完全工業簿記の特徴は、月次で原価計算期間が終了し、
各月で月末時点の棚卸資産(材料、仕掛品、製品)を正確に算定し、
確定するところにその本質の一部があります。
メーカーにおける棚卸資産を適時かつ正確に算定するのですね。
そもそも月次決算というのは経営管理上、もはや不可欠とも
いえるツールでありまして、今の変化が速い世の中で
年度決算しか行わないというのは、ほぼ目を閉じて全速力で
道路を走るに匹敵するくらい超アブナイ行為なのです。
各月の末時点でいちいち正確に棚卸資産を計算してられないよ!
なんて話になれば、試算表の勘定科目は「繰越材料」や「繰越仕掛品」や
「繰越製品」などとなるのが通常ですね。
「繰越~」がついていると、完全工業簿記にはなりません。
月中の生産活動を反映した原価の転がし計算をしていないことと
同義になります。
いずれにせよ、日商簿記2級の工業簿記や1級の工簿原計においては、
もっぱら「完全工業簿記」を前提とした出題がなされます。
この機会に、完全工業簿記の考え方と、その記帳の流れ、
さらには製造原価の各勘定が月末にはかならずゼロになるという
仕組みの背景をご理解いただけたら嬉しいです!
教科書では教えない工業簿記の本質的なお話、
お楽しみいただけたら幸いです。
柴山政行