法人税率が下がっても税収が増えることがある?(
※ラッファー曲線→ http://bokikaikei.net/laffer-
法人税等の実効税率とは、企業が稼いだ「所得(税務上の利益)」
法人税・住民税・事業税といった税額が占める比率のことです。
企業の税負担率と見ることができますね。
これが、少し前は約40%前後であったとして、
税率が割高な国という印象が強いです。
一般には、税収を上げるには税率アップがいいのでは?と
考えられていますね。
じっさい、今年4月に予定されている消費税率アップに際しては、
消費税の納税額アップが期待されていることと思います。
ここまではわかりやすいですね。
しかし、2月18日の日経1面と4面を見ると、
英国・ドイツ・韓国などで、税率を下げたにもかかわらず、
かえって税収が増加しているという事例が報告されているようです
英国・
韓国については2000年から2012年までの法人税収の推移を
それぞれ分析した結果、つぎのようなことがわかったそうです。
英国は税率を33%から23%へと10%も下げましたが、
年平均の税収は4.8%も増えたというデータが出ています。
このうち4.5%は、
ないかといわれています。
韓国では税率を6%強下げていますが、8.4%
そのうち6.5%が経済成長によるとみられているようですね。
とはいえ、単に減税による経済成長効果だけではなく、もっと
さまざまな要因も重なったと見るほうが実態に近いかもしれません
たとえば、この間、両国とも規制緩和やウォン安、ポンド安などの
自国通貨安という輸出企業にとって有利な為替変動もあったことを
見逃すことができません。
また、ドイツのケースなどでは、
税率引き下げと並行して解雇規制緩和などの改革も進められたこと
経済成長を促進することができています。
さらに、税率引き下げの代わりに、課税ベースの拡大なども、
税収アップに貢献しています。
ここで、有名な経済原理をひとつご紹介しましょう。
ラッファー曲線といいます。
→ http://bokikaikei.net/laffer-
縦軸に税収(A)、横軸に税率(T)を定義します。
税率ゼロから税率100%(つまり1)までの範囲で、
税収が山なりに推移するだろうという仮定のもとに
描かれる曲線です。
もしも上の図が、みなさまのメールソフトの設定の関係で
上に山なりの曲線のようになっていない場合には、次の
URLをクリックして、PDFの図をご覧ください。
→ http://bokikaikei.net/laffer-
この曲線が何を物語っているかといいますと、
まず税率がゼロならば、いくら稼いでも、そもそも税率が0%
なので、税金は一切かかりませんね。
いっぽう、右端の税率100%(1.0)
稼ぎが全て税金として取られてしまうので、バカらしくって、
誰も働こうとはしなくなるでしょう。
そこで、0%と100%とのあいだのどこかの税率で
税収が最大になり、そこを頂点とした山なりの曲線が描けるのでは
ないか、という税収の動きを仮定して考え出されたのが
ラッファー曲線です。
なお、Tmという税収が最大になるであろう中間のどこかの
時点を中心にして、そこから左側(税率が低い左半分のエリア)
に現実の税率があるならば、そこから税率を上げることで
税収は上がるだろう、という話になるのでしょうが、それでは
当たり前すぎる結果なので、ちょっと面白くありません。
ひとつ、注目すべきなのは、Tmのポイントを超えて、
誰もが「ちょっと税率高くない?」と考えているような場合、
この曲線がTmより右側のエリアに現状の税率があると
想像できますので、そこから税率を上げた場合、帰って
勤労意欲などが減退し、税収減になる可能性を秘めている
と解釈することもできそうです。
その一方で、Tmに向かって税率を下げていけば、
経済の活性化などにつながって、税収がはんたいにアップ
するのでは?という期待を抱かせますよね。
このような事例・理論に、現政権は大いに関心を寄せている、
というのがこのときの日経記事の趣旨だと思います。
もちろん、現実の経済はもう少し複雑怪奇な部分がありますから、
ラッファー曲線通りにすなおに経済が動くかどうかは、
もう少し慎重に検討する必要があるでしょう。
とはいえ、税率と税収の関係について、直感的にわかりやすい
理論として、このラッファー曲線は有名な理論ですので、
この機会に知っておいても損はないと思いますよ~。
柴山政行