッカーを持ってくる。そんなもの取ってる間に、もう羽ばたいてるかもしれない。。。大丈夫。。。まだいるはず。大丈夫。

 

 

ベランダに出る。

 

ぐりはずっと手すりの同じ場所に乗ったまま。

ギー!ギー!ギー!ギュルッ、ギュルッ、ずっと大声で鳴き続けてる。

 

 

詩音も3羽をカゴに入れてすぐにベランダに出てくる。

 

 

「ぐり、ぐり、おいで!いい子ちゃん!」

 

ギー!ギー!、ギュルッ、ギュルッ。

 

早朝の朝、野鳥の声よりも響き渡る大声で鳴いている。

 

 

 

「ぐーちゃん、ぐーちゃん、いい子。おいで!はい。あげる!」

 

 

朝6時半~7時の間。

 

私と詩音の声も響き渡ってる。

 

 

手すりから動くことなく、初めての外の世界をキラキラした目で見てるぐり。

 

ギーギーうるさく鳴いているけれど、あまりにも同じ場所にじっとしてるから、止まり木に乗ってくれそうな気もした。

 

うちは5階。

 

ここから飛び立ってしまったら、瞬時に素早く追いかけることが出来ない。

 

 

どうか、どうか、何もなかったように、ママの手に乗って。詩音の手に乗って。

どうか、どうか、部屋の中に戻ってきて。

 

 

私と詩音はパニックだったけど、必死に、落ち着いた声で呼びかけ続けた。

 

「ぐーちゃん、ぐーちゃん、いいよ。あげる。オーツ麦だよ!」

 

すごく長い時間、ベランダの手すりの上で、えっっと、これからどうしようかなあ、って考えている風な、そんな感じのぐりだった。

 

 

どのくらい時間が経っていたのだろう。パニックだったから、30秒だったのか、1分近く、もしくは2、3分以上経っていたのか、、、分からない。。。

 

 

 

と、

唐突にぐりは向きを変え(リビングの方に顔を向け)、その直後にテクテクテクとお隣さんのベランダの手すりまで移動した。

 

 

 

以前お隣に住んでいたサーファー夫婦は1年前に引っ越しをしていて、つい1週間か10日前に新しいお隣さんが入居したばかり。

ぐりは新しいお隣さんのベランダの手すりの上で、大声でずっと鳴いている。

 

 

お隣のもっと向こうのお隣さんが、ベランダ越しに顔を出し、

「そこに止まってるインコ、Mさん宅の?」 と指さしジェスチャーで言ってくる。

無言でうなずく(早朝からベランダでうるさくして本当にごめんなさい)。

 

 

ぐりはしばらくお隣さんのベランダにいた。

詩音がお隣のスペースに顔を乗り出して、ぐりを呼び寄せてる。

お隣さんのカーテンが開き、お隣さんが部屋からぐりの写真を携帯で撮った(らしい。詩音曰く)。

どうか、どうか、お隣さん、とってもソフトでおとなしそうな印象だったお隣さん、

どうか、どうか、窓を開けて、ぐりを部屋に入れてください。。。。

うちに戻ってこようという気配のないぐり。それならば、どうかお隣さんの部屋に入って、どうか。どうか。。。窓を開けてください。ぐりを入れてください。

そればかり願ってた。

 

 

 

 

が、

 

前兆などなく、

あまりに唐突に、

あまりに突然に、

 

ぐりは、素早くクルっと回って外に向くと、

少し踏み込んで、

 

あっという間に、

本当にあっという間に、

 

大空に羽ばたいて行った。

 

 

 

右方向に大きく螺旋を描き、うちのアパートの裏の方角にあっという間に飛び去った。

 

 

 

 

 

その瞬間から詩音の大泣きが始まり、脳みそも体の水分、血液も、何もかもが彼女の体内から抜け出してる感じだった。

 

 

 

私は全く実感がなく、

次にどうすればいいのか分からず

一瞬で痴ほう症になったようだった。

 

でも次の瞬間、「すぐに行動しないと!」と思い、

小さな竹の鳥籠を押し入れから出すと、私の声など届かない勢いで大泣きしている詩音を勇気づけて、2人で急いで外に出る。

 

 

 

 

「ママ!あっちからぐりの声が聞こえる!」

 

 

走る。

ひたすら走る。

 

 

まだうちのそばにいる。

 

鳴き声が聞こえたと思った方角から、ぐりが大きく優雅に旋回してうちの建物の上の方まで飛んできた。

 

 

カラスに狙われるから、そんな大声で鳴かないで!

ひたすら祈る。

 

 

詩音がぐりを見つける。

 

 

「ママ!あそこ!!!!」

 

 

見つけた途端、あっという間に、大きく羽ばたいてうちの下の新興住宅地の方へ飛んで行った。

 

二人で声のする方、する方、一生懸命追いかける。

 

パニックで追いかける。

 

 

。。。

 

。。。

 

。。。

 

 

 

もうどんだけ耳を澄ましても、ぐりの声は聞こえなくなった。

 

 

詩音の大泣きが再開する。

 

私は、何が何だか分からず、現実なのか、なんなのか、なんだか狐につままれた気分だった。

 

 

詩音にひたすら謝り続け、詩音をなだめて部屋に戻る。

 

すぐに迷い鳥の掲示版に掲載をする。

 

警察に届け出をしないと。通勤時に立ち寄る時間はない、、、お昼に行くしかないか。。。

 

あ、詩音を学校に行かせなければ。

嘔吐する勢いで泣き続けている詩音はお岩さんの顔になっている。

「こんな気分で学校なんていけない!」って連呼するから、

仮病を使って学校を休ませることにする。

コロナじゃないのに、コロナの心配をされるから理由に困る。

夕方先生から電話が来たときには事実を伝えたけれど、そのときはとっさに腹痛しか浮かばなかった。

昨日、臭かったのに食べさせた生もののせいだと思うのです。。。

 

 

 

誰が悪いって、私が悪い。当然だけど。

 

前にも肩にぐりを乗せたまま洗濯物を干していたことが1度ある。

そのときもリビングの詩音がパニックになり、窓越しに、ジェスチャーで肩にぐりがいることを私に知らせてきた(ぐりを脅かさないように)。

そーっとそーっと、ぐりを肩に乗せたまま無事部屋に入ることが出来たけど、、、、その時から成長がないのか、私は!

頭がクラクラする。

 

 

 

以前、私が強烈愛していたセキセイインコのノイスをおばあちゃんの不注意で逃がしてしまった時、私は激しいペットロスに陥った。

かわいくてかわいくて仕方ない子だったので、立ち直ることがずっと出来ないでいた。

ノイスが逃げた時、私は会社にいたのでその現場にいなかったけれど、

詩音はノイスが逃げた時も、今回ぐりが逃げた時もその場にいたせいもあり、大きく羽ばたき、雄大に自分の元から飛び去ってゆく鳥の姿がトラウマのようになっている感じだった。

いつも私がベランダに出る度に 「ママ、窓を開けっ放しにしないでよ!そっちの部屋に行ったら、必ずドアを閉めてからそっちの部屋の窓を開けてよ!」 と忠告する詩音に当然だけど何ひとつ落ち度はない。

全部私が悪い。

 

 

本当にごめんなさい。

 

謝ることしかできない。

 

何が起こったのか、起こっているのか、実感がないまま、ボーっとして、自分は会社を休めないので会社に行く支度を進めていた。

 

 

詩音は大泣きのままリビングに行き、残っている3羽にぐりのことを話している。

3羽にごめんね、ごめんね、って泣きながら謝ってる。。。

 

と、

 

 

「ママ!!!公園でぐりの声がする!!!!!!!!!!!!」

 

詩音が声をキャッチした。

 

うちの目の前には小さな公園があり、そこからぐりの声がする。

私にもハッキリと聞こえた。

 

 

 

今度は、竹籠にロイロイ(ぐりの鳴きまねばかりするセキセイ)を入れ、大きなバスタオル、帽子(虫取り網がないので、代わりになりそうな麦わら帽子)を持ち、

2人して速攻飛び出す。竹籠に入れられたロイロイも連れて。

 

 

 

ぐりの大きな声のおかげで、ぐりが止まっている木がすぐに分かった。

大きな木の下に詩音と二人立ち、ぐりの名前を呼び続ける。

通勤の人たちが、何事か、と騒がしいうちら親子を見ている(早朝に本当にごめんなさい)。

 

ロイったら、いつもだったら、すぐにぐりの鳴き声に反応して真似ばかりするのに、

唐突に小さな竹籠に入れられ、突然外に連れ出されたからか、びっくり仰天していて何一つ鳴き返してくれない。

 

 

「ぐり!ロイがいるよ!ここにロイロイがいるよ!」

「ぐり!ロイがいるよ!ここだよ。ロイがここにいるよ!」

 

 

ぐりが私達を見つけたのか、 ギュルッ、ギュルッ、って鳴きながら、木のてっぺんから、少しづつ下の枝に降り始めた。

 

このまま来てくれる。

あんなにべったりの子なんだもの。

うちらと離れて暮らしたいハズがない。

 

ぴょん、ぴょん、とリズミカルにてっぺんの枝から下にゆっくりステップを踏むように降りてきたぐり。

 

 

そしたら、なんのきっかけか、またサササーーーと飛び立った。

同じ公園にある反対側の桜の木まで飛んで行った。

 

詩音はすざましいダッシュで、いつも遊んでいる桜の木の下に走っていく。

ぐりは桜の木で少しぴょんぴょんすると、

今度は10メートル程先にある柿の木に飛び移った。

 

最初の木から、だんだん低い木に移動している。

 

詩音は柿の木の下に即座に移動し、

「おいで!ぐーちゃん、おいで!」 

ずっとぐりに話しかけている。

 

 

ぐりは、ぴょん、ぴょん、ぴょん、とゆっくり枝を降りてきて、

 

「おいで!ぐーちゃん、おいで!」 

 

自分に向かって差し出されてる詩音の指に止まった!

 

 

 

その瞬間私の心臓は止まり、時間も止まった。

 

詩音は即座にぐりの頭を自分の口の中に入れた。

 

 

 

 

 

「詩音!詩音!詩音!捕まえたよね?!捕まえたよね??そのままよ!そのまま!!!!今そっちに行くから!!!!」

 

 

口の中にぐりの頭をくわえている詩音は、声を出すことができないから「うん、うん」と頭を揺らしている。

 

 

詩音みたいにマッハ級でぐりを追いかけることが出来ない私は、桜の木の下で一部始終を見ていた。

桜の木から柿の木の詩音の元に辿り着き、ぐりをくわえた詩音の顔に、大きなバスタオルを正面からかける。

後ろからも絶対逃げる隙間をなくしてタオルを押さえた。

「手に持てる?両手で持てる?今の状態で部屋まで帰れる?」

パニックで聞く。

詩音は、バスタオルの下でぐりを口から出し、ぐりの体を両手で掴んだ。

その状態を私が更にタオルの上から手で押さえた。詩音はバスタオルを顎でも押さえる。

 

2人してすっごい勢いで部屋に戻った。

 

竹籠に入れられたロイロイは、何がなんだか、カゴの中でバタバタ揺らされたことだろう。。。。ごめんなさい。

 

 

 

部屋に入った私と詩音とぐりとロイロイ。

 

 

詩音に、「ぐりを離さないでいて!」とお願いし、

部屋の窓全てのチェックをする。

全部閉まっていることを確認して、詩音に「もう大丈夫よ!!!」と伝える。

 

 

ぐりは何食わぬ顔で朝のアスレチックコーナーに飛び、その後すぐに自分の小屋の中に入った。

(自分の部屋だ、って安心した感じだった)

 

とばっちりを食らったロイロイを竹籠から出す。

 

 

 

 

 

。。。。。。。。。。。。。

 

 

 

 

「ママ、これ、夢じゃないよね?」

「ママ、ぐり、いるんだよね?」

「ママ、ぐり、ここにいるんだよね?」

 

 

 

お岩さんの顔をした詩音が、さらにクチャクチャの顔になり、全身気が抜けた状態で言う。

 

 

 

 

ぐりが逃げてから、部屋に戻るまで1時間半。

あの子は一体、どこを旅していたのだろう。。。

 

 

 

 

 

 

 

他の鳥と一緒に複数飼いをしていると、他の鳥の鳴き声を聞きつけて戻ってくることもあるらしい。

以前逃げてしまったノイスは単独で飼っていたせいか、あの手この手でずっと探し続けたけれど戻ってこなかった。

 

 

 

 

「今日、うち、ゆっくりさせて。。。なんか、すごく頭が痛い、、、」

 

 

もちろん。

どうか、どうか、ゆっくり休んで。

 

ママは、今から急いで会社へ行かないと。。。

 

全身の力が抜け、仕事なんて何一つ集中出来ず、

魂がどこかに飛び去ってしまったような1日だった。

 

会社から帰ったらすぐにクリッピングした。

(クリッピングはしているけど、頻度が少なすぎるのか、あっという間に羽は伸びる。今度からは頻繁にチェックしてカットする。かわいそうだけど、カラスに食べられるよりずっといい。飛距離が伸びてきたらアスレチックエリアを飛べる程度に切る)

 

 

 

 

本当に良かった。。。

 

本当に良かった。。。

 

 

 

常にべったり飼い主にくっついているインコは、飼い主にとっても一心同体の感覚になってしまっている為、日常のなんでもない行動がとても危険だと実感した。

うちはインコ達が過ごす部屋の網戸には養生テープを貼り、絶対に開かないようにしてある。

でも、ぐりみたいに私の服の中や肩の上に住み着いていると、キッチンでの料理中もそこにいるし、日々本当に気を付けなければいけない瞬間が多い。。。特に洗濯物を干す時には神経を張り詰めて気を付けないと。。。

 

 

 

 

詩音、ごめんなさい。

誰より、ぐり、ごめんなさい。

振り回したロイロイ、ごめんなさい。

朝のハッピータイムに、小屋から出してもらえた途端、突然小屋に戻された風太と千代乃もごめんなさい。

後日クッキーを持って謝罪に伺ったお隣さんも、早朝からご迷惑をお掛けし本当に申し訳ございませんでした。

近所の皆様、本当にすみませんでした。

 

 

 

 

 

 

私はうちの小鳥さん達みんなとずっと仲良く暮らしてゆきたい。

もちろん、ツノガエルのカエデも当たり前。

みんなとずっと一緒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

き~もちいーーーーー!!!

 

さ~いこーーーーーーー!!!

 

 

でも、

カラスがいるから

そろそろ

おうちにか~えろっと。