国や自治体の環境放射線測定が「ビルの屋上」で測られていることに関して批判や擁護
など混乱が見られますので、近似的ではありますが測定についてまとめておきます。

①まず検出器高さに応じた地表からのγ線検出量の式です。
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②γ線の空気による減衰係数です。アイソトープ手帳によると実効的には
 「ビルドアップ効果」を考慮しμ=0.0037[m^-1]程度を用いる様です。
 (入院中な為手元に資料が無く伝聞情報ですが、、、w)
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③検算を兼ねて文科省の
 「ゲルマニウム半導体検出器を用いたin-situ測定法」と比較してみます。
 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No33.pdf
 「高さ1mの測定では30~40m程度の範囲を見渡せることが必要」との事です。
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④高さ1mと20mについて「どのくらいの範囲」の放射線を検出しているか
 計算してみます。充分遠方(400m)まで積算してみましたが、当然、
 測定値、測定範囲ともに異なります。さらにビルの屋上の「端っこ」などでは
 屋上を見込む部分と地上を見下ろす部分が混ざるのでややこしい事になります。
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⑤話題になった「18mのビルの屋上の値」を見てもだいたい「7割程度」低めに
 観測しているようです。あくまでも事故前後の相対変化を見るべき測定点だと思います。
 http://ftp.jaist.ac.jp/pub/emergency/monitoring.tokyo-eiken.go.jp/monitoring/sokutei/sokutei.html
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⑥検出器の高さ依存性です。当然ですが、文科省の資料でも
 「検出位置が高いと過小評価になるので気をつけましょう」と注意しています。
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 ビルの屋上の測定をことさら批判するのも確かに大げさですが、それに対し
 「地上の測定と比較しても問題無い」と言ってしまうのは
 「物理的に間違い」なので控えた方が良いと思います。
 さらに福島の原発事故後はかなり多量の放射線物質が飛散し、その挙動はまだ
 明らかではありません。それらは「それぞれに違う計測である」と考えるべきです。


⑦同様に福島県内および近隣地域に予想される「身近なホットスポットの探索」
 には「校庭のど真ん中でのγ線測定」は適当ではありません。
 広域測定と生活圏における狭い範囲の測定もまたそれぞれ違う役割を担って
 いますので「β窓を開けた測定」も重要になると考えます。
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⑧「退避基準」も「環境放射能の測定法」も国の想定は甘いものでした。
 新たな指針が早急に必要と考えます。
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