2023年10月15日の教育臨床学研究会のご報告 | 応用行動分析学入門(study-behavior-analysis)のブログ

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教育臨床学研究会は、さまざまな分野からの参加者が集う中野良顯先生が主催する応用行動分析の研究会です。

[2023年10月の研究会報告]

2023年10月15日 ZOOMで開催。出席7名

 

応用行動分析第3版 第16章pp372-382を鈴木が用意した翻訳資料で学習した。

 

動機づけ操作の定義と特徴

 

動機づけ操作(motivating operation)は一時的に(a)刺激、物、事象の強化子としての効果を変化させ、あるいは(b)その刺激、物、事象によって強化されたことのある行動の現在の頻度を変化させるあらゆる環境刺激と定義される。

 

MOの価値変更効果は、強化子が行動の将来の頻度を増加させる効力に影響をおよぼす。MOの行動変更効果は、生体の強化子に接する行動の頻度を変化させる。MOは、直接的に行動を喚起したり抑制したりするとともに、間接的に関連する弁別刺激(SD)の喚起効果または抑制効果を変化させる。

 

SDは、その存在が有効な強化の入手可能性の差異 (differential availability) と関係しているので行動に影響を及ぼす。これに対して、MOはその行動に対する強化の有効性の差異 (differential effectiveness) によって行動を制御している。

 

無条件動機づけ操作 (UMO)

 

すべての生体が持つ無条件に価値変更効果を持つ事象、操作、刺激条件を無条件動機づけ操作(undonditioned motivating operation)と言う。すなわち、これらのMOは先立って学習することなしに刺激を強化子として確立したり無効化したりする。例えば、人間は食物遮断によって食物の強化子としての影響を受け、痛みの開始あるいは増加によって痛みの軽減の強化子としての影響を受けるように生まれついている。

 

食物、水、酸素、活動、睡眠の遮断は、強化子確立効果(reinforcer-establishing effect)と、行動喚起効果(evocative effect)を持っている。例えば、水の遮断は水の強化子としての有効性を一時的に確立し、かつて水をもたらした全ての行動を喚起する。これと対照的に、食物と水の摂取、酸素の取り込み、活動、睡眠は、強化無効化効果(reinforcing-abolishing effect)と行動抑止効果(abative effect)を持っている。例えば、水の摂取は、水の強化子としての効力を無くし、水をもたらす行動の全てを抑制する。