朝、黄砂に霞む京都盆地から、昨日開通した第二京阪を走り、東大阪にあっという間に着いた。時折小雨が降り、車はみっともないほどに黄砂で汚れた。
 この道は、沿道の方々が40年以上待ち焦がれた道で、週明けから改善効果が明確になると思う。伊勢湾岸道路と同じような造りで、片側3車線、幅にゆとりがある走りやすい道である。
 東大阪の八戸ノ里駅近くの司馬遼太郎記念館を訪問した。道ばたに置かれた菜の花の植木鉢に案内され、司馬邸に着いた。門から入り庭にまわると、司馬先生が使われていた書斎がガラス越しに見える。

方谷先生に学ぶのブログ

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 庭の南側に建てられた円弧状の記念館に入ると、地下から地上2階までの吹き抜けの壁に、先生が集められた蔵書がびっしりと列んでいた。これは一部であり、全ての蔵書は4万冊とのこと。
 司馬先生の紀行文、随筆を除き、小説をだいぶ前にほぼ読み終えた。当時、どうしてこれだけご存じなのかと思っていたが、これだけの蔵書を集め、検証されたと知り、頭が下がる思いである。
 南側の地下から2階の天井を見上げると、龍馬の浮き彫りが見えた。自然にできたコンクリートのシミだと言う。設計された安藤忠雄先生の意図ではないと思うが。

 帰りに、「二十一世紀に生きる君たちへ」という小冊子を買い求めた。そのなかの一部を紹介する。

 さて、君たち自身のことである。
 君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。
 --自分にきびしく、相手にはやさしく。
という自己を。
 そして、すなおでかしこい自己を。
 二十一世紀においては、特にそのことが重要である。
 二十一世紀にあっては、科学と技術がもっと発達するだろう。科学・技術が、こう水のように人間をのみこんでしまってはならない。川の水を正しく流すように、君たちのしっかりした自己が、科学・技術を支配し、よい方向に持っていってほしいのである。

 帰路についたときは、黄砂が無くなり、澄みきった空に春の太陽が顔を出していた。