# 敗者のゲーム
## 資産全体に占める株式の比率は、100からあなたの年齢を引けばよい
この考え方は二つの理由から間違えている。
一つ目の理由は、年齢が上がるごとに株を売却するので、不必要で割高な税金を払っているから。
二つ目の理由は、家族や子孫のことを考えると、運用期間はいくらでも伸びるから。
「われわれ個人投資家は必ず死すべき運命にあるが、われわれのポートフォリオはそのことを知らず、また、気にも留めていない」
「 全ての資産は誰が所有しているかに関わりなく、現在の価値があり、将来の価値をもつ。だからこそ、運用はそれ自身の理由に基づいてなされるべきであり、投資家の年齢など個人的な理由を持ち出すべきではない」
資産がある限り自分の決めた方針を維持するのが肝要である。
単純にいうと、「目的(方針)に基づいて運用する」ということを述べている。子供に資産を残すという目的を立てた際に、自分が〇〇歳になるまで運用するとはならないはず。大抵は子供が18とか20になるまで運用すると考えるだろう。目的を立てたなら、その目的に沿って運用する。余計な変数は入れない。
## インフレについて
「インフレは富の実質購買力を容赦無く破壊していく。しかも、経済成長が富を蓄積していくスピードとほとんど変わらぬ速さで」
「ほんの一世代の間に、インフレは貨幣価値の80%を失わせる」
エリスは後半で盛んにインフレについて主張している。私たちの資産は常に減少しているのだから、投資をやめる時期なんてものは存在しない。また、適切な計画はインフレを加味している必要がある。
税金とインフレは「金融市場の海賊」である。
## 本書のまとめ
「運用を神頼みにせず、その運命の舵取りを自ら引き受けようという投資家のためのガイドブック」
## さらなる学びへ
1. バークシャー・ハザウェイのアニュアル・レポート(投資についての考え方を率直に説明している)
2. ベンジャミン・グレアムの『賢明な投資家』(上級者向けの入門書。運用関係の本)
3. グレアム&ドッドによる『証券分析』(②のさらなる発展系)
4. ジョン・ボーグルの著作(タイトル不明)
5. デビット・スウェンセンの『ポートフォリオ・マネジメントのパイオニア的手法』(大型の非営利ファンドでの運用の秘訣を披露している。最良の書とのこと)
6. ゲーリー・ベルスキーとマス・ギロヴィッチの『人はなぜお金で失敗するのか』(お金に関する判断を誤る理由、ミスから自分を守る方法などがわかる)
7. グスタブ・ルボンの『群衆』(投資家の「群集心理」がわかる)
8. フォーチュン誌のアンドリュー・トビアスの『投資をする前に読むべき一冊』
9. バートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』
10. 『大投資家の名言』
11. クロード・ローゼンバーグの『賢く豊かであるために』
12. ウォール・ストリート・ジャナール誌のジョナサン・クレメンツ
13. フォーチュン誌のキャロル・ルーミス
14 ニューヨーク・タイムズ紙のフロイド・ノリス
15. フィナンシャル・タイムズ紙のバリー・ライリー
16. マネー誌のジェイソン・ツヴァイク
## まとめ
2025/04/12に読書を開始。2025/04/29に読了した。
「敗者のゲーム」というタイトルが何を指しているのかは最初にわかる。「勝者のウィニングショットにより勝敗が決まるゲームではなく、敗者のミスによってゲームが決まる」それが「敗者のゲーム」である。「敗者のゲーム」に勝つにはミスを減らすしかない。
ここからエリスは学問的な話ではなく、「ミスを減らす具体的な方法」の解説を始める。大幅に紙面が割かれている「運用基本方針」はミスを減らす方法の具体例である。
色々と書かれているが、「自己分析」から始まるということを延々と繰り返している。自分がどんな人間なのか、どんな人生を送りたいのかをまずははっきりとさせる。それができればいつ頃にどのくらいの出費があるのかとか、どんな方法で資産を運用すればいいのかとか、その辺りがはっきりしてくる。あとは只管具体的な方法を考えて実践する。これが全て。
適当なまとめになった気がする。。。正直、「敗者のゲーム」ってなに? が明らかになってから新鮮な話はほぼない。しかし、エリスは「優れたアドバイスは必ずしも複雑である必要はない」と文中で述べている。まさにその通り。誰もがやるべきと思っている自分の将来、お金について真剣に考えること、これができれば「敗者のゲーム」に勝つための第一歩が踏み出せたことになる。
そんなわけで、とりあえず、来月あたりに『ポートフォリオ・マネジメントのパイオニア的手法』を買う。あと、気になっている別の本も一冊。で、運用基本方針を立てることにする。立てたらどうしようかな。ここに公開するのもね。。。どっかに文書で管理する。就活生の時にやった自己分析を思い出すわ。。。