「政府開発援助(ODA)」
経済協力

外務省 ODA(政府開発援助)より

先進国から途上国への援助(二国間援助)と国際機関に拠出・出資する援助があり、形態は、無償資金協力と技術協力の贈与と有償資金協力の貸付とがあります。

外務省 2021年版開発協力白書より

無償資金協力と技術協力(贈与)、有償資金協力(貸付)の原資について令和4年度事業予算に書かれています。

「ODA予算」
ODA予算は、各省庁の要求の合計を満たすべく、「一般会計」「特別会計」「出資・拠出国債」「財政投融資」の財源を集め事業予算としています。「出資・拠出国債」「財政投融資」の二つは国債発行により調達します。令和4年度の例(添付図)ではこの国債の占める割合が75%を超えます。なお、一般会計はその年度の歳出が承認されているので支出されることになります。(融資の元本ではない)

上記添付図表は下記参考資料の1頁
令和4年度ODA一般会計予算(当初予算)形態別・省庁別
参考資料(令和4年度事業予算(当初予算)概要とその財源・形態別・省庁別)
財源:一般会計 5,612億円、特別会計 10億円、出資・拠出国債 2,823億円、財政投融資 1兆4,446億円
ODA予算(外務省)
 

「出資・拠出国債」

(下記、第2章 政府短期証券、借入金、政府保証債務、交付国債 の交付国債に次の説明があります。)
出資・拠出国債とは、交付国債の一種で、我が国が国際機関へ加盟する際に、出資又は拠出する現金に代えて、その全部又は一部を払い込むために発行される国債で、いずれも無利子、譲渡禁止、要求払い(当該機関が我が国の通貨を必要とし、その現金化について要求があったときは、いつでも現金化することが約束されている。)となっています。

 

財務省
債務管理リポート2022 -国の債務管理と公的債務の現状-

財政投融資とは


ODA予算の原資は一般会計(税収+国債:25%)と「出資・拠出国債」+「財政投融資」(国債発行による市場からの借入金75%)であり、概略、前者がODAの無償資金協力と技術協力(贈与)に、後者は有償資金協力(貸付)にあてられると考えられます。

 

岸田首相の3年間で300億ドル(年100億ドル:1兆3,700億円)は、官民合計の金額であり、令和4年度のODA予算総額の2兆2,890億円と比較しても突出した数字ではありません。

 

これまで日本のODA供与は近隣諸国のアジア地域に偏っていましたが、一部の政情不安定な国々を除き、韓国や中国が卒業し、経済発展しているベトナムやインドネシアなどへの資金協力が減少し返済が多くなっています。

(下図は、国際協力機構債券(JICA債)の特性の「JICA債について」に掲載された図表)

一方、アフリカ諸国は、欧州先進国の植民地だったこともあり、日本の支援は控えめでした。欧州諸国の支援が行き届かなかったところに中国が一帯一路構想により、空港、港湾、鉄道、道路などインフラ投資への巨額融資を行っています。欧米諸国は、これを「債務の罠」だとして警鐘を鳴らしています。

 

日本が立ち上げたアフリカ開発会議(TICAD)において、アフリカ諸国の持続可能な経済成長、社会、平和と安定を実現することに支援の手を差し伸べています。8月にはチェニスで第8回会議が行われ、岸田首相の3年で300億ドル支援の発表を行いました。(前回の冒頭記事)

外務省 アフリカ開発会議(TICAD)

 

「結論」

ODAの無償資金協力及び技術協力の贈与は、災害支援や紛争予防・平和維持、食糧支援、人件費・経費などに使われ、一般会計から支出され、ODAの3/4を占める有償資金協力は、国内市場より円貨を借り入れ(国債発行)その資金を途上国などに貸し出す融資事業です。有償資金協力はいわば銀行業と同類のサービスと言って良いでしょう。

上記のJICAの資料「JICA債について」に具体的な活動が説明されています。

(終わり)

 
「参考資料」 中国と韓国へのODA支援結果
中国は、2007年に有償資金協力を、2018年に無償資金協力を、2020年に技術協力を最後に終了し、有償資金協力の返済を行っています。2019年時点で回収残は約55億ドルあります。
外務省

日本のODAプロジェクト 中国 対中ODA概要

 
韓国には、無償約19億ドル供与、有償6,455億円を貸付け、15.7億ドル(1727億円、110円/$として)の回収益になりました。返済完了の2009年を最後に卒業国となりました。