政権がどうなるか以上に重要なのが最高裁判事の国民審査である。

本来、最高裁判事を内閣が指名する事自体、決定的な制度欠陥である。少なくとも、
総理大臣が交代する際には、総入れ替えをすべきである。が、現状の制度では、
一度国民審査を経ると、70歳未満である限り任期は10年も認められてしまう。

それ程重要な国民審査ではあるが、実際に「審査」するとなるとなかなか難しい。
判事の実績や最高裁での判断の根拠など、補足意見に遡りじっくり検討する必要がある。
「行楽から帰宅し、夕食までの間に投票に行ったついでに信任」できる類の話ではない。

長官1名と14人の判事の内、今回審査の対象となるのは以下の9名。

竹崎博允(長官)東京大学  裁判官  麻生内閣
那須弘平    東京大学  弁護士  第3次小泉内閣
涌井紀夫    京都大学  裁判官  安倍内閣
田原睦夫    京都大学  弁護士  安倍内閣
近藤崇晴    東京大学  裁判官  安倍内閣
宮川光治    名古屋大学 弁護士  福田康夫内閣
桜井龍子    九州大学  行政官[1] 福田康夫内閣
竹内行夫    京都大学  外交官  麻生内閣
金築誠志    東京大学  裁判官  麻生内閣

各判事の司法判断等を極簡単に眺めた結果、私の判断は、、。

<竹崎長官>
・裁判員制度に尽力?最高裁判事を経ずに2008年11月長官に就任。
 
 裁判員制度は見直しor凍結すべきと考えるので竹崎判事の判事としての
 判断は別として、少なくとも長官としては不信任にしたい。→<不信任>

<那須判事>
・国籍法3条1項違憲訴訟において、認知されたハーフの子の国籍取得を父母の婚姻を
 条件とし、却下した行政判断に対し、違憲判決が出た判決。において、違憲判断。
・郵政組合員に対する懲戒免職処分を不当とした判決。で懲戒処分は不当と判断。
・「君が代伴奏拒否訴訟」上告破棄。で、教職員は命令に従うべきとの判断。
 しかし那須氏からは教諭の拒否表明に一定の理解を示す補足意見が述べられている。

 上記判断、及び補足意見から公平さと正義に関し疑義は認められない。→<信任>

<涌井判事>
・弁護士思想調査事件。情報収集活動については合法と判断?
・認知された子の国籍取得(上記)。違憲判断。補足意見あり。
・東海第二原発許可取り消し訴訟。住民敗訴。

 原発訴訟でどの程度の割合関与したのか明確に判らないが、単純に国に迎合した
 対応では無かった様である。判断は概ね正しい様だが、大きな司法判断をする事
 の責任に耐えられない傾向がある?→<要調査、信任?>

<田原判事>
・政党候補者と無所属候補者の選挙運動に差異があるのはおかしい訴訟。違憲判断。
・認知ハーフの子の国籍取得却下事件。違憲判断。
・君が代伴奏事件。校長の指示は合憲。
・防衛医科大痴漢事件。逆転無罪判断。5人中3人の中の一人。

 むう、、まあ、良さそうかな。→<信任>

<近藤判事>
・早稲田大江沢民講演名簿提出事件。プライバシー侵害を認定。(それでも不十分だが)
・ハーフの子の国籍取得却下。違憲判断。

 反対する理由は無いので。→<信任?要調査>

<宮川判事>
 弁護士出身で最高裁の任期も短い為、特筆すべき判断資料が見つからない。
 とりあえず。→<要調査、信任?>

<桜井判事>
 裁判実績なし?行政官から裁判官を選ぶこと自体そもそも有り得ない。
 「枠」撤廃の意義も込めて。→<不信任>

<竹内判事>
 元外務事務次官。「枠」撤廃の必要性から→<不信任>

<金築判事>
 最高裁に就任して半年。判断に足る資料不足。→<要調査、信任?>

結局、少し調べた範囲では、以下の様な判断となる。引き続き40日間に考えたい。
・信任できるのは  :那須判事、田原判事の2名のみ。
・信任に近い要調査は:涌井判事、近藤判事、宮川判事、金築判事の4人
・明らかな不信任は :竹崎長官、桜井行政官、竹内外交官の3人