9月10日付で「医療施設動態調査結果」が出された。こちらは平成21年6月現在の値
全国の病院施設数や、形態別の施設の増減などをまとめたものである。

「一般診療所」とは病床数19床以下の小規模医療施設を示している。
その中でも表2の公益法人、医療法人、個人病院、などが概して「開業医」にあたる。

平均病床数「3弱」の医療法人が約35000病院。
平均病床数「1弱」の個人病院が約48000病院。
殆ど病床の無い社会福祉法人や会社経営が約9000病院。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-doutaih19

国内にある約11万の「病院」の内、約10万施設が小規模な「診療所」に過ぎず、
かつ、9万3000施設が医師数が1人~数人?程度の「私的」病院である事が判る。

財務省資料に拠れば、平成18年時点での医師数は約26万人(うち研修医1.4万人)
なので、全医師の約40~45%が既に「開業医」になっている事が推定される。

結果、12万人?~15万人程度の勤務医が約1万カ所の「病院」で診療をしている。
国立(がんセンターなど)の大病院や大学病院に人的資源が集中している事を
考えると、多くの施設で平均医師数は10人前後という状況になる。

開業医は救急も手術も夜間診療もやらない。そのしわ寄せは勤務医に集中し、
地方病院などでは「1年中、たった数人の医師で当直を廻す」破綻状態にある。
日本の医療は実質的にはOECD平均の「半分以下」の医師数で持ちこたえている。

国民医療費推計によると平成19年度の場合で、こういった「一般診療所」に
支払われた医療費は約8.3兆円にものぼる。公的診療所も僅かに含まれるが、
1施設あたりの「売り上げ」は全国平均で年間約8300万円と計算される。

日本では医師の開業は「完全に自由」で専門性や技量、経験など一切問われない。
診療内容や経営にも実質的に制限やチェック機構は無い。原則「何をやっても良い」。

極端な場合ホメオパシーや超低量抗癌剤など、詐欺もしくは殺人に近い行為で
あっても医師免許さえ所持していれば免罪される状態になっている。

国民の医療に実質的に殆ど貢献せず、かつ診療内容も極めて不透明な「開業医」に対し
直接経費だけで8.3兆円、薬局調剤費も含めると10兆円規模の国民医療費が投入され、
不良債権化し消失している。このロスは今後も確実に増加してゆく。

仮に国民医療費に10兆円以上の公費を投入しようが、あるいは医師の数を
10万人増員しようが「開業医制度」と「無制限な医師報酬」を放置したままでは、
殆どドブに捨てるのと同じだと考える。

本当に治療が必要な患者は大病院に流し、低リスクかつ高収益な患者だけを取り込む。
開業医「機構」は官庁にぶら下がる天下り法人や公共事業における丸投げゼネコンと、
そのムダの「規模」と「質」において酷似している様に見える。