遠い記憶
20代の終わりごろ
出版社をやめ
ぼくはパリにいました
そんなにお金もなかったものだから
夕食は朝の残りのフランスパンとパスタ
それに近所のスーパーで売ってる最も安いワインを1本
これがビールと同じくらいの値段で 簡単に酔うことができるのです
夕食の時は小さなテーブルを窓際に運び アパートの中庭を見ながら
というのが 日常となっていました
夜9時頃だんだんと暗くなり アパートのそれぞれの部屋に灯りがともり始めます
写真にある、最初に灯りがついたこの部屋にはとても美しい女性が住んでいました
ワインを飲みながらぼーっとしてると たまに姿をみることがあったのですが
フランス語が話せないものだから 目があってもせいぜい会釈するだけです
でもそれだけで なんだか幸せな気持ちになれました
