福島原発のクールダウン作業は、一週間になる。この間、現場では、約800名の方々が命がけで努力されている。頭が下がる思いである。海外では、Fukushima50と50人の東電の方々を英雄視している報道がある。3月11日当時、4号炉の定期点検に入ってた約1,000名の保守要員が作業していた。

今週に入り、50人を残し、一旦750名の待避を行った時期がある。さらに、東芝が700名の技術者を応援のため派遣すると発表した。事後発表と理解する。自衛隊、警視庁、消防の方々を合わせると1,000名を超える。
Fukushima1000の勇者が、活動されている。

 外部からの電源接続がまもなくと聞き、事態が急激に好転すると期待している。なぜ、外部電源接続が1週間かかったのかと言う疑問は、後日明らかになるであろう。いずれにしても、1,2,3,4号炉は、廃炉になり、その場所に巨大なモニュメントとして残されるであろう。クールダウンに成功することを祈る。

電源周波数の統一

 被災地、関東では、冷え込みがきつく、電力使用量が増加し需要が供給を上回る恐れが出て来た。非常に憂慮すべき問題で、この地域(東電供給地域)で大停電の恐れがある。東電、政府はエネルギー節減と計画停電を呼びかけている。東電の設備能力は、6,448万kW(火力3,818万kW、原発1,730万kW、水力898万kW)であり、全国の能力2億kW(原発4,623万kW)の約1/3である。原発は、福島、柏崎の全てが停止中である。東電の発表では、4,200万kWの需要予測に対し、3.,700万kWの能力になり、需要が供給を超過する可能性があると言っている。

 他の電力会社から供給を受ければ良いのだが、周波数の違いがあり、西日本の60Hzの電力の供給は、周波数変換所の能力100万kWが限界である。50Hzの北海道電力は、規模が小さいので60万kWを融通するのが精一杯であろう。 同じく50Hzの東北電力は、大震災の被害を受け、不足している。西日本特に関西電力と中部電力は供給能力があるが、周波数の壁に阻まれている。

 日本全国、周波数が同じならば、夏場を除いて、電力不足が起こらない。通常時、3月は、全国の最大設備能力2億kWのうち、5,000万kWの余力がある。負荷率が75%である。60Hzの中部、関西、北陸、中国の4電力会社の設備能力は、8,744万kWあり、その余力は、負荷率75%の時、2,100万kWとなる。点検中などの休止発電所を考慮しても、1,000万kWの融通は楽に出来るのである。

 この大震災を経験して、今後の災害対策を考えるならば、周波数統一が望ましい。
周波数が異なって、問題を発生する電気機器は、インバータ方式、直流変換方式を除き、モータ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、蛍光灯、電子レンジなどである。

 私は、技術者の一人だが、これまでの仕事で50/60Hzの違いに、何のメリットも感じていない。100%デメリットである。各電力会社のエゴと政府の無策が、この事態を先延ばしにしてきた。首相の「東電が100%ない」と叱ったことが実現できれば、政府が主導して統一出来るだろう。

私的財産権の制限

 初めての未曾有の経験を早急に精査し、具体策を立案・施行すべきであるが、基本的な問題を先に解決しなければならない。基本的問題とは、土地の所有権である。1923年の関東大震災後に内務大臣に就任した後藤新平東京市長が立案した「帝都復興計画」が、土地所有権を主張する伊東巳代治らの反対に会い、実現しなかった。
昭和天皇におかれては、後日、後藤に仕事をさせていたらと悔やまれた、と聞く。
災害に強い都市を造るためには、土地の収用を円滑にできることが重要である。民法や災害対策基本法などの法律改正が必須である。つまり、私的財産権の制限を行うことが、将来の人々の生命、財産を守ることにつながる。