先物・オプションのからくり(日経13*6*11*17) | 会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

会計知識、簿記3級・2級・1級を短期間でマスター【朝4時起き活動のススメ】

【朝4時起きの公認会計士】柴山が、これから会計について学びたい方、簿記検定3級2級1級の合格法に興味がある方、ニュースや会社の決算から会計知識を学びたい方のために、動画やメルマガなどを使って情報提供するブログです。

先物・オプションのからくり(日経13*6*11*17)


日経平均が5月23日に急落した時、
日経平均先物の売買高と平均単価で割り出した売買金額が
6兆719億円となり、現物(東証一部)の売買代金5兆8376
億円を上回ったとのことです。

現物の取引高より、バーチャルである先物の取引規模が上回る
というのは、とても不思議な感じですが、今の金融取引の
実態を理解するための良い材料になります。


ここで基礎知識ですが、日経平均は、東証一部の上場銘柄から、
日経新聞社が選んだ225の銘柄の株価を一定の算式で
平均化した指標と考えればよいでしょう。


参考
http://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nk225



本ブログを執筆している時点(6/119時台)では、
13500円前後となっています。

この日経平均の動きが、日本全体の景気動向を読む重要な
指標となっていることは、周知のとおりですね。


なお、日経平均先物というのは、将来の一定期間などに
売り買いする日経平均の取引価格と数量を今のうちに決めて契約
してしまう、という取引です。

先物には取引の期限が決められています。
日経平均先物では、3月・6月・9月・12月の第2金曜日です。
今月は、ちょうど6月を限月とする取引があります。
6月の第2金曜は14日ですね。最終取引日は6月13日になります。
もしも6月限(「6月ぎり」と読みます)の建玉(取引)を期限まで
持っていたら、6月14日に自動的に決済されます。

この先物、将来の価格が上昇すると思えば「買い先物」を行い、
将来の価格が下落(げらく)すると思えば「売り先物」を行います。


たとえば、今の先物価格が12,000円で、
1か月後の先物価格が上昇すると考えれば「買い先物」の注文を
して、買い値段を確定しておきます。
将来、たとえば13,000円に値段があがれば、当初の注文通り
12,000円で買い注文を実行し、同時にその時の価格13,000円で
売る(反対売買する)ことで、1,000円の利益を手にすることが
できます。

この場合の売買差額は、デリバティブ取引という本業以外の原因
によって生じた利益なので、損益計算書上、営業外収益という区分
で表示されます。

逆に価格が11,500円に下がった段階で決済をすれば、500円の損失が
生じます。これは営業外費用です。


ちなみに、今の先物価格12,000円に対して、売り先物を行い、
将来、11,000円に先物価格が下がれば、これを反対売買(買い取引)
をして、差額の1,000円を営業外収益とします。
将来の相場下落を予想した場合にも、儲かる手段があるという点で、
デリバティブ取引の幅の広さみたいなものが少しわかってきます。


しかし、ここで注意しなければならないのは、たとえばある時期に
買い先物が集中すると、いずれ、それが将来のどこかで取引を手仕舞い
するためにかならず反対の売り注文をしなければならないという点です。

たとえば、今、100単位の買い先物を立てたならば、かならず将来の
どこかで同じ100単位の売り注文をして反対売買し、取引を
終わらせなければなりません。

これが何を意味するかというと、買い注文が殺到した時は
値段がグーンと上がりますが、将来、ちょっとしたきっかけで
値崩れをはじめると、買い注文をしていた投資家たちがあわてて
いっせいに売り注文をはじめ、現物の価格下落にさらに拍車を
欠けて大暴落の引き金になりかねない危険があるのです。

最近の価格の乱高下にも、先物などのデリバティブ取引が
かかわっている側面があるんだ、と考えるだけでも、
金融取引の怖さが少しイメージできてきますよね。


柴山政行