日本放射線腫瘍学会(JASTRO)が2005年にまとめた放射線治療に関する定期構造調査から、
下図に国内の放射線治療受診患者、放射線腫瘍医、施設数、などを抜粋する。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-jastro2007

放射線治療を受けた年間患者数:約19万8千人(肺癌、乳がん原発がそれぞれ約20%ずつ)
施設数           :推定735施設(医療法人、個人病院は104施設)
放射線腫瘍医        :実質774人(JASTRO認定医426人)、とのこと。

・1人の放射線腫瘍医が診る患者数は年間平均253人
・1施設あたりの放射線腫瘍医は平均ギリギリ1人程度しかいない。
など、国内の放射線科医の現状が「お寒い」状態にある事は明らかである。

ちなみに粒子線治療はこの統計に含まれていない。
学会内での「扱い」がどのようなものか推し量れる様な気がする。

勿論「定期調査」であるので「連続性の観点から統計から除外した」と言い訳
も聞こえてきそうだが、例えば抗癌剤の教科書で「イレッサ」を除外して議論
している本は無いハズである。

国内で粒子線治療を受けた患者数は
兵庫県立粒子線医療センター :陽子線465人、炭素線125人(2007年実績)
放医研病院         :炭素線641人(2007年実績)
国立がんセンター東病院   :陽子線503人(1999~2007年合計)
静岡県立がんセンター    :陽子線570人(2003~2007年合計)
筑波大学病院        :陽子線1172人(2001~2007年合計)
若狭湾エネルギー研究センター:陽子線49人(2002~2007年合計)

(若狭湾はまあしょうがないとしても、、)数え方が違うのかも?知れないが、
患者数の比較からは国立がんセンター東病院の貢献が著しく低いと言える。

国立がんセンターについては、その位置づけ自体について議論が継続中ではある。
すなわち「臨床センターとすべきか研究センターとすべきか」論争である。
が、その議論は別途行うにしても「少なすぎる」と私には思える。

奏効率を気にするあまり、適応患者を絞りすぎていないか?
がんセンター中央病院での周知・広報は充分か?
治療効率を下げている理由は何か?
「ナショナルセンター」としての自負があるならば、率直に現状を見直し、
正当な理由の開示、もしくは改善をすべきである。

また、建設中の粒子線施設として、
南東北がん陽子線治療センター:陽子線 年間450人以上を目標 2008年より開始
群馬大医学部        :炭素線 2009年より稼働予定
福井県立病院        :陽子線 2010年より稼働予定
指宿メディポリス医学研究財団:陽子線 2011年より稼働予定
などが診療を開始する予定である。

「年間20万人」の需要は夢の様な特効薬でも開発されない限り今後20年間は続く。
それが倍増することはあっても、減少する事は無いと考える。