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[1]日本がROAで米国を上回る(日経17*9*2*15)

日経新聞、9月2日の朝刊15面に、
興味深い記事がありました。

日本企業は、欧米企業と比べて
自己資本比率(ROE)が低いという
イメージが持たれています。

ROEとは、バランスシートの(自己)資本に
対する当期純利益の比率です。

自己資本は、見方を変えれば株主が
会社に投資して預けたお金です。
(ここでは、おおむね純資産と同じです。)

よって、会社に投資したお金の何パーセントが
利益として帰ってくるかを意味するため、
ROEは株主の立場における投資効率を表します。


**バランスシート*****損益計算書
ーーーーーーーーーーー***ーーーーー
資産600|負債400****:
*****|資本200→→→純利益18
*****(自己資本)

ROE:純利益18÷自己資本200=9%

(注)ROEを算出するにあたり、
  バランスシートの「自己資本」は、
  (期首自己資本+期末自己資本)÷2の
  計算結果としての平均自己資本額を使います。
  純利益は、期首から期末にかけて、年を通じて
  徐々に増えるからだと考えます。

このROEは、たとえばアメリカでは10~15%
程度の高さですが、日本では5~10%の間にあり、
アメリカの方が高くなっています。

しかし、総資産に対する利益効率を表す
ROA(総資産利益率)は、日本の方が
わずかにアメリカを上回りました。
2016年の主要企業のROAについて、
日本の2.9%に対し、アメリカは2.89%だそうです。

では、さきほどの事例を使って、
ROAの計算例を見てみましょう。


**バランスシート*****損益計算書
ーーーーーーーーーーー***ーーーーー
資産600|負債400****:
***↓*|資本200****:
***・→→→→→→→→→→純利益18

ROA:純利益18÷総資産600=3%

このように計算されます。

計算式から見て、原理的にROEより
ROAの方が低い数値になるのがわかりますね。


では、ここでもうひとつのケースで、
同じ自己資本比率9%であっても、
総資産と負債の額が変わることで
ROAが変化する計算例を考えてみましょう。

**バランスシート*****損益計算書
ーーーーーーーーーーー***ーーーーー
資産800|負債600****:
*****|資本200→→→純利益18
*****(自己資本)

ROE:純利益18÷自己資本200=9%


**バランスシート*****損益計算書
ーーーーーーーーーーー***ーーーーー
資産800|負債600****:
***↓*|資本200****:
***・→→→→→→→→→→純利益18

ROA:純利益18÷総資産800=2.25%

いかがでしょうか。
さきほどの資産600のケースに比べて、
ROAが3%から2.25%へと、
がくんと落ちましたね。

その理由は、財務レバレッジにあります。

財務レバレッジとは、
総資産÷自己資本で求められ、
数値が低いほど自己資本が相対的に多いので、
財務安全性が高いと言えます。

反対に、数値が高いほど、借り入れなどの
他人の資本(負債)を多く活用していることが
わかります。

最初の例では、財務レバレッジが600÷200=3倍
なのに対し、後の例では800÷200=4倍
となっています。

ちょうど日本企業(約3倍)とアメリカ企業(約4倍)
の関係に近いです。

欧米企業は財務レバレッジが高い傾向にあります。

だから、ROEが高くても、負債が多く
自己資本がもともと低いため、ROAが
低くなりやすいのですね。

ちなみに、5年間でROAが上昇した主な企業としては、
ヤマハ(17.2ポイント上昇)、
パナソニック(13.3ポイント上昇)、
オリンパス(12.8ポイント上昇)
などが挙げられていました。

この機会に、株主にとっての投資効率を表すROEと、
会社にとっての経営効率を表すROAの違いについて、
理解を深めていただけたら幸いです。



柴山政行