リニアックによるフォトン(X線)照射は症例も多く理解が進んでいる。
下図は放射線治療計画ガイドライン・2004に添付された部位別耐容線量で、
1991年にまとめられたNCIの調査タスクフォースの集計結果である。
転移性肺癌の1寛解例に関する研究、のブログ-tole090106

参考値とはいえ、この表を作成する為のコストと患者の協力、の総和を考えると
粗末には扱えない。だが、しかしこの表の解釈には注意が必要である。

「耐容」の位置付けは個々の治療や患者の状態によって、かなり異なるし、
晩発リスクの評価もその後の治療の蓄積により少しずつ変化して来ている。
特に食道など消化器系の耐容線量は最近ではもっと低めに考えられていると思う。

あくまでも「ここまではOK」という意味ではなく「これ以上は危ない」という捉え方を
すべきであるし、恐らく殆どの症例でこの表の水準以下の線量を照射していると思う。

もしも有害事象が心配ないなら照射量はさらに増加できる。
「90GyE以上の放射線にさらされると(癌を含む)全ての細胞は再生できない」
という、1つの「信仰」もある。が、高線量照射のコンセンサスは未だ得られていない。

90GyEを目指した治験は既に行われており、2009年はある程度症例数のまとまった報告
も出てくると期待はしている。が、個人的には結果は芳しくないだろう、と想像する。

多分、「癌は確かに制御出来ました。けれど適応できる症例は限られると思います」
といった結論になるのではないだろうか?