中国漁船の海上保安庁の巡視船への衝突行為に関し、公務執行妨害罪で逮捕された漁船員を、処分保留のまま釈放されたことは、納得できない。
 一般国民が、警察官に危害を加えようとして逮捕されることと同等の行為である。

 那覇地検が記者会見で次のように釈放の理由を述べている。

 「同事件では万全の捜査態勢を組み、本日まで、石垣海上保安部とともに捜査を行いました。これまで収集した証拠によっても、被疑者が、我が国の領海内で、適正な職務に従事していた石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に対し、故意に同漁船左舷船首部を、みずき右舷船体中央部等に衝突させたことは明白です。
 また、被疑者の行為は、みずきに航行障害を発生させる恐れや、甲板上の乗組員らが海に投げ出される恐れがあった危険な行為でした。他方、みずきの損傷はただちに航行に支障が生じるものではなく、乗組員が負傷するなどの被害の発生もありませんでした。
 被疑者はトロール漁船の一船長で、本件は、みずきの追跡を免れるためとっさにとった行為と思われ、計画性等は認められず、被疑者には我が国での前科等もありません。加えて、我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、身柄拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断しました。」読売新聞9月24日より

 「故意に衝突させたこと、危険な行為であること」と認めながら、船長を擁護し、「我が国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると」の理由で釈放した。
 この那覇地裁の検事の判断は、違憲であり検察庁法も守っていない。司法は、憲法及び法律に準拠し判断を求められる。つまり、検事は、政治的あるいは外交的配慮をすることなく、良心、憲法、法律に基づき職務を全うすることが求められる。

日本国憲法
第76条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

第77条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。

2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。

検察庁法
第四条 検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。

もし、那覇地検の検事が政治的配慮を強制されたとしたら、検察庁法第14条違反となる。
政府が、那覇地検の判断であると逃げているのならば、那覇地検を違憲訴訟に持ち込むべきであろう。

第十四条 法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。

 日本国憲法、検察庁法、刑事訴訟法などの法律書(解説書も含む)を調べてみたが、検察(検事)の職務については、憲法77条と検察庁法4条の記載のみであった。他に法律があれば紹介いただきたい。

 なお、国会に提出した6分半のビデオは、「大阪地検の証拠改竄」と同じ行為である。国権の最高機関の国会を冒涜している行為である。
 検察がこのような不法行為を行えば、法の下の正義、平等が失われる。