★大和ハウス、賞与の算定基準を時間当たり利益に(日経17*3*8*17)
これまで、人件費と言えば企業のコスト=
不況の時には、
しかし、
人材をさらに有効活用する必要性が高まっています。
つまり、人に対する支出を「費用」ではなく、
企業の成長に必要な「投資」と考える
発想の転換が迫られているのですね。
株式市場も、さいきんでは人材の有効活用と生産性の向上という
観点から企業を評価しだしている、そういった傾向が見え始めて
いるようです。
2017年3月8日17面の日経新聞記事を見ると、
たとえば大和ハウスでは、2015年3月期に、
支店単位で決める賞与の算定基準を、
社員の「一人当たり利益」から「1時間当たり利益」に
切り替えたそうです。
これによって、支店長の意識がガラッと変わりました。
従来は、少ない人数で利益を伸ばすことが
業績評価の基準となっていました。
少ない人数で仕事を回すために、いきおい残業が多くなり、
社員に係る負担は増加しました。
これが、新しい評価方法では残業がマイナス査定となるため、
部下への適正な仕事の割り振りや進捗度の管理が
支店長にとって重要課題となったのです。
効果はすぐに表れたようです。
2016年3月期の残業時間は基準変更前の2014年3月期に比
約2割も減少しました。
残業できなくなった分、社員は仕事の効率を意識して働くように
なったそうです。
結果、営業利益は2431億円と過去最高を記録した、という
見事な成果をたたき出しているのですね。
もちろん、社員の賞与も増え、会社・社員共にWin-Winと
なりました。
この事例は、他の会社でも参考になりそうです。
なお、企業の労働生産性を計る指標として、
次の3つが参考になります。
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1.労働分配率
企業が生み出した価値のうち、どれくらいを
労働者に人件費として配分したかを示す指標。
おおむね50%を中心として、
30%~70%くらいの間に位置する会社が
ほとんどとなる。
業種にもよるが、利益があまり上がらないと、
70%~75%あるいはそれ以上となる
こともある。
その場合、企業のなけなしの利益が
大部分人件費に行ってしまい、
企業はコストによる業績の圧迫を
多く受けるようになる。
ただし、サービス業など仕入が非常に少ない
業種などでは、人件費60~70%くらいが
標準であることも考えられるが、それでも
60%前後くらい以下に抑えて、なおかつ
人件費がその60%くらいでも十分に
支払える利益が出ている、といった感じの経営が望ましい。
2.付加価値
企業が営業活動で生み出した価値のこと。
計算方法は2つあり、理論的には一致することが
望ましいが、現実的にはグレーゾーンの要因が
けっこうあり、どちらの計算方法によるかで
結果が異なってくることが多い。
計算方法1
付加価値
=売上高-外部買入れ高(仕入、外注費)
計算方法2(日銀方式の場合)
付加価値
=経常利益+人件費+金融費用+賃借料+租税公課+減価償却費
(参考)日経新聞の当該記事による計算式
付加価値
=営業利益+人件費+減価償却費+受取利息・配当金
※あまり細かい計算式の差異は気にせず、
おおまかにイメージをつかめればよい。
3.労働生産性
従業員一人当たりの付加価値額。数値が高いほど、労働力を
効率よく活用していると判断できる。
一人当たり経常利益でも、従業員の生産性を判断する
指標としては、利用に耐えられるので、そちらを使ってもよい。
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この点、大和ハウスが賞与を算定する基準として、
労働生産性について従業員一人あたりの利益ではなく、
従業員一時間当たりの利益を用いて、時間に対する
効率性を考慮したところがポイントですね。
だらだら仕事するのではなく、一時間を大事に
効果的に活用するよう、社員の意識を変えようとする
意図が見えます。
もしかしたら、みなさんがお勤めの職場における
一時間の生産性を出してみるのも、財務分析的には
有効かもしれません。
以上、日経新聞3月8日17面の記事をもとに、
従業員の生産性を図る財務指標の在り方について
考察してみました。
柴山政行