まず1号炉から順番に何が起こってどうなっているのか?
私が見ているポイントと今後の予想を書きます。御意見などあれば御願いします。

参考
・元東芝設計グループ後藤さんの資料(図の多くはお借りしました)
・原子力工学者からの声明
・原子力安全保安院の資料など

①そもそもは原子炉の冷却水は閉じたループです。2次冷却系のループに熱だけを逃がします。
 それが今漏れています。恐らく本体(1号機は小さい?)も配管も漏れがあると思っています
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②地震をきっかけに炉内の温度・圧力が上昇し冷却水水位が低下。燃料の70%損傷と推定。
 翌12日に圧力を抜くためベントを行う。その後水蒸気爆発で建屋が損傷しました。
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③一号炉格納容器。人が出入りする穴や導入系があり高温・高圧になればリークします。
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④設計値(限界):圧力容器88気圧/300℃、格納容器4.3気圧/138℃を越えると保証できません。
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⑤炉心には安全弁があり、ある圧力を超えると自動的に格納容器に蒸気などを逃がすそうです。
 制御棒を動かす導入部や中性子を測る計測器を入れる穴も多数あります。
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⑥そういう駆動部はだいたい弱いです。高温、高圧で「抜ける」とリークします。
 ただそういうリークは圧力差が小さいと見えなくなったり「ややこしい」のが普通です。
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⑦建屋に水素が充満し爆発したことは圧力容器→格納容器→建屋に漏れる(破損)ルートが
 初日~2日目にできた事を示します。現在も水蒸気が放出されている様です。
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⑧データがない時期もありますが格納容器の圧力は当初設計圧力を遥かに上回ったようです。
 その後破損が進んだと思われます。今は大気圧に近いレベルになっています。
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⑨ただし圧力容器の方は6気圧程度は保持しています。ある程度のシールド性は残ってる様です。
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⑩スリーマイル島の事故後の炉心の様子。燃料は炉内でギリギリ止まっていたそうです。
 これで45%の損傷との事なので1号炉はさらに悪い状態になっていると考えられます。
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⑪恐らくは溶岩の様に溶け落ち、炉心の底に溜まっていると思われます。海水を入れたので
 「岩塩蒸し」状態になっていたかも知れません。(3月25日からは淡水に復旧しましたが)
 「溶岩」の性質なのか、あるいは断続的な臨界反応が起こるせいか
 判りませんが2号炉や3号炉にくらべ温度がなかなか下がらない
 のが非常に気になる点です。

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⑫格納容器内の放射線量率が高いことも「単に冷えにくいだけ」で済ませない理由の一つです。
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⑬格納容器内雰囲気モニター(CAMS)は2系統あり「水素・酸素濃度」と「放射線量」を
 独立の2系統の測定装置で計測しています。(図は浜岡原発の故障時の資料から転載)
 1号炉のCAMの値は4月8日の余震の際100Sv/hを越え故障とされましたが翌朝に68Sv/h
 程度を表示していたことは国会議員からの質問で判っています。
 「絶縁状態の不備」と発表されていますがこういう計測系が2系統同時に、しかも同様
 の壊れ方をすることは私の経験上からは滅多にありません。生データの開示がされるまで
 私は東電の発表は信じず判断を保留しています。

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以上1号炉についてまとめると

・炉心本体とタービン建屋側配管の両方にリークがありそうだが、まだシールド性はある。
 逆に言うと気密性がある事により水素爆発の可能性をはらんでいる。窒素は必要。

・格納容器はかなりリークが大きく水も空気も漏れていそう。

・再臨界の懸念は払拭できない。(再臨界については次の記事に記載予定)

・水素爆発、及び再臨界により燃料が炉心を抜け水蒸気爆発を起こる可能性は排除できない。
 が窒素封入もある程度進んでおり、臨界も微小かつ断続的であれば炉心を抜ける程の発熱
 に発展するとは考えにくい。
仮に爆発した場合の規模は米、仏は恐らくシミュレーションで
 知っていると想像する。が、一般に公表されているデータから推測するのは不可能。

 特に「格納容器の温度」は重要であるので公開して欲しい。
 優先度の最も高いデータの1つと考える。


・復旧への手順は
 タービン建屋の汚染水除去→循環系の復旧→(もしも可能であれば)本体側のリーク
 の修理もしくは漏水を回収する機構の追加。空中への漏れは回収不可能?

最低1年~2年程度の冷却継続が必須であるが大きな余震がくると全ての計画が崩れる。
という感じに考えています。