急速な円高でスズキが為替差損70億円?(日経19*8*6*3) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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急速な円高でスズキが為替差損70億円?(日経19*8*6*3)

(今朝、まぐまぐより配信したメルマガ記事です。)

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為替相場の円高が進み、輸出を行っている企業の業績に
大きな影響を与えています。

3月末からの各月末(8月は直近の5日)に
おける為替相場の推移を次にしまします。

ドル円:
3月末110.84円
4月末111.41円
5月末108.26円
6月末107.88円
7月末108.74円
8月5日106.58円

4月末はいったん111.41円をつけましたが、
その後、5月末には108.26円、6月末には107.88円と、
円高トレンドがきつくなっています。

そして、8月上旬には106円台にまで
円高が進んできましたね。

この影響で、今朝の日経朝刊では、
「鈴木が為替差損70億円」と3面の見出しに
出ていました。

記事の中身を詳しく見ていきますと、
「為替差損が69億円となった」と
スズキの長尾取締役が5日の記者会見で
おっしゃったそうです。

そこで、スズキのホームページを訪問し、
8月5日の決算発表を見てみました。


損益計算書を見ると、
営業外費用の「為替差損」は15億3100万円!?

あれれ??

そこで、もしやと思い、
「決算参考資料」という
別の決算発表ページを見てみたら…

第1四半期業績で、
売上高が9075億円(前年同期比△8.1%)、
営業利益が627億円(前年同期比△46.2%)
となっていました。

減収減益ですね。

さらに、営業利益の増減要因を見てみると、
次のような内容が明らかになりました。

※営業利益増減要因
1.原価低減・・・・・・・+22億円
2.諸経費等の増・・・・・△205億円
3.売上・構成変化等・・・△195億円
4.為替影響・・・・・・・△69億円←←←ココ!
5.減価償却費の増・・・・△64億円
6.研究開発費の増・・・・△27億円


以上で分かったことが、
実は為替差損と言っていたのは、
損益計算書の営業外費用という
会計上の「為替差損」ではなく、
営業利益のマイナス要因となる
売上減少影響のようだ、
ということでした。


なお、円高で営業利益が減少する、というのは、
たとえば次のような理屈です。


1.当初想定していた為替レートが110円だった。
そこで1万ドル商品が売れれば、
円建ての売上高は110円×1万ドル=110万円に
なるはずである。

2.しかし、円高の影響で、今日輸出した商品1万ドルの
為替レートが106円となっていた。

したがって、今日輸出した商品の円建て売上高は
106円×1万ドル=106万円と、当初の想定レートに
よる売上高より4万円も下がってしまった!

こんな感じでイメージしていただくとよいでしょう。

なお、はんたいに商品や材料を海外から輸入する
企業は、円高はコストダウンになるため、
営業利益の増加要因となります。


以上、円高の影響による輸出企業の営業利益減少の
お話でした。


柴山政行