9月2日付で厚労省から「平成19年度の国民医療費の概況」が発表された。
国民医療費の総額は約34兆円。今後1兆円/年ペースで増加傾向。19年度内訳は、
・一般医療費:約25.6兆円
・歯科医療費:約2.5兆円
・薬局調剤費:約5.1兆円
・  その他:約0.9兆円。、、確かに10年後には国が破綻しそうな勢いである。

私自身も末期癌患者として3年近く治療を継続し、相当に医療費を消費してきた。
「これ以上は絶対ムリ(笑)」と言うぐらい治療を繰り返した。費用は膨大である。
が、私が受けた給付金合計はこれまでに支払ってきた保険料の実費にすら到達していない。

言わば私の様な重病人?ですらモトも取れず終わるところだった訳である。

確かに老人は医療費が掛かる、例えば癌の場合も罹患するのも殆どは高齢者である。
・初回治療:手術    100~300万円×1回
・再発  :抗癌剤   20~40万円×6~12コース
・再々発 :放射線   60万円×2回
・    :入院・検査 50~200万円
安くても200~300万円。フルコース(笑)だと1000万円?。大変な浪費である。

が、まとも?に働いてきた「高齢者」は健康保険を長期間、一応は払ってきている。
仮に年平均30万円(半分は事業主負担)を30年払っていれば900万円である。
国保の負担割合は低いが、「保険」という性質上それほど不足だとは思えない。

例えば平成19年度も事業主・被保険者の支払った保険料合計は約16.8兆円。
患者負担も約4.8兆円であり直接的な医療費だけで約21.6兆円は「納めて」いる。
(下図は国民医療費概況のp4「制度区分、財源別国民医療費」を抜粋)
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-iryohip5

問題は現状ですら不足し、公費で補っている12.5兆円が「一体何なのか?」
また「今後どうすべきか?」という点にある。

厚労省は「診療報酬の引き下げ」や「回数制限を超える診療行為の自己負担化」など、
小手先案も考えたが医師会や族議員にも反発された上、結局は焼け石に水だった。

結果、厚労省は医療費問題解決の切り札として「後期高齢者医療制度」に行き着いた。
この制度の是非を議論する時に「姥捨て山だ」とか「年金の天引きは酷い」などの
情緒論を持ち出すのは適切ではない。本質的な問題は別にある。

一方、与党になった民主党も医療費問題の解決策としては「公費負担増で賄う」という
立場に立っており、5年から10年程度の「延命」がせいぜいと考える。

(自民は論外として)結局、厚労省も民主も公費負担の12.5兆円に対し、
「今後どうするか?」という観点しかもっておらず、「何処で消えているのか?」について
は意図的に触れようとしていない。次回はその「聖域」の予算規模について記載する。