「イレッサ耐性後タルセバ奏効中」の方から採血などの治療経過をご提供頂いた。
一般的な治療データから何が判り、また判らないのかを記載してみる。
現在アバスチンとTS-1を併用し制御中とのこと。標準治療とは異なる経過を辿っているが、
経過は良好。タルセバ後のイレッサ再奏効の可能性があり得るか?等を探るのが目的。
・50代、女性、非喫煙者。
・肺腺癌、左上葉にφ34mmの原発、肺内転移、リンパ節転移。胸水。ステージIV
・2007年7月:ドセタキセル1コース。骨髄抑制の為中断。
・2007年8月:イレッサ服用開始。奏効(著効?)。1年5ヶ月継続。アバスチンも上乗せ。
・2009年3月:イレッサ耐性の為、アリムタ+ジェムに移行するも無効。
・2009年4月:タルセバ開始。6ヶ月程度は現状維持。
・2009年8月:タルセバにアバスチンの上乗せ再開。CEA減少傾向確認。
・2010年2月以降:タルセバ単剤でテスト中。
・イレッサを1年以上継続後の2008年12月頃にGOT/GPTの上昇が見られる。が、投与量を
減量することなく肝機能が持ち直している。とはいえCEAマーカーは上昇を始めており、
イレッサの効き目が落ちていることは示唆されている。
・その「きっかけ」か?判らないが同年9月頃からゾメタの併用も始めており、正常値ながら
GOT/GPTの上昇傾向がスタートした時期に重なる。(ベースにアバスチンも併用)
・アバスチンもゾメタも肝代謝とは考えられていない?が、ゾメタの副作用にはGOT/GPT上昇も
時々見られる。通常副作用は問題にならないし、ALPが下降していることを見ても、ゾメタの
意義はあると思われる。が、イレッサと併用することで肝機能に一時的に負担を与えた結果、
薬剤代謝酵素(シトクロムP450 3A4/CYP3A4という薬物代謝酵素)が増強された、、
というシナリオも想像される。
・治療前後の遺伝子変異とその割合などは不明。イレッサによる2次耐性がついたのか?
あるいは元々T790Mなどの成分が含まれていたのか?など判断できない。
・イレッサの血漿中濃度も不明。で、あるが投与を続けると副作用の皮膚、爪疾患が軽減
するとのこと。濃度低下を示唆する現象とも考えられる。
・LDHにやや高値があるが、γーGTP、T-Bill、クレアチニン等に全く問題は無い。
電解質やアルブミンも正常値かつ安定している。
イレッサ投与前後の本症例について、採血、CTなどの通常検査から知り得た事は、
・吸収、体重 :(多分)あまり変化無い?
・肝臓代謝 :イレッサ投与後1年程で増強?
・血漿タンパク質 :変化無し?
・細胞膜 :変化無し?
・細胞分裂周期 :恐らく遅い(2ヶ月程度)?
・遺伝子変異分布・割合:不明
・遺伝子変異までの期間:不明
・薬剤トラフ濃度 :不明
PETのSUVmaxは注射2時間後の「レイトフェイズ」でも5~9程度と低い活性度を呈しており
(胸膜癒着術を施した患部はSUVmax=11程度だが治療による炎症と考えられる)、
細胞殺傷系抗ガン剤よりも分子標的剤の方が有利な様に思える。
「血中の薬剤濃度」と「遺伝子変異の割合」という直接的な判断材料が無い為、強く推奨は
できないが、皮膚などの副作用と肝機能を見ながらイレッサ増量を検討する価値はあると
考える。(追い打ちのタルセバが奏効している事も1つの傍証かもしれない?)
増量の程度は第I相試験の結果から500mg/day(1日2錠)が上限になると考えるが、
マーカーや血漿中薬剤濃度等を見ながら1000mg/3day(3日で4錠)や750mg/2day
(2日で3錠)、あるいは「14日間は500mg/day+14日間は250mg/day」などの
投与スケジュールが試験されるべきと考える。
ただしいずれの場合も、イレッサは血中濃度が安定するのに7日間程度を要すると
考えられる為、最低2~3週間は様子を見る必要がある。
一般的な治療データから何が判り、また判らないのかを記載してみる。
現在アバスチンとTS-1を併用し制御中とのこと。標準治療とは異なる経過を辿っているが、
経過は良好。タルセバ後のイレッサ再奏効の可能性があり得るか?等を探るのが目的。
・50代、女性、非喫煙者。
・肺腺癌、左上葉にφ34mmの原発、肺内転移、リンパ節転移。胸水。ステージIV
・2007年7月:ドセタキセル1コース。骨髄抑制の為中断。
・2007年8月:イレッサ服用開始。奏効(著効?)。1年5ヶ月継続。アバスチンも上乗せ。
・2009年3月:イレッサ耐性の為、アリムタ+ジェムに移行するも無効。
・2009年4月:タルセバ開始。6ヶ月程度は現状維持。
・2009年8月:タルセバにアバスチンの上乗せ再開。CEA減少傾向確認。
・2010年2月以降:タルセバ単剤でテスト中。
・イレッサを1年以上継続後の2008年12月頃にGOT/GPTの上昇が見られる。が、投与量を
減量することなく肝機能が持ち直している。とはいえCEAマーカーは上昇を始めており、
イレッサの効き目が落ちていることは示唆されている。
・その「きっかけ」か?判らないが同年9月頃からゾメタの併用も始めており、正常値ながら
GOT/GPTの上昇傾向がスタートした時期に重なる。(ベースにアバスチンも併用)
・アバスチンもゾメタも肝代謝とは考えられていない?が、ゾメタの副作用にはGOT/GPT上昇も
時々見られる。通常副作用は問題にならないし、ALPが下降していることを見ても、ゾメタの
意義はあると思われる。が、イレッサと併用することで肝機能に一時的に負担を与えた結果、
薬剤代謝酵素(シトクロムP450 3A4/CYP3A4という薬物代謝酵素)が増強された、、
というシナリオも想像される。
・治療前後の遺伝子変異とその割合などは不明。イレッサによる2次耐性がついたのか?
あるいは元々T790Mなどの成分が含まれていたのか?など判断できない。
・イレッサの血漿中濃度も不明。で、あるが投与を続けると副作用の皮膚、爪疾患が軽減
するとのこと。濃度低下を示唆する現象とも考えられる。
・LDHにやや高値があるが、γーGTP、T-Bill、クレアチニン等に全く問題は無い。
電解質やアルブミンも正常値かつ安定している。
イレッサ投与前後の本症例について、採血、CTなどの通常検査から知り得た事は、
・吸収、体重 :(多分)あまり変化無い?
・肝臓代謝 :イレッサ投与後1年程で増強?
・血漿タンパク質 :変化無し?
・細胞膜 :変化無し?
・細胞分裂周期 :恐らく遅い(2ヶ月程度)?
・遺伝子変異分布・割合:不明
・遺伝子変異までの期間:不明
・薬剤トラフ濃度 :不明
PETのSUVmaxは注射2時間後の「レイトフェイズ」でも5~9程度と低い活性度を呈しており
(胸膜癒着術を施した患部はSUVmax=11程度だが治療による炎症と考えられる)、
細胞殺傷系抗ガン剤よりも分子標的剤の方が有利な様に思える。
「血中の薬剤濃度」と「遺伝子変異の割合」という直接的な判断材料が無い為、強く推奨は
できないが、皮膚などの副作用と肝機能を見ながらイレッサ増量を検討する価値はあると
考える。(追い打ちのタルセバが奏効している事も1つの傍証かもしれない?)
増量の程度は第I相試験の結果から500mg/day(1日2錠)が上限になると考えるが、
マーカーや血漿中薬剤濃度等を見ながら1000mg/3day(3日で4錠)や750mg/2day
(2日で3錠)、あるいは「14日間は500mg/day+14日間は250mg/day」などの
投与スケジュールが試験されるべきと考える。
ただしいずれの場合も、イレッサは血中濃度が安定するのに7日間程度を要すると
考えられる為、最低2~3週間は様子を見る必要がある。

