5月20日、文大統領はペロシ下院議長と会談し慰安婦問題を取り上げたと青瓦台が発表した。ところがその後、日韓関係に関する発言は無かったと訂正された。

米下院議長「慰安婦問題、安倍氏に幾度も言及」…「正義の実現を見てみたい」

 

米下院議長が文氏との会談で慰安婦決議をアピール 大統領府発表に混乱も

 5月21日(米時間)米韓首脳会談が開催され、共同記者会見を行い、共同声明、ファクトシートを発表した。ほぼ米国が韓国を手元に引き寄せる内容であった。
 朝鮮戦争の記憶確認、共同防衛及び訓練の推進(韓国軍55万人へのワクチン提供)、ミサイル射程の制限撤廃(北京と東京が射程内)、北の完全な非核化、北対策への米韓日三ヶ国協力、自由で開かれたインド太平洋戦略への協力、南シナ海以北の航行の自由、台湾海峡の平和と安定、Quad(日本、米国、オーストラリア、インド)理解などと米国の対中・対北戦略に組込まれている。
 気候変動や先端技術の協力をうたっているが、具体的には同行したサムスン(半導体)、現代自(次世代自動車)、LG・SK(Liイオンバッテリー)などが約4兆円の米国投資行うと表明している。
 安全保障問題で、投資や輸出管理の協力を約束させられている。(私は、日本がフッ化水素などの戦略物資の輸出管理を厳格化したのは、米国からの通知があったものと理解している。)
 COVID19ワクチン確保に失敗した文大統領は、4兆円の対米投資を表明し韓国のワクチンハブ構想を提案して韓国生産を企んだが、具体性のないパートナーシップの宣言に終わった。バイデン大統領が韓国軍55万人分の提供を述べただけであった。ほぼ接種の終わった在韓米軍と共同作戦を行うには、韓国軍がクリーンでなければならない。
「文大統領、朝鮮戦争の英雄の叙勲に立ち会う」

「文大統領「朝鮮戦争戦没者追悼の壁」着工式に出席」

「共同声明」

・70年以上前の戦争で共同で戦った同盟関係
・両国は、民主主義、人権問題、法の支配による統治された地域を共有
・米韓相互防衛条約下での共同防衛態勢の確認、戦時作戦統制権の移管、米軍駐留費負担の6年間特別措置協定
・韓国軍のミサイルガイドライン終了(射程800kmの制限廃止)
・朝鮮半島の完全非核化、北の核とミサイルの対応
・北との外交継続(トランプ・金会談継承)、国連安保理決議完全実施
・北への人道的援助、離散家族再会促進
・北への対応、米・韓・日の三ヶ国協力
・自由で開かれたインド太平洋の米国の努力に協力
・ASEAN、メコン圏、太平洋島嶼国との協力強化
・米韓はQuadを含む地域多国間主義を認める
・平和と安定、合法的な商取引、南シナ海以北の航行と上空飛行の自由
・台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を強調
・人権と法の支配の推進
・ミャンマー軍非難声明、全ての国へ武器販売禁止を呼びかけ

(今後の方向性)
・気候変動、グローバルヘルス、5G・6G及び半導体を含む最先端技術、サプライチェーンの強靱力、移住と開発、人間関係
・気候変動:韓国、5月30日31日 P4G(Partnering for Green Growth and the Global Goals 2030)ソウルサミット開催
      米国、自国が決定する貢献(INDC)をCOP26に提出
・両国は海外の石炭火力発電所建設の公的資金補助を終了

・COVID19ワクチン:KORUSグローバル・ワクチン・パートナーシップ設立しワクチン製造拡大に韓国が協力
(具体的な約束事はない。製薬メーカーの発表では、ビン詰作業のみ。)
(バイデン大統領は、共同作戦遂行のため韓国軍55万人分のワクチンを提供と述べた。)

 

・WTOの改革

・外国投資のスクリーニング、重要技術の輸出管理の協力
・技術開発協力項目
 5G,6Gネットワーク(Open-RAN技術)、半導体、電気自動車用バッテリー、サプライチェーンの強靱力向上、自動車用半導体
 量子テクノロジー、バイオテクノロジー、AI
 (環境関連)次世代バッテリー、水素、CCS(炭素回収貯蔵)、
 宇宙航空、原子力発電
・両国の教育などの交流(省略)
・民主主義価値観の増進、人権の促進、男女の格差解消、表現・宗教・信念の自由の確保
「Fact Sheet」

「記者会見発言」

マスコミ報道
日経
米韓首脳、朝鮮半島の非核化めざす 台湾海峡でも協力

米韓首脳、ミサイル指針撤廃で合意

韓国の4兆円対米投資、供給網の中国外し加速

米、対中シフトへ韓国引き込み 首脳共同声明で台湾言及

(紙面記事)


NHK
米韓首脳が会談 朝鮮半島の非核化に向け緊密な連携を確認

米韓首脳が会談 北朝鮮の非核化に向け連携を確認か

バイデン政権の対北朝鮮政策 3年前の米朝首脳会談の合意尊重

武藤元大使の投稿

米韓首脳会談、バイデンは韓国の中国包囲網引き込みに成功せず

 

木村神戸大教授の投稿
米韓首脳会談で文在寅は弱腰批判を免れたが、バイデン外交の2つの基本「中国の体制批判」と「北朝鮮の非核化」は変わらない