エピジェネティックな発癌研究の1例として有力になりつつある説にDNAメチル化がある。
DNAメチル化の詳細は例えば国立がんセンターのホームページにも解説がある。
国立がんセンター研究部「DNAメチル化異常と発がん」

2004年以後更新されておらず最新の情報とは言い難い。が、まあ、こういったweb情報の更新は
私の勤務先でも何年も「放置?」になる事は珍しく無い。仕事している研究者であればある程
「そんなヒマは無い」からである。ここでは参考程度に用いることにする。

他の情報等を含め、今のところ私の理解するメチル化とは、
・ゲノム内のCpGアイランドにメチル基が付加する事でmRNAの発現を調節する。
・DNAの1次構造を維持したまま、生体の分化(色々な臓器を作ったりする)を制御する。
・メチル化と脱メチル化は本来正常な生体の機能であり、親DNAから娘DNAに当然受け継がれる。
といったところである。

なぜメチル化異常が起きるのか?、また一度起こってしまった異常は正常化されるか?
という点が患者である私の興味の中心であるが、未だ明確な答えは無い。(と思われる)

ましてや現段階でDNAメチル化と食事を関連付ける事はマウスorラット実験程度の根拠
しかなく完全に時期尚早である。が、私を含めた末期癌患者にとって将来重要になるかも
しれない「幾つかの推定」を以下に記載しておく。
methyl

癌細胞内ではメチル化の結果として既にDNA一次構造の突然変異も起こっているかも知れない。
あるいは一次構造に異常が無くても、メチル化してしまった遺伝子は二度と正常に戻らないかも
しれない。癌患者が今更食事に気を使うのはムダな努力かも知れない。

しかし一方で、DNAの一次構造に異常の無い癌or癌患者が居る事もよく知られた事実である。
さらに、メチル化が酵素的な修飾であるならば細胞質内の酵素のバランスを正常に戻す?、
もしくは何らかの化学物質を付加する事で「可逆的に」正常状態に復帰できるかも知れない。

少なくとも食事をバランス良く制御する事で「新たな癌化」のリスクは下げられるかも知れない。
これは寛解を目指し、長期生存する事を目標とする私にとって重要な事の様に思える。

私は抗癌剤治療を調子良く維持する為、玄米+菜食を基本にしてきた。それを「非科学的」だと
批判する意見も当然ある。一方で血液の状態を監視し、動物性タンパク質の摂取も行ってきた。
これはマクロバイオティクスの立場からは認められない事かも知れない。

しかし私は今後もこの路線を維持するつもりである。恐らく遺伝的に肉食を主として来なかった
私(や、多くのアジア人)にとって牛肉や豚肉などの動物性脂肪はリスクが高そうだが、魚介類
でのタンパク質摂取はある程度必要な事の様に(勝手に)推定する。

一方緑黄色野菜はこれまでに不足して来た事もあり、今後も出来るだけ摂取するつもりである。
少なくとも「野菜で癌が治るわけがない」という意見は将来的に「間違い」になる可能性がある。