ジャケットポテト

出会いはイギリス留学中。








最初に出会ったのは、寮暮らしをはじめてすぐのこと。

寮の駐車場に大きな車(van?)が止まっていて、その前に学生達の列ができていたので、私もフラットメイトと一緒に並んでみました。

様子を伺っていると、サブウェイでサンドイッチを頼む時のように、皆あれこれ注文をつけている。

トッピングを選べるようでしたが、どういう組み合わせが「普通」なのか分からなくて、看板に書かれた食材を横目に、とりあえず頼んでみました。

差し出された蓋付きの発泡トレーの中には、豆の甘いトマト煮とチーズが溢れるほど乗ったじゃがいも。

このときはその名前も、それがイギリス定番料理のひとつだったとも知りませんでした。





チーズがたくさん乗っていて、それがとろけて、甘いトマトの煮汁に絡んでいたのがとてもおいしかったです。

イギリスのチーズが割と好き。

物にもよりますが、基本的にクセが少なくて味わいがあっさりしていて、日本のプロセスチーズのような食べやすさ親しみやすさがあります。

しかしプロセスチーズではないので、原材料は生乳と食塩と、とてもシンプル

そしてプロセスチーズと比べるとチーズの味も濃いので、美味しい。




ネット記事を読んだり、周りの人と話したりしていて気づいたことがあります。どうやらイギリスにチーズのイメージがないらしい。

これではおいしいチーズを各地で生産しているイギリスが可哀想なので、私はここでひっそりと英国チーズを応援したい。








日本でおいしいチーズの生産国として有名なのはフランスでしょうか。あと、スイスかな。

フランスのチーズはクセが強くて好みが分かれそうな気がしますが、フランスは間違いなくチーズ大国で、牛乳からできたチーズの生産量は2018年に1,704,000トンだったらしい。(ちなみに日本は2017年に45,535トン。)

一方2018年に生産されたイギリスのチーズは465,000トン(牛乳に限らない)。

ということは…桁がひとつ違う。生産量は完全にフランスに負けている

では消費量はどうでしょう…。

生産量が多いからといって、その国のチーズが美味しいことにはなりません。消費量ならば、美味しいからこそ消費されていると、言えないこともない、かもしれない。

2017年度の消費量ランキングで、フランスは世界第4位だったらしい。一人当たり年間消費量は27.2キロ

ではイギリス…

イギリスは10位以内に入っていなかったので、参考にしようと思った記事からは分かりませんでした。

別の記事で、年間の一人当たりの消費量が11.7キロとあったので、ということは、つまり、消費量もフランスに負けている











いやいや、でも生産量や消費量といった数値で製品の質まで判断してしまうのは良くない




質を測るのは、おいしさのコンテスト…!

チーズの世界大会の結果を見てみたい。












2019年の世界チーズ大会(World Cheese Award 2019)第一位は、フランス…ではなく、これはアメリカのチーズ(Rogue River Blue from Rogue Creamery)だったらしいです。フランスのチーズは15位


そしてイギリスのチーズ(Pitchfork Organic Cheddar)は8位!


日本もなかなか頑張っていて、10位入賞。こちらは栃木県のチーズ工房那須の森の「森のチーズ」が10位だったらしい。


この記事のポイントが迷子になってきました。


ところで、先月のはじめに、日英間の経済連携協定(EPA)がとうとう発効されたそうです。

関税の撤廃などで、イギリス製の食品が安く買えるようになると思うと、ワクワクしますし、在英日本人の方々からすると、ワクワクどころではなくて、とても有難いことかもしれません。

ただチーズにおいては、ちょっとややこしい。

農林水産省が品目別の表を出していて、だいたいの品目の関税が「××%→0%」のように書かれているので、ああ、関税が撤廃されるんだな、ということがわかります。

しかし、チーズには※印と説明書きがされている。




PDFの一番上に※印の意味が書かれていましたが、こういうことだそう…

「合意内容に※印を付している品目は、日EU・EPAの関税割当の利用残が生じた場合に限り、その範囲内で、事後的に日EU・EPAと同じ税率を適用する仕組みの対象。 」

わたしにはどういうことかよくわからない。


わからないけど、ややこしいということはわかった。

とある記事に(どの記事か忘れてしまったけど)、英国産のブルーチーズを売りたいイギリスと、ブルーチーズはいらない日本の攻防戦になっていると書いてありました。

イギリスのブルーチーズというと、三大ブルーチーズのうち一つのスティルトンチーズですが、これもそのほかの英国チーズと同様、ブルーチーズにしてはクセが少ない

ブルーチーズが嫌いな人にはきついと思いますが、食べられるけどちょっと苦手なの〜くらいの人なら、きっと、あらっこれならおいしいわ!となるかもしれません。

まあブルーチーズはともかく、イギリスのチーズは食べやすので、手に入る機会があれば、ぜひ食べてみて欲しいです、ということが言いたかった私です。





……




参考文献(順不同)