他の放射線治療もそうだが照射は極めて短時間で済む。むしろ準備が色々と大変である。
放医研のホームページを見れば懇切丁寧に説明がされているが私が感じた事を列記する。


1.予備検査(呼吸器の場合、気管支鏡検査がある為入院が必要):
 CT、脳MRI、PET、骨シンチ、気管支鏡検査はほぼ全員受診。特に気管支鏡検査は照射前の気管
 表面の炎症等をチェックする為必須。麻酔の為、舌をつままれキシロカインを噴霧、それをあえて
 10回くらい「吸い込む」。どう考えても健康に悪そうである。

 でも病棟に置いてある「ブラックジャック」でも「、、ピノコ!キシロカインを準備だ!」と、
 かのブラックジャック大先生も使用していた。権威に負け受諾。

 私の場合必要無かったが肺野で動きの大きい部位の場合、この気管支鏡検査の際に目印用の
 イリジウム片(長さ1mm程度)を埋め込む。これは生体に無害なので治療後も放置される。


2.固定具製作:
 照射台の上に「暖めた低反発マクラ」の様なマットがあり、寝る。冷えると固まり身体にフィット
 した「型」になる。さらに身体の上から1cm厚の熱したビニルシートを被せる。これも冷えると
 固まる。細部を挟みやカッターで切りそろえ私専用の固定具が出来上がる。
 私の場合「胸から照射」と「背中から照射」が計画されており、2種類を作成。

 手で握る為の「グリップ」をもっと遠慮無く作った方が楽だった。と本照射になって後悔した。
 これが掴みにくいと仰向けで静止する際に結構腕が疲れる。


3.CTシミュレーション:
 実際の照射状態と全く同じ状態を再現しCTガイド下で照射野、量をシミュレーションする。
 照射は「息を吐いた時」に行う。その状態での照射範囲・量を再現する。本照射の際には
 呼吸センサーを監視し続け、数回程度「再現」した後に撃つ。所用時間はむしろ本照射よりも
 長い。仰向け、うつぶせの2種類を行った私の場合約1時間を要した。

 呼吸時の「動き」センサーを見ると確かに「吐いた」時に動きが小さい。1呼吸を5秒程度だと
 すると「吸う」のは大体1.5秒程度、「吐く」のは3.5秒程度の様である。この3.5秒のうち、
 約8割の息は最初の1.5秒で吐かれ、残り2秒程度にゆっくり「吐ききる」。ここで撃つ。

 ゴルフ初心者はテークバックの際「吸う」のか「吐く」のか迷う様だが、圧倒的に「吐く」のが
 有利である。ゆっくり吐きながらクラブを上げ、切り返しの瞬間「息を止める」。やっと判った。
 最先端医療のおかげで永年の問題が解決しそうである。