「それはよかった。俺もその方がいいと思うよ。」
「え?てっきり社長には怒られると思ったんですけど…」
「まさか!俺が後ろ向きの選択を薦めるわけないだろう。たしかに、今度の柴ちゃんの決断によって、迷惑をかける人がでてくる。その人達に対しての心遣いは当然必要だとしても、やっぱりやりたいことをやらなくちゃ!『人は思う人になれる』だろ?信念だよ!」
この言葉で、私の気持ちが吹っ切れました。
「ところでさ。受験を決意した柴ちゃんにちょうどいい話があるんだけど、乗ってみない?」
「どういうことですか。」
「実はね、今現在、当社は池袋に本店が1つあるでしょう。それで、春休みを睨んで、支店を秋葉原、渋谷、そして立川の3ヵ所に出そうと思うんだ。そこで、柴ちゃんには、秋葉原支店に副支店長として2ヵ月ほど働いてほしいんだ。1日平均10人~15人前後のアルバイト販売員を動かして、目標の売上げは、2ヵ月約50日稼動で2,000万円以上だ。もちろん柴ちゃんには固定+歩合で支払うから、目標をクリアできたら、専門学校の授業料には十分お釣がくる収入になるはずだよ。」
「僕に管理者になれ、ということですか?」
「そう。学生時代に人の上に立っておくことは、社会経験としても貴重な財産になると思うけど。どう?やってみる気はないかな。」
たしかに、大型国家資格を取得するためには、専門学校の授業料は年間で50万円くらい必要になるので、それをどう親に相談するかは悩みの種の一つでした。
また、どんなかたちであれ、人の上に立って仕事をしてみたい、という希望は普段から自分の中にありましたので、私はその場で社長の申し出を引き受けたのでした。
その日は、私の人生にとって、大きな意味のある1日になりました。