TDKが事業の売却益1300億円計上へ(日経16*6*18*15) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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TDKが事業の売却益1300億円計上へ(日経16*6*18*15)



TDKは、2017年3月期に、
米クアルコムに対する高周波部品事業の
売却益1300億円を計上する見通しである、
と18日の日経朝刊で報じられました。

ポイントとなるのは、この事業譲渡にともなう
売却益が今期の業績予想に反映されていない、
と記事に書かれているところです。

これだけの金額が業績予想に織り込まれているか
どうかで、決算発表に与える影響が大きくなる
可能性があります。

ここで、TDKの連結業績予想を見てみましょう。

平成29年3月期の連結業績予想(平成28年4月28日)

売上高1,160,000百万円
営業利益74,000
税引き前当期純利益73,000
当期純利益50,000(親会社(TDK)の持分)

たとえば、営業利益予想額が740億円となっているところ、
もしも報道通りの事業売却益1300億円を加えると、
営業利益が2000億円前後に拡大するのでは、
と言っているように読み取れますね。


これに対し、TDKは20日に、
プレスリリースで次のように述べています。

====================
2016年6月18日の日本経済新聞におきまして、
当社の2017年3月期業績に関する報道がありましたが、
本件に関しては当社から発表したものではありません。

合弁会社設立に関する契約締結の手続きは、
法制上の許認可等、合弁会社の諸々の手続き完了を条件とし、
2017年の初めをめどに完了する見通しです。

譲渡価値の総合計が2016年1月13日に開示したとおり、
30億USドルになると見込んでおり、今期に事業売却益が
計上される可能性は有ります。
しかし、その金額は、不確定要因があるために未定であり、
また上記の通り契約締結の時期が確定していないため、
今期の業績予想には反映しておりません。

本件に関し、今後明らかになった段階で
適切に開示いたします。

以上

(引用:TDKプレスリリース「当社に関する一部報道について」)
http://www.tdk.co.jp/news_center/press/201606202473.htm
====================


上記のプレスリリースにもあるとおり、
当該事業の売却に伴う事業の売却額がが
30億米ドルになると見込まれており、
これが最近の為替相場水準を105円と
した場合には3150億円相当になると
予想されていることがわかります。

いずれにせよ、事業売却の計画はあるようで、
それがいくらになるかなどは、今後の
状況次第ということで、それが
今期の業績予想に織り込まれていない
理由になっているようですね。


なお、会社の一部の事業を他社に譲渡したとき、
その事業の時価評価と受け取った対価に差が
ある場合、事業の譲渡に伴う損益が発生します。

(例)A社は、自社内のX事業(諸資産30億円、
諸負債20億円)をB社に譲渡し、現金14億円
を受け取った。

(借方)
現金預金14億円
諸負債 20億円
ーーーーーーー
借方合計34億円
=======

(貸方)
諸資産 30億円
売却益  4億円
ーーーーーーー
貸方合計34億円
========

このように、譲渡した事業の純資産(資産-負債)
と受け取った売却代金の差額が事業の売却益ないし
譲渡益となります。

日本の会計基準だと、損益計算書における
特別利益または特別損失に表示されるのが
一般的と思われます。

TDKは、過去の決算書を見ると、
たとえば2008年3月期に
記録メディア販売事業譲渡益153億円ほどを
売上総利益から控除して、営業利益に加算しています。

これは、TDKが米国会計基準を採用していることにも
関係しています。

日本の会計基準では営業外費用や特別損失に属する
ものであっても、事業に関するものは米国会計基準では
営業費用に計上されます。

こういったことから、いっぱんに、
日本基準の営業利益は海外の会計基準に比べ、
高くなりやすいとも言われていますね。


このあたり、日本の会計基準の特徴を知る上で、
参考になる事例とも思い、とりあげてみました。


TDKの2017年3月期の決算発表で
どのような業績が表示されるか、興味深いですね。



柴山政行