チキンとマッシュルームのパイ、しなびたフライドポテト in イギリス」の記事で、「イギリスにおける”パイ”のパイ生地は、アップルパイにしても、ミートパイにしても、ショートクラストと呼ばれるパイ生地で、層になっていないものが一般的です。」というお話をしましたが、パイの種類について、面白そうだったのでもう少し調べてみました。ただ調べれば調べるほど、「えっと、で、これとこれはどう違うの?」と頭の中がこんがらがっていきました 笑







日本でパイ生地と呼ばれるようなものはイギリスでPastry dough (ペイストリー生地)と呼ばれています。


ペイストリーには様々な種類がありますが、今日はその中から混同しやすい定番パイ3種を比べてみました。








Shortcrust Pastry (ショートクラストペイストリー)



イギリスでは最も一般的なパイ生地で、チキンパイのような食事系パイにも、アップルパイやレモンメレンゲパイ、ミンスパイ のようなデザートのパイにも使われています。脂肪分(バターやラードなど)の分量は小麦粉の約半量で、ほんの少しの冷水も加えられます。折りたたむ作業はないため、層はありません膨らまず、重ための生地に仕上がります。この生地を下に引いてフィリングを流し込んだり、この生地をフィリングの上に被せて焼いたり、この生地で具材を包んで焼き上げたり、使い方は色々です。日本に来たらタルトと呼ばれそうな生地です。









Puff Pastry (パフペイストリー)



Puffはぷっと膨らむという意味があり、名前の通り、焼くとぷっくりと膨らみます折りたたむ作業によって、層ができあがり、ぷくっと膨れて、さくっと軽い食感のペイストリーに仕上がります。レシピによってバターの方が若干多かったり少なかったりと違いがありますが、バターと小麦粉をほぼ同量使用して作ります。生地を折りたたむたびに冷やして休ませるなど、時間がかかり、温度管理も難しいため、家庭では既に出来上がったReady rolled puff pastryを使うのが一般的です。ミルフィーユなどによく使われる生地で、ロッテのパイの実や、冷凍パイシートのような日本でよく見かけるパイ生地に一番近い生地だと思います。







Flaky Pastry(フレーキーペイストリー)



Flakyとは薄くてはがれやすいという意味です。パフペイストリーと同様、こちらも折りたたむ作業があるため、生地に層ができます。ウィキペディアによると使われる脂肪分はショートニングですが、他のサイトではラードとバターを使用するのが伝統的な作り方と説明されていました。パフペイストリーとの違いは、パフペイストリーより使われる脂肪分が少ないところと、折りたたむ回数もパフペイストリーより少ないところにあるようです。生地はあまり膨らまず、パリッと軽いパイに仕上がります。まだ食べたことがないのですが、エクルズケーキというイギリスのお菓子に使われるパイ生地はこちらのフレーキーペイストリーだそうです。






エクルズケーキ






パイと一口に言っても生地に様々な違いがあることがわかりましたが、パイは英語でPieパイ生地はPie doughとも呼ばれます。それじゃあ結局パイ生地とペイストリー生地って違うの、同じなの、と混乱していると、ペイストリー生地とパイ生地の違いを解説するサイトを見つけました。そのサイトでは、ペイストリーの中でも一番パイ生地に近いパフペイストリーとパイ生地の違いを説明していました。そのサイトによると、パイ生地は焼いても膨らまず、パフペイストリーは焼くとぷっくりと膨らむとのことです。でも、あれっ?日本の冷凍パイシートって膨らみますよね。



そのサイトによると、パフペイストリーは生地と生地の間にバターを挟み、薄い層が何段にもできるまで折り込んでいき、その層が焼成の際に離れてるいくことで大きく膨らむそうです。(でもパフペイストリーについて調べていた際に、生地を折りたたみはするものの、バターを折り込みはしないレシピもたくさんありました。)そしてパイ生地はというと、バターを生地に加え、粉の中で小さく小さくカットするように混ぜて、折りたたまないで作るため、パフペイストリーよりも頑丈で分厚い生地になるそう。でもそれってショートクラストペイストリーでは?と思い、他のサイトでショートクラスペイストリーとパイ生地の違いを調べてみると、このサイトで説明されていました。このサイトによると”Shortcrust pastry is the same thing as pie dough.”つまりショートクラストペイストリーもパイ生地も同じだそうです。




ということは、


日本におけるパイ生地=一層一層がハラリハラリと崩れる軽いパフペイストリー



イギリス(あるいは英語圏)におけるパイ生地=分厚く硬いサクッとしたショートクラストペイストリー(日本でいうタルト生地に近い生地)




ということですかね。




ふーむ、おもしろい。