現状の安全保障の状態は、自民党か官僚の誰かが何かを考えた結果こうなった訳ではない。
米国との軍事同盟以外に選択肢は無かったし、選挙後もその事情は1mmも変わらない。

世界全体で「軍備」と評価される支出は大雑把に言って100兆円。各国別では、、
・米国:50兆円?
・日本:4.5兆円?
・韓国:2.5兆円?
日米韓の軍事ブロックで世界全体の約6割を占める。
(ちなみにロシアは4兆円、中国は5兆円、インド2.5兆円)

さらに、実際の軍事力は諜報力と原子力潜水艦で決まると考えられており、
米国の戦争遂行能力は数字以上に群を抜いていると言える。

ロシアが北海道に侵攻したり、中国が沖縄を攻撃する事は有り得ないし、
逆に日本が米露に対抗して中東や中央アジアに侵攻する必要もメリットも無い。

極悪非道のプーチンが多少なりともオバマの言うことを聞くのは米露の原潜の差の
故であり、仮に日本の自衛隊の戦力が半分でも、倍でも、この事情は全く変わらない。
中露という隣国との紛争を解決する手段として自衛隊の存在意義は無い。

逆に、日本が他国の一地域を占領しようと思えば、かなりコンパクトな領域でも、
10万人規模の派兵が必要となる。手当等を含め1人あたりのコストを2000万円/年
とすると人件費だけでも2兆円。設備費や武器を含めると年間10兆円規模の公共事業となる。

勿論、いざ戦争となると自衛隊員の殆どは退職するであろうから再募集が必要となる。
石油やウランが手に入るなら別だが、それだけの出費と人的損失に見合い、かつ
米中露EUとの関係を崩さずに武力で獲得できる地域は向こう数十年は発見できそうにない。

すなわち「日米同盟を堅持しつつ、利益の乏しい海外派兵は行わない」という、
安全保障体制がベストであり、どの政党が政権を取ろうと当面は変えるべきではない。

日米同盟の問題の1つはブッシュの様な政権が登場した時に「国際貢献」を強いられる事である。
が、世界唯一の被爆国である日本には「憲法9条」という誰も言い返せない最強のカードがある。
「極東の1代官」であるにも関わらず、これだけは「米国幕府」の将軍も老中も手出しできない。

日米同盟の破棄を目指す共産、社民に政権担当能力は無いが、憲法9条を「戦争ごっこの
邪魔」としか捉える事しか出来ない、保守バネ頼みの自民改憲派も国会議員としての資質に
欠けると言わざるを得ない。