塾講師という仕事のみならず,多くの仕事,いや,仕事だけに限らず,社会生活を営む上で,
「相手の立場に立ってものを考えられるか」ということが非常に重要であると痛感しています。
だれもが一度は,小説や物語を読んで「もし自分が主人公と同じ立場だったら,どう行動するか」というのを考えたことがあると思います。
人にものを教える場面では,この,「相手の立場になって考える」ことが非常に重要です。
相手に何かを教える場合,自分はすでに分かっているが,相手は分かっていない状態です。
かつて自分もよく分からない状態だったが,わかるようになったという経験がある場合は,教えやすいです。
過去の自分がどこでつまずいていたか分かっているので,教える時もそこに気を付ければ良いのです。
やっかいなのが,これまで自分が当たり前だと思っていたことや,そんな場面では一切つまずくことがなかった場合,
相手が一体何に疑問をもっているのか,可能な限り想像しないといけません。
私は10年以上この仕事をしてきて,いろいろな力がつきましたが,こういった想像力,相手の立場でものを考えるという能力が,非常に鍛えられたと思っています。
相手は何が原因で分からなくなっているのか,そういったことを推測する力の向上が,教える力の向上につながるのだと思います。
少し前,義父にある事柄を説明する際,それは当たり前に理解できるようなことだったからか,妻・息子・義母が説明してもうまく伝わりませんでしたが,私が説明したらうまく理解してくれたということがありました。
物事を教えるというのは,なにも勉強に関することだけではありませんし,相手は生徒だけではないのだと実感しました。
このブログでは再三,生徒の間違い方を紹介してきました。
中には「まさかそんなふうに考えていたとは…」という,膝から崩れ落ちるような経験もありました。
自分で気づけるときもあれば,生徒にしつこく聞くことで,ようやくわかるときもあります。
自分の当たり前が,相手にとっては全く当たり前ではないということも,以前このブログで述べました。
最近気づいたケースを紹介します。
例題とその解説を読んだ後の生徒の対応についてです。
私自身は,例題や解説を読む際,その説明の中でも大事なところ,それほど重要ではないところ,よくわかったところ,よくわからないところなどを整理し,理解できない部分はもう一度読んだりします。
そうやって,自分の中にしっかり落とし込んで,それから問題を解くようにしていますし,それはごく当たり前のことだと思っていました。
塾講師の立場だからではなく,学生時代もそうやっていましたし,誰もがそうしていると思っていました。
ところが,生徒の中には,読むには読むのですが,上記のようなことはやらずに,よく分からない状態のまま問題を解こうとする子も一定数いるのだと分かりました。
そのため,気になる生徒には「読んだ後,どこが大事かはっきりさせたり,不明な場合はもう一回読んだり,それでもダメなら質問してください」などの事細かな声がけが必要になってくるのだと,今更ですが気付きました。
つまり,「例題と解説をよく読んで問題に取り組んで」という声がけだけでは不十分だったのが,今更ながら分かったのです。
人それぞれ,能力は異なります。
先日も,まさかそのようにやっていたとは…というケースがありました。
これは次回の紹介にするとして,ひとまず終わります。
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