2024年4月20日の日経一面によりますと、
セブン─イレブン・ジャパンは5月から売れ残った商品の
値引き販売を始める、とのことです。
販売期限をシステムで店に知らせて、
値引きシールを用意し、本部主導で値引きを推奨するそうです。
食品ロスの削減は
SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」に
該当し、企業の社会的責任という観点からは
推進されるべき活動と位置付けられますね。
公正取引委員会によれば、2019年1月から2020年8月に
かけて全国の大手コンビニ5万7524店を対象に行った調査
(うち1万2093点が回答)より、大手コンビニが食品を
1店舗当たり年間468万円(中央値)廃棄しておると報告されて
(記事引用「年間468万円の食品を捨てる大手コンビニが食べ物
2023.02.15 SDGsACTION 井出留美)
いいかえれば、日本における年間の平均給与収入に匹敵する額の
食品廃棄が各店舗で行われている事実に驚きを隠せませんね。
その背景には、消費期限に関する3分の1ルールがあったり、
大量陳列の必要性などがあるとの見方もされていますが、そのほか
ひとつには、コンビニ会計といわれるロイヤルティの計算システム
指摘する説があります。
※3分の1ルール:メーカーや卸、小売り、消費者で賞味期限まで
3分の1ずつ均等に分けあうという考え方に基づく商習慣のこと。
上記の記事に掲載されていた計算例に基づき、設例ををここでひと
挙げさせていただきますね。
(例)売価200円、仕入原価150円のサンドイッチを100個
80個販売し、20個を廃棄した場合。
※簿記の理論に基づく通常の損益計算例
売上高 :16,000円(200円×80個)
売上原価:15,000円(150円×100個)
ーーーーーーーーーーーーーー
粗利益 : 1,000円(差し引き)
ロイヤルティ: 500円(50%とする)
ーーーーーーーーーーーーーー
店舗利益: 500円
=========
※いわゆるコンビニ会計と呼ばれる損益計算によるロイヤルティ計
(簡略化されており、必ずしも現実の実務とは一致しない)
売上高 :16,000円(200円×80個)
売上原価:12,000円(150円×80個)
ーーーーーーーーーーーーーー
粗利益 : 4,000円(差し引き)
ロイヤルティ:2,000円(50%とする)
↓
↓
※コンビニ会計でロイヤルティ計算した場合の店舗の損益計算例
売上高 :16,000円(200円×80個)
売上原価:15,000円(150円×100個)
ーーーーーーーーーーーーーー
粗利益 : 1,000円(差し引き)
ロイヤルティ:2,000円(コンビニ会計粗利の50%とする)
ーーーーーーーーーーーーーー
店舗利益:▲1,500円←店舗が赤字になるかもしれない。
=========
なお、新聞によると、現在では食品ロスにつき15%を本部負担と
しているようなので、上記の計算とは若干の違いがでますが、
それでもいわゆるコンビニ会計といわれる方式でロイヤルティ計算
なされた場合の本部が受け取れるロイヤルティに比べて、
一般的な損益計算を基礎とした場合のロイヤルティ500円よりは
かなり高い額のロイヤルティ収入を本部が受け取る計算結果に
なります。
仮に値引き販売をした場合は、
たとえば原価割れをしてでも売り切った場合には、
その分だけ本部のロイヤルティ収入としてのチャージ額が
少なくなることも考えられます。
以上、さまざまな観測や背景がありながらも、
今回の日経記事にあるように、SDGsの視点から見て
食品ロスが減る方向で値引き販売などが推奨されることは
将来に向かってよい流れと考えることができるのかもしれません。
柴山政行