選択制結婚の原型 | 誰でもやれる革命

選択制結婚の原型

~ ひとこと ~
僕の家族論の主論である、契約婚制度の論文です。
「99%の人が旧来の結婚形態を臨む状況下であっても、残り1%の人が
最適な結婚形態を選べないようにしてはならない」という主張に変更はありません。
現代の民法下でも、自由な契約に基づく結婚生活は可能です。


~内容~

はじめに
弟一章 家族法の理解のために
 第一節 家族史概説
  ★近代家族モデル
  ★現代家族像

 弟二節 最近の家族論
  その1 80年代の家族論の論調
 第三節 公務員試験の三つの択一問題で家族法を理解する

第二章 家族という思想

 第一節 典型家族の周辺にある関係
  1内縁関係(共同生活を送るが婚姻届を出さない)
  2非婚関係(フランスでの言い方では自由結合。故意に婚姻届を出さないカップル)
  3拡大家族との関係
  4同性愛カップル
  5配偶者以外からの精子、卵子提供に基づく親子関係(養子縁組含む)
  6外縁
 第二節 考えるべきコメント
 第三節 家族の機能とは何か
  その1 家族観のまとめ
  その2 家族に残されるべき機能はあるか

第三章 家族観の未来
 第一節 人格的関係なしに家族は可能か
 第二節 「反倫理的」な結婚は可能か
 第三節 多夫多妻制という社会的選択肢(1999年秋「セミレク」での発表を再構成)
  その1 男女という性
   1)「性は二種類ではない。少なくとも48種類はある」
   2)「現行の結婚制度、及び社会は男女からなる夫婦を基本単位としている」
   3)「<夫婦を中心>とする婚姻制度は不合理である」

  その2 家族中心社会の変容
   1)「家族の構成要素が、なくなってきている」
   2)「家族の意味は、人口の再生産、つまり出産と育成しか残らない」
   3)仮説「出産と育児の問題をのぞけば、旧来の<法的婚姻制度>は無用である」への反論
  その3 契約結婚論
   1)契約結婚
   2)出産と育児
   3)補論「日本太郎」案

<法理論>
①パートナー間の関係
②親子関係
③扶養・介護

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契約結婚制について~多夫多妻制の法律学~
第39回 京都学術工房  第1限
NPO法人日曜大学理事長 関 浩成
                2006.1.21(土) ひとまち交流館京都

はじめに

 近年、あなたにとって最も大切なものは?という質問に、家族、と答える人々が増えているようである。この個人主義が蔓延し、弊害さえ喧伝されているご時世に、家族?と思われるかもしれない。しかし、以下に個人主義が横行しようと、家族は個々人幸せのために有用な機能となることが多いのかもしれない。あるいは逆に妙に納得してしまうかもしれない。しかし、妙に納得する方々は、今叫ばれている「家族」の意味をよく知っているだろうか、あるいはその家族像の時代的な限定性を十分理解しているだろうか。
 文化人類学の所見に拠れば、これまでに、結婚形態は三種類があったという。それは圧倒的多数の一夫一妻制、イスラム圏で発達している一夫多妻制、そしてごく少数の報告例がある*1一妻多夫制、である。我々の常識からすれば、結婚とは愛情に基づく男女一組が行う一夫一妻制が自然な形態であるという思いこみがあるし、また、これこそが最も発達した結婚形態だと評された時期もあった。しかし歴史的には否定的評価が主流となり(モルガン=エンゲルス仮説の反証)、また、合理的に考えるならば件の結婚形態が唯一であるとか、最も進んでいる(乱れていない)と主張するのにはなんら根拠がないように思う。

 今回の講義では、日本の家族法を基礎にして、多夫多妻制が可能であるか、を考えてみる。多夫多妻制とは、男女双方が、複数の者と婚姻的関係を自由に結ぶことができる制度である。しかしこれはいうまでもないが、多夫多妻制の下では、一夫一妻の婚姻関係は排除されない。多夫多妻制は、婚姻に関する一切の規制をなくし、単に売買契約と同様の自由契約にしてしまおうという発想である。したがって、旧来どおりの婚姻スタイルを選ぶことは可能である。

 本講義は、聴講者各人が、私の選択社会論(既出)の政策一つである、家族関係における選択肢の多様化に対する意見を頂戴するために開かれる。従来の結婚に加えて「結婚もどき契約」の諸制度を複数つくり、整備してゆくことが現実的であるが、ここでは、一夫一妻制との対抗馬上、一挙に多夫多妻制というものを検討してみよう。
 そのためにまず、家族とは何であるかの理解を深めるべく、第一章で、家族史や家族論を軽く一覧した後、公務員試験の問題に三問挑戦していただき、民法における家族法の大まかなイメージをつかむ。次に、家族の機能といわれているものをまとめた上で、家族に関する考え方をおおざっぱに整理しなおし、私のいう契約結婚の主張がどこに位置するかを説明する。第三章では、現に他国で存在する制度から多夫多妻制を考えてみる。フランスにおけるパクス法と、イギリスにおける市民パートナー法が先駆例となる。そして私のいう契約婚とそれに付随する施策(子供を国家に直接養育させる権利、介護保険の子供への適用など)を具体的に提示する。

                    <本文略>