話がここまでで終わりなら、なにも悩む必要はないのですが、
ものごとはそう簡単にはいきません。
たとえば、年金資産の運用利回りが、当初予測したほどには
高くない場合、どうなるでしょうか。
あるいは、このあいだのAIJ問題や株価の急落などにより、
想定外の事情で年金資産が目減りしてしまったら?
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(例2)1年後、株価の低迷により、A社の年金年金資産が
当初予定の50億円から、20億円に目減りしてしまった(時価)。
1年後の退職給付債務を仮に76億円と一定だったとして、
財源として確保されている年金資産20億円を控除した残額を、
すべて貸借対照表(バランスシート)の負債として計上していいか?
他の項目はすべて同額だったとする。
******バランスシート
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現金預金***40|支払手形***28
受取手形***50|**:
棚卸資産***48|退職給付引当金56
**:******|**:
*********|利益剰余金*△30
以上のように、利益剰余金(過去の利益の蓄積)を大幅に
削って、その年にとつぜん不足額の全額を計上することに、
従来は引け目を感じていました。
「退職金制度は長い期間にわたって影響するものだから、
臨時の事象が発生した年の業績だけ大幅の赤字にするのは、
各会計期間の業績を比較するときに、かえって実態を
あらわさないだろう」という考え方なのです。
たしかに、例2の年だけ株過低迷のあおりで損失が
30億円も一気に出ていますから、とうぜん、その前の年や
その後の年との業績比較がまともにできなくなりますね。
こういったことから、従来は、その差額をいったん無視して、
その後の数年間で少しずつ利益から引当金に移し替えましょう、
というマイルドなやり方だったわけです。
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(例3)例2と同じ状況だが、30億円の不足拡大分をすべて
当期の損失とせず、10年で一定額ずつ引当金に移すことに
決めた。
******バランスシート
-------------------
現金預金***40|支払手形***28
受取手形***50|**:
棚卸資産***48|退職給付引当金29
**:******|**:
*********|利益剰余金**△3
この方が、業績に与える影響が軽くなり、
財務諸表を利用するときの誤解を防げるだろう、という
発想です。
→ そして、新しい会計ルールでの積み立て不足 はどうなる?