戸塚先生の治療経過には、決定的な「治療の転機」があったと考える。

先生御本人は「2005年9月に再々発で右肺に10個の転移が見つかった時」と
お考えの様だが、私の見方は違う。真の転機は、2000年11月の初回手術後から
2004年6月の左肺に2個の転移が見つかるまでの間にあったはずである。

戸塚氏御自身がブログや立花隆さんに仰られているように、1度目の再発の画像に、
後日、2度目の再々発で目立ってくる「10個の転移」は既に幾つか見えている。

「ミリ単位なので評価出来ない」との事であるが、呼吸器の専門医なら絶対に
見逃さないレベルであるし、私が見ても明らかである。

直腸癌ステージIIIaの初回治療は当然手術である。
肺に遠隔転移が出ても予後に利益があれば手術する事は充分にあり得る。
現在でも「切れる限り、切り続ける」という考え方もあり、間違いとは言えない。

しかしながら私が戸塚先生の闘病の中で最も理解できない点は、定期検診の内容
と画像の精査を再々発するまで、全て医者まかせにした事である。

一般的な患者としては当然の態度であるが、(一流と評価される)研究者の闘病姿勢
としては、不満足であると言わざるを得ない。

医師がどういう見解を持ったとしても、「小さいけれども多数の転移が肺に見える」
という事実を中心に考えれば、1度目の再発時に手術はあり得ない。

私自身、最も大きなミスは昨年の仙骨転移の見落としであったが、これは単に医師の
報告を盲信した訳では無く、PET、骨シンチ、CTの結果を自分でも繰り返し精査し、
それでも見落としてしまった。MRIの順番待ちの間に急成長した腫瘍に対し、
可能な限り早期に手を打ったものの、半ば致命的なダメージを負った。

治療の転機は常に「見落とし」によって顕著に訪れる。
出来る治療が出来なくなったり、あるいは治療効果を下げる事に直結する。
全ての検査データを自分のパソコンに保管するのは癌治療のスタートラインだと考える。