研究開発の回収不十分、ブリジストンは5倍(日経18*2*26*1) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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2月26日の日経朝刊トップ記事です。

日本の技術革新がどれくらい企業の業績に
寄与しているかを調査した結果、
研究開発への投資を利益で十分に
回収しきれていない会社が全体の
3割にも達する、と報じられていました。

一定規模の研究開発費を計上している
上場企業を対象に、日本経済新聞社が
集計したところ、こうした状況が
明らかになったそうです。

同紙面に、グラフがありました。
研究開発費の投資効率を縦軸にし、
6期前~10期前における
5年間の研究開発費の合計を
横軸にしたものです。

横軸でいちばん右側にあったのは
トヨタで、4兆円規模でした。
5年で約4兆円の研究開発費です。

天文学的な数字ですね。

また、縦軸の数値は、
「横軸の研究開発費合計÷直近5年の営業利益合計」
です。

つまり、
6~10期前の研究開発費の合計(A)が、
1~5期前の営業利益合計(B)に効果を及ぼす、
という仮定のもとで、
「A(研究開発費合計)÷B(営業利益合計)」
の計算結果が縦軸の値となっていました。

この結果、研究開発効率を示す縦軸の
数値が一番高かったのは
ブリジストンで5.0倍でした。

このブリジストンを筆頭に、
研究投資効率が2倍以上の会社は
全体の2割ほどあったそうです。

いっぽうで、調査対象企業の全体平均は
1.5倍にとどまり、さらに営業利益合計が
研究開発費合計を下回る倍率1.0倍未満の
会社は3割を超えたそうです。



調査分析の結果として、
倍率が高い企業の特徴は、
次の2つのパターンがありました。

第一に自らの強みを見極め、
そこに集中投資をするケース、
第二に社内に足りない技術が
あれば貪欲に外から取り入れるケースです。

いずれにせよ、3C分析(顧客・競合・自社)
に基づく現状の把握が深くできている
企業が、自社に必要な分野に的確に
研究開発費を投下しているのではないか、
とこの記事を通じて柴山は感じました。

なお、会計面から研究開発投資の
会計処理について言及いたしますと、
現在の会計ルールでは、
研究開発に関する支出等があった場合、
その額は原則としてその期の費用として
処理されます。

かつては「繰延資産」として、
試験研究費などの科目があり、
いったんバランスシートに計上して、
有形固定資産の減価償却のように
徐々に費用化する方法が任意で
取られていました。


しかし、平成10年に研究開発費に関する
新しい会計基準が設定され、翌平成11年から
実施されました。

したがって、この時から、研究開発費は
発生時に一括費用処理されるようになりました。


(取引例)
研究開発のために、5000万円の現金を支出した。

(借方)研究開発費5000万円(貸方)現金5000万円


研究開発費を資産計上できないようにした背景には、
当時の国際会計基準との調和化という課題の他、
研究開発の成否が不確実であるため、資産計上の
根拠に乏しい面があること、および企業間の
比較検討のためには、研究開発費の処理方法を
統一しておくほうが財務分析にとって利便である、
という2点が理由として重視されたことがあります。


以上、企業の成長性や将来の技術発展への
取り組みを判断する重要な指標としての研究開発費
について、その現状と会計処理に関するお話でした。