民主党の岡田幹事長は報道では「予算をゼロベースから見直す」と言った様である。
現実にはそれがどの程度の事か想像し、民主への1票の価値を粗く見積もってみる。

話の流れから最も簡単な1例として防衛省所管の研究費を眺めることにする。政府資料では、
・防衛省技術研究本部
・定員851人(研究職543人)
・予算1563億円
・主な研究内容
 :戦車や潜水艦、機体などの試作・研究(M菱重工、KW重工)
 :民生品(まさか携帯やネット?)を応用したネットワークシステムの構築(4億~85億円/件)
 :どうでも良さそうな「調査研究」、などなど、、

研究でムダが出るのは仕方無いが、研究員500人の単独組織に5年で7500億円を計上
するのがどれ程ケタ違いか、少しでも研究に従事した経験があれば容易に想像できる。

これは国際熱核融合実験炉ITERを日本1国でやれてしまう予算規模に匹敵する。
(もっともITERをやるには国内だけでは人材不足過ぎる為、何兆円積んでもムリだが)
殆どが外注?恐らく仕様書すらメーカー(やその下請け)に書かせているレベルと思われる。

24万人の常備隊員を削減し、予備役に振り分けたり、外務省所管のODA部隊を
新設するなどで人件費は半分程度にできるかも知れない。

またシステム発注などは(仮にH立システム?あたりだとすると)30億円で
受けているとすればどうせ原価は1億円以下と言うところであろう。

とはいえ、防衛省の真の存在意義は
・米軍との軍事同盟の窓口機関、
・失業者対策、
・国内軍需産業の維持・育成
なので、人件費や企業向けの「ばらまき」を削り過ぎる訳にもいかない。

1つ1つの案件を精査し、メーカーや担当者の事情聴取を始めると、これ程簡単な例
にも関わらず、最低でも1件あたり数週間から数ヶ月を要する作業になる。
非常に荒っぽく「続けるor止めるor半減」程度を決心するだけでも数日は要するだろう。

国の会計の100兆円分について、平均100億円程度の細目までチェックするとしても、
精査すべき案件は1万件規模となる。100人で取り組んでも1人あたり100件。
「10日で1件」ペースで休日も殆ど取らず頑張っても「1000日」を要する。

殆どピラミッドや万里の長城建設に匹敵する大事業である。民主議員にどんなに
やる気があっても党関係者で各事業を真に精査できるのは恐らく20~30人程度?
とすると4年間で20%程度を精査するのがせいぜいと想像する。

事業の中身と裏側、業界の相場や手口を熟知し、現状走っている予算に付帯する
「根拠」を覆し、かつ「建て前の言葉」で法案を潰したり修正するのは
世間で思われている程簡単な作業では無い。

しかも10件をチェックする間に、裏で似たような代替事業を10件立ち上げられたり
すると、行革など全く進まない。まるで末期癌患者の治療の様である。

各省庁に対し100人程度(国交省と厚労省には300人、総勢1500人規模)
の省外の専門家チームを結成し、国家プロジェクトであたれば相当な範囲の精査は
できるかも知れないが、それ程の難事業であるとの認識は民主党にも無い様である。

が、仮に民主が3000万票を獲得し、その結果10兆円分でも事業の適性化を実現できれば、
1票当たりの価格は約30万円と換算される。ま、2割もほじくり返せれば充分であろう。