衆議院選挙前の旧政権が総合科学技術会議で「最先端研究プログラム」という
競争的資金の公募と採択を行った。それを民主党は白紙?に戻そうとしているらしい。

今年度の補正予算は15兆円という国際公約?が先行し、どの省庁も使い切れずドブに
捨てている。科学技術費も政権が変わる前に滑り込みで2700億円をばらまいた様である。

スケジュールと主な仕様は、
・7月3日広報、7月31日公募〆切。書式自由10ページ以内
・8月下旬に採択決定
・1件あたり30億~150億円を目安
・3~5年で世界のトップに立つ、中長期的な底力アップ、成果の社会への確実な「還元」
・中心研究者は日本国籍を有すること
結果的に以下の30件が採択され9月4日に報告された。平均すると1件あたり90億円。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-saiyo2

転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-saiyo3

(本ブログの転載資料では解像度が低いかも知れませんが、、)
詳細は総合科学技術会議のホームページ(資料3の別添「選定結果」)
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu84/haihu-si84.html


最近流行のキーワードは「環境」と「高齢化社会」。ちょっと前はナノテク、バイオ、、
などだったので、今回はそれらを組み合わせれば採択された様である。

直接知っている分野も数件あるが、なにより貧しい点はド素人の私がたった3行の説明文
を読んで想像がついてしまう事だろう。しかも20件くらいは「インチキ」とは言わないが、
拡げた風呂敷の1/10の成果も出ないで有ろう事が明らかな様に見える。

私自身は(自分が研究者だというバイアスを差し引いても)日本の科学技術費は低すぎる
と考えてきたし、ITERですら「国内誘致に賛成」の立場でいた。
研究費というのは9割くらいはムダになっても当然と思っている。

しかしこの30件の多くは、明らかに項目と予算規模が釣り合っていない。
「先ず1億円以内(それでも充分過ぎるくらいだが)で様子を見るべき」モノが多々ある。

また「中心研究者に企業の人が就いた方が良いモノ」もあるし、そもそも代表者の
「国籍」を規定する事自体、既に終わっている感がある。
企画と選考が「不透明」「不公正」「不公平」、かつ「大慌て」だった事が伺える。

民主の「見直し」には賛成だが、何をどう見直すのかは重要である。この30件には、
・金額を増額し、かつ国策でやる項目
・金額を1/10くらいに減額し、2~3年様子を見る項目
・不採択にすべき項目
が混在している、と私には思える。民主党がこれまでの「御用学者」を廃し、どれだけ
「スジの良い」人と相談できるのかが、この見直し論議で測れる。愉しみが1つ増えた。