昨年11月からの懸案事項?だった「ノルウェイの森」再読をついに達成した。
初読の時よりも、遥かに面白かった。よく理解できた。
ラスト近くに、レイコさんが、主人公に、大人になれ、幸せになるのよ、と言った意味も。
初読の時に理解できなかった理由は、恋愛に対する理解の浅さと人の死を忌避する心の2つだと思う。
前者については、高校時代に初読した時、私は、映画デートくらいしかしたことのないコドモで、恋愛をまるで分かっていなかった。
好きなら好き、嫌いなら嫌い、好きな人は一人しかいないのが当然、という極めてシンプルな恋愛観を持っており、いろいろな形の愛情の存在など、全く知る由もなかったし、想像したくもなかった。
だから、主人公が2人の女性に対して恋愛感情を持つのも分からなかったし、その上レイコさんに対してもある種の愛情を持つことなど、もっと理解できなかった。
後者については、9歳の時に父方の祖母と母方の曽祖母が亡くなって、10歳の時に父が亡くなって、年の割に周囲で人がよく亡くなっていたため、私は、死というものにいささかうんざりしていた。
また、経済力の欠片もなかった私は、突然の父の死の影響で、いつも母の死に怯えていた。もし母が亡くなったら、とにかく私が弟を一人前にしなくてはならない、と常に考えていた。
生きるのは、私にとって息をするくらい当然のことだった。
だから、主人公の周囲で、何人かの年若い人々が自死を選ぶことについて、そんなに簡単に死ぬなよ(と当時の私には思えた)、と鼻白む気持ちがあった。
でも、いろいろなことを経験して、見聞して、今回、再読して、よく分かったのだ。
主人公が生きていくという決意をした気持ち、「大人になる」ということ。
私の好きなマンガ「あすなろ白書」に、「僕たちは、生きて生きて生き抜くんだ!」というセリフがある。
そう、生きて、生きて、生き抜くんだ。