きみがいなくなっていよいよ10年か...
ホンマに長い長い年月
ぼくの頭も白髪が増えて ずいぶんと薄くもなってきて
頭の中のほうも ずいぶんと年をとって
一昨日の晩ごはんも思い出されへんようになってきた
それでもな
昨日のことのように とまでは言わんけど
はっきりと思い出すことがあんねん
お義母さんを送り届けに行くのに運転席に乗って
僕の前を通り過ぎた 最後の きみの運転姿
仕事場に顔を出した帰りに
信号待ちをしてる 最後の きみが自転車に乗る姿
夏の間はシャワーですましていたけど
お風呂好きのきみに浴槽を洗ったから
いつでも湯舟に入れるよと伝えた時
きみが言ってくれた 最後の "ありがとう" の言葉
娘の学園祭に しんどいのを無理矢理連れ出して
娘の楽しそうな姿を見ることができたのは良かったけど
とても疲れた様子なのに
気の利かないぼくを見る きみの最後の怒った顔
きみが 最後の入院をしている病院へ
毎日、仕事終わりに車で向かってた時
その日の夜は たまたま月食の日で
キレイに月が欠けてるわって言ったら
しんどいのに何を言うてんねん、このバカは
って顔をして「…あ、そう…」と呟いた時の寂しそうな きみの顔...
どんだけの年月が過ぎても
忘れられない 後悔と きみの顔...
(あの、もちろん、思い出すのは
怒った顔ばっかりやないよ)
多分...
忘れてくださいって言われても
..それはムリ...