東芝、インフラ工事で不適切な会計処理の可能性(日経15*4*7*15) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

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東芝、インフラ工事で不適切な会計処理の可能性(日経15*4*7*15)

6月3日に、東芝は「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」
という表題のニュースリリースを公表しました。

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150403.pdf

これによると、東芝の2013年度における一部インフラ関係の
工事進行基準に係る会計処理について、ちょさを必要とする事項が判明
したということです。

一部案件における工事進行基準の見積の合理性に問題が
あると見られているようです。

新聞報道によると、原価の過小見積の可能性がある、
と書かれていますが、それが何を意味するのかは、
1カ月程度と予定されている調査機関が終わったあとの
発表を待つことになりそうです。

この発表を受けて、6日の東京株式市場で東芝の株が大幅に
下落しました。
前週末に比べて9%やすの466円30銭まで売られ、約2カ月ぶりの
安値をつけました。

終値は5%やすの487円40銭だったそうです。

ここで、今回のメインテーマとなっている工事進行基準について、
簡単に説明いたしましょう。

【工事進行基準】===================
長期請負工事の会計処理の一方法であり。

工事が未完成の段階で決算日を迎えた時に、
決算日までの工事の進行度合いを見積り、
そこまでの進捗率(しんちょくりつ。進行度合いのこと)
にあわせて、請負金額の一部を売上高として
計上する会計方法のこと。

現在の会計ルールでは、原則としてこの
工事進行基準を採用することになっている。

なお、これに対するもうひとつの会計方法として、
完成・引渡しが完了するまでいっさい未完成段階で
売上を計上しない「工事完成基準」がある。

===========================

(計算例)
A社は建設会社である。
2015年4月1日に期間3年の長期工事を請け負った。

請負金額は60億円で、見積総原価は40億円だった。

2016年3月決算で、原価16億円を計上した。
2017年3月決算で、原価14億円を計上した。
2018年3月に工事が完了した。原価は11億円だった。

なお、工事進行途中で総原価の見積の変更はなかったとする。


※2016年3月期の完成工事高(売上高)

1.工事進捗率
原価16億円÷総原価40億円=40%

2.完成工事高
60億円×40%=24億円

3.工事利益
24億円-16億円=8億円


※2017年3月期の完成工事高(売上高)

1.工事進捗率
原価(16+14)億円÷総原価40億円=75%

2.完成工事高
60億円×75%=45億円…2期合計
45億円-24億円(2016/3)=21億円(2017/3)

3.工事利益
21億円-14億円=7億円


※2018年3月期(完成期)の完成工事高(売上高)

1.完成工事高(請負額-過去の売上額)
60億円-(24+21)億円=15億円

2.工事利益
15億円-実際原価11億円=4億円



以上となります。

なお、工事完成基準の場合は、

2016年3月期
売上高0、売上原価0、利益0、

2017年3月期
売上高0、売上原価0、利益0、

2018年3月期
売上高60、売上原価41、利益19、

となり、完成した事業年度に一気に計上します。


このように考えると、
工事進行基準の方が、工事進行過程における
進み具合が売上や利益に反映させられるので、
実態をより忠実に表しているように思えますね。

ただ、問題になるのは、売上高を決定づける
工事進捗率の算定に恣意性(不正の意図)が
入ると、不正の経理につながります。

たとえば、上記の計算例で、
現場では総工事原価の見積額が40億円と
わかっているのに、あえて見積額を32億円とかに
したら、2016年3月の原価16億円に
対して、進捗率が50%に跳ね上がってしまい、
売上高も60億円×50%=30億円の
ような過大計上にもつながりかねないのです。

見積もり要素が多い工事契約の売上計上について、
神経を尖らせることになるのは、道理なのですね。


以上、東芝の株価下落に関連した
インフラ工事の会計処理と工事進行基準の
考え方の基礎知識でした。


柴山政行