みなさん、こんにちは。制作スタッフの岡田です。悲惨日誌の挿絵を描いています。今日は西村さん筆休めのための不定期連載企画「○○はこうしてうまれた。」第2弾、「かぐやちゃんはこうしてうまれた。」です。
"かぐやちゃん"は「かぐや姫の物語」の公式アイコンの座を仕留めた女の子です。本作品の主演オーディションに来たものの、落とされて少しふてくされている、という設定らしいです。
この子がかぐやちゃん↓
![20130901_01.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/36/c3/j/o0450030915302288571.jpg?caw=800)
睨んでいますね。この世の中に文句があるような顔をしています。まだ全くの無名ですが、宣伝隊長として、どんどん告知活動に活躍してもらう予定ですので、お見知りおきを!
さて、かぐやちゃんがどうやって生まれたのかと言うお話。あれは2013年6月5日のこと。その日は鈴木さんの都内の事務所「れんが屋」にて、主題歌「いのちの記憶」の購入者特典の話がなされたそうです。
鈴木さん「特典ねぇ……何かないの?西村さ、アイコンとか。シールに使えるようなのがあると便利なんだよ。」
西村さん(以下「西」)「ないっす!」
鈴木さん「なんか作ってよ。誰かに描いてもらえないの?」
西「んー、田辺さんなら描いてくれるかもしれないなぁ。聞いてみますよ。」
7スタに戻った西村さんは田辺さんのもとへ。
西「田辺さん、この作品のアイコンになるような何か、描いてくれませんか?」
田辺さん「いやぁ……よくわかんないですね……。」
西「そこをなんとか……。」
田辺さん「いやぁ……ちょっと……。」
西「……。」
田辺さん「……。」
田辺さんに断られた西村さんは「田辺さんが描かないということは他に誰か……となると人選が難しい。よし、自分で描いちゃおう」と思ったそうで。すぐに裏紙を数枚手に取り、なにやら描き始めました。
私には、『田辺さんが描かない→じゃぁ自分で描いちゃおう!』の発想が不可解でしたが、西村さんの顔が久々に生き生きし始めたので良しとしました。
西「どうかな。」
岡田「却下したいです。」
以下西村さんの案をひたすら載せます。
![20130901_02.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/25/d0/j/o0397045015302288578.jpg?caw=800)
![20130901_03.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/dd/b5/j/o0450044015302288583.jpg?caw=800)
![20130901_04.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/91/2c/j/o0450030815302288590.jpg?caw=800)
![20130901_05.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/b2/de/j/o0450038215302288602.jpg?caw=800)
![20130901_06.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/d6/a5/j/o0405045015302288610.jpg?caw=800)
![20130901_07.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/f7/6b/j/o0450037615302288614.jpg?caw=800)
![20130901_08.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/ad/22/j/o0450038715302288618.jpg?caw=800)
![20130901_09.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/d5/1e/j/o0450033215302288620.jpg?caw=800)
![20130901_10.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/92/a7/j/o0450039015302288630.jpg?caw=800)
そして最後に
西「これでどう?」
![20130901_11.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/fc/7b/j/o0450032215302288641.jpg?caw=800)
岡田「ボールかなにかに追いかけられてるんですか?」
西「いや、予告編であったでしょ。走っていく姫。」
岡田「え?あぁ、はい。走っているんですね。」
ちなみに右にある絵は西村さんの小学校時代の自身のマークだそう。名づけてニッチマーク!
そして色々試行錯誤して出来たのがこちらのかぐやちゃん。
![20130901_12.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/d5/24/j/o0450033815302288647.jpg?caw=800)
西「まっくろくろすけを付けて、(C)Studio Ghibli入れたらジブリっぽくなるんじゃない?」
……意外に適当です。
ジブリっぽさ…難しいです。でもなんか目を離してギョロっとすれば、らしくなることが判明。
![20130901_13.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/f4/c5/j/o0450033815302288653.jpg?caw=800)
西「ちょっと描く練習してくる。」
![20130901_14.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/f5/a4/j/o0450033815302288656.jpg?caw=800)
西「描けるね!短時間で!しかも崩れない!」
そして西村さんの厳正なる消去法により選ばれたのが、こちらのかぐやちゃん!
![20130901_01.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/36/c3/j/o0450030915302288571.jpg?caw=800)
最初のかぐやちゃんがこちら
![20130901_02.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20230621/10/studioponoc/25/d0/j/o0397045015302288578.jpg?caw=800)
可愛くなった!
まっくろくろすけの使用も問題ないそうで。(鈴木さんはこのまっくろくろすけは「偽物だ。下手くそだ。」と言っているそうですが。)
ただこれで、公式キャラクターの地位が確定したわけではなく、監督、演出に公認してもらわなければいけません。
西「高畑さん、宣伝用にキャラクターを作ってみたんですが。」
高畑さん「はぁ。」
西「いろいろ使える公式アイコンが必要なんです。」
高畑さん「はぁ。」
西「かぐや姫になりたくてオーディションに来たけど、落とされて少しふてくされてるっていう設定なんですけどね。」
高畑さん「はぁ?」
西「これ、公式アイコンにしますんで。」
高畑さん「え……はぁ。まぁ……はい。だれが描いたんですか?」
西「へ?ぼくです。」
高畑さん「おほほほほほ、ま、じゃぁそういうことで、はい。」
西「おし!高畑さん公認。」
これで!?
西「田辺さんこれなんですけど……」
田辺さん「へ?なんですか?」
西「かぐや姫の物語の公式アイコン、かぐやちゃんです。高畑さんの公認なんですよ。」
田辺さん「はぁ・・だれが描いたんですか?」
西「え、ぼくです。」
田辺さん「いや、いやいや、え、誰ですか」
西「だから、ぼくですよ。」
田辺さん「いやいや。ほんと誰なんですか」
西「だからぼくですって!ほんとですよ、僕が描いたんです。」
田辺さん「えぇ!?いやぁ、はぁ……。絵になってますね。」
西「でしょ?意外とうまいでしょ。じゃ、公認ということで。」
田辺さん「あぁ、まぁ、はい。」
西「よし!田辺さん公認。」
その日、西村さんは鈴木さんにメールを送りました。
鈴木さま
高畑さん、田辺さん公認の
宣伝用公式アイコンをお送ります
西村
鈴木さん「かわいいじゃん。」
こうして高畑さん、鈴木さん、田辺さんの公認を頂き、晴れて「かぐや姫の物語」公式アイコンの地位を確立したのです!
たぶん、今後、色々と登場することになるでしょう。たぶん。
おしまい。
※ この日誌を最後に、「かぐや制作日誌 “悲惨な日々” 西村義明」は連載を終えた。制作&宣伝業務が多忙になったため、西村プロデューサーによる寄稿が極めて困難になったためであった。しかし、その後も「かぐや姫の物語」を取り巻く状況は、凄惨を極めた。その一部始終は、『高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~ [Blu-ray]』(ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社)に映像として記録されている。ご興味がおありの方は、ぜひご覧いただきたい。