留学生30万人受け入れ計画


2008年5月1日現在で、日本には12万3829人の外国人留学生が大学等で学んでいる。

  その全体の92.2%がアジア地域からの留学生で、出身国別構成比では中国が全体の60%と3分の2弱を占めている。そしてその約90%が自力で生計を賄わなければならない私費留学生である。

  2008年1月、福田首相(当時)は2020年までに留学生受入数を30万人にするという「留学生30万人計画」を提唱した。30万人計画では、大学院等への優秀な人材の確保、卒業後の日本企業等への就職が主要な目的として設定されており、日本の「グローバル化戦略」の一環として位置付けられている。

  これはこれまでの国際貢献の一環としての留学生政策から、自国利益を優先させる方向への転換として注目されている。

  しかし、まだ計画はその「骨子」が公表されたばかりで現実との間にはかなりギャップがあり、日本全体の停滞傾向や実態から問題点や課題が山積している。

中国人留学生の質の変化
  90年代前半には上海や北京など沿海部大都市から大卒の専門職・管理職の20歳代後半から30歳代が大学院を目指して来日し、日中双方それなりの目的は果たした。
 
 これに対し、現在は中国東北地方の地方都市・農村の出身で、地元の高校・専門学校を卒業した労働者が多くなってきている。東北地方は改革開放から取り残され、経済停滞が著しい地域である。地元は就職難で将来も全く不安定だ。中国国内での大学進学も経済的に難しい。

  そうした中で、日本へ行けば自力で学費を稼いで大学へ行ける。「留学」の箔も付くし、世界に通用する実力ある人材を求める日系企業への就職も夢ではない。

中国人留学生の受け入れと日本側の対応
  中国からの海外留学希望は、日本からの海外留学希望と同様に、本当に国際的な活躍が将来期待できる家庭環境も整った人材が本来は中心であろう。しかし、国内での競争に勝てずに海外にいわば逃避するような実態では、最近はやりの言葉でいえば「事業仕分け」の対象である。

  誰しも自分の子供、あるいは本人が、それなりの資質と努力により、それなりの経済的な安定とそれなりの幸福感を享受することを望むのは自然である。

  21世紀の日本が世界の中で歩む道は、ひとりひとりの人間が、GDP第何位ではなく、それなりの幸福度を求めるものとなろう。少子化対策だけで、移民問題や留学生対策を考えるのではなく、日本に生活できるすべての人々にとってより長期的に幸福なのは何かを考える時代に入っている。

  受け入れ国である日本側と来日留学生側双方の意識改革が求められている。より開かれた情報やデータを基に、意識改革の方向を判断したいものである。

日本語教育コミュニティ