食品に含まれる放射性物質の基準値が50~100Bq/kgに変更されるとのことですが、
個人的には全く論外だと考えます。食品と一緒に摂取されたセシウムが体内臓器
にどの様に集積するか?ベラルーシの報告例をまとめてみます。

チェルノブイリは旧ソ連で起きましたし原発という国際的な公害問題でもあります。殆どの調査・研究には政治的な意味合いが折り込まれていると想像しますが、独裁政権に抗し地位も身の危険もいとわず発表された声明は取りあえず傾聴すべきかも知れません。

①まず、毎日セシウムを食べる事による体内の蓄積度合いを再掲します。
 排泄が遅い為、大人が毎日20Bq食べると全身で3000Bqを越える蓄積が予想されます。
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②仮に体重60kgであれば全身平均では50Bq/kgですが、セシウムは筋肉に溜まりやすい
 と言われています。チェルノブイリ事故後のオーストリアで検屍的に解剖測定し、
 筋肉は全身平均の1.7倍ほど集積しているとの報告もあります。
 (茨城や栃木と同程度の汚染地域ですが1日平均20Bq程度食べてしまっていた様です)
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ゴメリ医科大のバンダジェフスキー氏のグループは汚染度の高い地域で解剖病理的に
 調査を行い臓器集積を詳しく調査しています。オーストリアとの比較から恐らく1日
 100Bq程度を食べてしまっている地域の様に見えます。
 ・「小児の臓器におけるセシウム137の慢性的な取り込み」(英文)
 ・「study2007による同論文の日本語訳」(和文)
 また子供は大人の2~3倍の臓器集積との事です。
 放射線の感受性も子供は3~5倍高いという推定もありますので、
 量×感受性で考えると「子供は大人の1/10以下」を目指すべきと考えます。
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④また生後6ヶ月までの乳幼児の場合、子供の平均と比べても更に数倍の臓器集積が
 認められるとの事です。胎盤は母体からのセシウムを取り除く役割もある様ですが、
 胎盤への集積が100Bq/kgを越えると胎児も影響を受ける可能性があると言及しています。
 (胎盤への集積が全身平均の2倍と考えると妊婦さんの1日平均20Bqの摂取で達します。)
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⑤バンダジェフスキー氏のグループは事故直後の大量被爆がその後の慢性被ばくに影響した
 可能性にも言及しています。1997年時点で10歳以下(つまり大量被ばくしてないグループ)
 と子供全体の平均を比較することで、甲状腺の慢性被ばくが高いこと、逆に心筋などへの
 集積は下がることなどがデータから示唆されます。
 これは初期の大量被ばくで甲状腺機能が低下した恐れがあることや、逆に心筋の長期慢性
 被ばくを助長した可能性などを示唆しており、極めて重要なデータだと考えます。
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いずれにせよ、臓器集積を考えると1日あたりの摂取量が100Bqなどというのは論外で、
大人でもその1/10(つまり1日あたり10Bq程度)以下を達成すべきと思います。特に、
子供や妊娠可能性のある女性はさらに1/10(つまり1日1Bq以下)を目標に据えるべきと
思われます。また、この水準はチェルノブイリ膀胱炎の時の見積と殆ど同じです。