先月のメールマガジンでも、
持ち合い株についての記事を取り上げましたが、
今月は日経の1面に出ていましたので、
あらためてピックアップしてみました。
以前に6月11日の日経新聞17面で報じられていた
内容をご紹介した時は、市場全体の2割弱が持ち合い株
で、バブル期の1988年度末にはなんと51%も
あった、というお話でした。
ピーク時に比べれば半分以下に減ったとはいえ、
まだ市場に2割弱残っている、という見方もできる
のでしたね。
そのときは持ち合い株のデメリットとして、
(1)お互いに株を持ち合っていることで、株主としての
監視を厳しくすることができず、もの言う株主のチェック機能が
弱まることで会社の経営効率性やコンプライアンスなどの面で
支障が出る可能性がある。
(2)ほんらいならば設備投資や有望な企業の買収などで
成長戦略に振り向けるべき資金を、現状維持のための
後ろ向きの使い道に振り分けてしまいかねない。
(3)相手の株価が下がれば、手持ちの株式の評価が下がって
資産が目減りするため、お互いに業績の依存度が高まる
ことも考えられる。
などの点を確認いたしました。
今朝の日経では、1面で
主要企業300社(日経株価指数300)を
対象に調べた結果、うち281社で本体が持ち合い株
を持っており、そのうち168社が2014年度に
保有銘柄数を減らした、ということがわかったそうです。
その背景として、
従来のような取引関係の安定化という理由ではなく、
純粋にその銘柄の収益性や採算性を基準として
シビアに保有すべきかどうかの判断をするように
なってきている企業側の姿勢の変化があります。
ここで、会計的な知識ですが、
上場企業の株式を持ち合う場合、
所有する株式の期末評価は時価で行いますが、
減価との差額(含み損益)は、原則として
損益計算書の収益や費用として計上しません。
一部の例外を除き、損益計算書をまったく介さずに、
バランスシートの純資産に直入します。
(例1)上場企業のA社は、上場企業B社と株式を持ち合い、
B社の株式を10億円で取得して現金を支払った。
********バランスシート
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(流動資産)****|(流動負債)
現金預金*△10億円|********
**********|********
(固定資産)****|(固定負債)
***:******|********
投資有価証券10億円|(純資産)
**********|**:
**********|
(例2)決算日になった。
B社の時価は12億円に
上昇していたので、原価との差額2億円の含み益は、
損益計算書の利益(評価益)とはせず、
バランスシートの純資産における「その他有価証券
評価差額金」という科目名で2億円計上した。
(注:税金の影響(税効果会計)は無視しています)
********バランスシート
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(流動資産)*****|(流動負債)
現金預金*△10億円*|********
**********|********
(固定資産)*****|(固定負債)
***:*******|********
投資有価証券12億円*|(純資産)
**********|**:
**********|その他有価証券評価差額金2億円
このように、損益計算書は全く関係させず、
バランスシートの左側における投資有価証券の金額が
10億円から12億円に変化した「プラス2億円分」と
同額を、直接、右側の純資産における「その他有価証券
評価差額金」として2億円増やすことで、
左右のバランスを保っています。
こういった評価差額の処理の仕方を
「純資産直入法(じゅんしさんちょくにゅうほう)」と
呼びます。
ややこしいですね~。
決算日時点では時価で一日だけ評価しますが、
翌日にはまた原価に戻す(洗い替え法といいます)ので、
結局なんのこっちゃ、という感じなのですが、
決算日時点で「一日だけ時価」にするところが
ミソです。
芸能人がよくやる「一日署長」みたいな感じですね。
持ち合い株の期末評価は、上場企業の株ならば、
決算日の一日だけ時価で評価しておく、という
ことがイメージできれば、よろしいかと思います。
以上、今回は持ち合い株の期末評価に関する
原則ルールのお話でした。
柴山政行